…ということで黄桜伏水蔵ではちと試飲を遠慮しておいたわけですが、てくてく歩いて伏見市街の中心部へと戻ってきますと、いささかのどを潤したい気分になり、結局のところこの道に戻って来てしまったのですなあ。黄桜の旧酒蔵に建つ「カッパカントリー」のある通りでして。

 

 

レストランがメインですけれど直売店が併設されておりますので、取るものも取り敢えず、黄桜こだわりのビールをひと缶買ってテラス席でぐいっと。ぷはぁってなもんですなあ。ここでのチョイスは「LUCKY DRAGON」、こちらになります。

 

 

「白ワインのようなフルーティーなアロマと心地の良いモルト感が幸せな気分を運んでくれます」という宣伝文句のとおり、晩酌よりもその場に適う一品でありましたですよ。と、ぐびりの傍ら、テラス席で目がとまったのはよく茂った一本の木。立札を見ればこの木が「黄桜」でしたか。

 

 

伏水蔵でも「桜としては稀に見る黄色の華を咲かせる八重桜で、サトザクラの一種」を、銘柄に採用したのであるということでしたなあ。一般の桜同様に、4月上旬に咲くということでして、見てみたい気がしますですね、黄色い桜を。

 

 

なお、敷地内には「黄桜記念館」という施設もありまして、最初はここが企業ミュージアムかと思ったですが、酒造り関係の紹介は少々にとどまって、「古くから日本人に親しまれてきた河童の起源から歴史、各地の伝承などを分かりやすく展示した日本有数の河童の資料館」というのが実態のようでありますよ(展示資料は撮影不可ですので、通路部分だけを思い出すよすがとして)。

 

 

そんな具合でふらりと立ち寄った「カッパカントリー」ですけれど、メイン施設のレストランには晩飯どきになって戻ってきたような次第。「LUCKY DRAGON」ぐびりに味をしめて、やっぱり飲み比べしておこうかいというわけでして。酒蔵を改装したという店内は、なかなかいい感じの雰囲気を醸しておりましたな。

 

 

でもって、当然のように飲み比べシリーズを開始。伏見滞在最後の晩ですのでね、ビールも、そして日本酒も、でありますよ。

 

 

 

これらをしみじみ味わいつつ、伏見という古来酒造りで知られる町なればやっぱり昔ながらの飲み方をと思い立ち(といっても月桂冠に寄ったときに本醸造酒はやはり燗がいいねえなどと思ったもので)、仕上げの一杯は「本造り黄桜」を熱燗で堪能、「うん、ととのった!」てなふうに思ったものでありますよ。日本酒を冷蔵庫で冷やして飲むというのがさも当たり前になったのは比較的近年のことですものね。

 

 

とまあ、そんなところでよくよく思い返してみますと、(酒造りの町に来ていながら何ですが)個人的にはビールの方が好みなのかも…と今さらながら。実は名酒の町・伏見にたどり着いた最初の晩にも早々に出かけていったのは、こんなお店であったわけで。

 

 

龍馬通りと魚屋通りの角に建つ家守堂、店前の看板にクラフトビール醸造所と書いてあったものですから、ついふらふらと。早速にハウスビール4種テイスティングセットをぐびりぐびりとして、さらにお代わり!を。

 

 

 

酸味の利いたもの、苦みの強いもの、あたかもグレープフルーツ果汁でもあるかというもの、そしてかりがね茶と柚子が思わぬバランスで迫ってくるもの、クラフトビールの世界もまた(日本酒とは別に)個性豊かな世界があるのですよねえ。というところでどこで手に入れたか、「ふらっと 京阪沿線 クラフトビールめぐり」なんつうイベントも開催中であったのですなあ。もっと早い段階で見つけていたらば、おそらく日本酒そっちのけで巡り歩いてしまっていたかもです(笑)。

 

 

ま、てなことをつらつら思い巡らしつつ伏見の夜は更けていったのでありました。