旅のきっかけのひとつとなっていた京セラファインセラミックス館とついでながら稲盛ライブラリーを訪ねていろいろと思い巡らしはありましたですが、取り敢えず話は先へ。この後はまた別のきっかけにまつわるあれこれの話になってまいります。で、取り敢えずは京セラ本社ビルの目の間にありますパルスプラザ前バス停から、今度は京都市営バスに乗って伏見の中心街?、要するに繁華なあたりへと向かったのでありますよ。

 

 

高架の第二京阪道路(高速化と思えば自動車専用道であると)と並走する下道は、油小路通であると。こんな通りの名前に「京都、であるか…」と思ったりするわけですが、ちと落語の『寿限無』を思い出したりも(あちらは「やぶらこうじ」でしたな…)。ともあれ、京阪電車・中書島駅方面へと向かうバスはしばらくこの大通りを南下しまして、野球場も併設された大きな三栖公園のところで左折、町なかへと入って行くのですな。これが竹田街道とぶつかったところでバスは右折し、駅方面へということになりますが、曲がる手前の西大手筋というバス停で下車しました。繁華なエリアは目前です。

 

が、なんだってかようにバスルートまで細かく記すかと言いますれば、全く土地勘が無いからと申しましょうか。だいたい、京都と大阪の間にどんな町がどんなふうに点在しているのか、関東者の頭の中の地図では全くの空白地帯だものでして。そも戊辰戦争の口火を切った鳥羽伏見の戦いと聞けば、鳥羽は三重県の地名としか浮かんでこず、「鳥羽伏見って、いったいどこよ?」てなものですのでねえ…。

 

とまれ、西大手筋というバス停で下車しますと、すぐにバスは南方向へと曲がっていってしまうのですが、それもそのはず、まっすぐに道を辿ると、アーケードになった商店街に行き当たってしまうのでありましたよ。地元の方々にとっては買物の便を引き受けるところでしょうなあ。

 

 

ちなみにこのアーケードを抜けた先に京阪の伏見桃山駅があり、そのちょいと先には近鉄京都線の桃山御陵駅がありますので、朝方は通勤通学の人でごった返すという光景を何回か見かけることになるというのはのちのお話。で、このアーケードをゆるゆる歩いておりますと、「おこしやす 京都伏見」という大きなフラッグが下がっておりました。

 

 

ここには地元の方々がおそらくは「伏見に来たら見ていってね」というスポットを並べてあるのでしょうけれど、あいにくとこの中に個人的な思惑に適う場所はさほど入っておらず。では、伏見の目的はこれであるかと畳みかけられるように、もうひとつの大フラッグが。

 

 

そうですなあ、伏見と言えば酒どころ。ずらり並んだ酒蔵の数は17軒ですか。ま、もちろんそれもお楽しみであるとは正直に申しておかねばならないところでありましょう。だいたい、先ほどふれたバスの通る道筋で、油小路通を左折して町なかへと入るバスが東高瀬川を渡った橋のたもとでは、こんな景色が見えてきましたし。

 

 

この場所をGoogle mapで参照しますと、口コミ評価4.4の観光名所「酒蔵ロケーション」なんつうふうに出てくるのですなあ。とても(何らかお墨付き?のある)正式名称とは思えぬ呼び名ですけれど、確かに映えるスポットではあろうかと。先ほどのアーケードの地図に照らしてみますと、「桃の滴」、「日出盛」という銘柄を擁する松本酒造の本社酒造場であるようですな。

 

 

伏見の町を歩いていますと、「犬も歩けば」ではありませんが、そこここで造り酒屋や酒販店に当たるくらいですので、これを目当てに来られる方々もたくさんおられようなと。ですが、個人的な目論見は「京阪淀川紀行 旅の始まり編」にも記したように「川」にあるわけですから、「酒蔵ロケーション」の映え加減ともども、傍らを流れる東高瀬川を眺めてもしばし思い巡らしをしたりもするのでありますよ。

 

ということで、時間的に急げば時間的に間に合いそうなのをこれ幸いと、伏見の町なかの水路を巡る船に乗りに行くことに。ですので、次回は舟運栄えた伏見に思いを馳せるお話となってまいります。