長年のペーパードライバーが言うことではないかもですが、今回の鹿児島のみならず、車に便乗旅行をする際に「あらら?」と思うのがカーナビの実力のほどですなあ。土地勘の無い場所で運転するには大きな助けになるところながら、突如として「本当にこの道、通れというの?」とルート選択に遭遇したり、「目的地近辺です。案内を終了します」とカーナビさんとしては「目的を果たしたけんね」とばかりに沈黙してしまうも、目的地そのものはいったいどこ?となったり。

 

今回、鹿児島県錦江町の神川大滝公園から次の立ち寄りポイントである雄川の滝まで、カーナビ頼りで進むにあたって検索し、「おお、これこれ」とセッティングした結果として導かれた先には「雄川の滝上流展望所」と。

 

 

そもそも「雄川の滝」の存在を知ったのはJALの機内誌で見た鹿児島の旅特集か何かだったと思いますが、『鹿児島県観光サイト かごしまの旅』というサイトに「エメラルドグリーンの滝壺が作り出す神秘的な空間」と紹介されておりますとおりに、行ってみたい感を大いに刺激する写真が掲載されていたような。

 

ですが、たどり着いた場所は「滝壺には行けません」と注意書きがありまして、文字通りに滝を上から眺める場所だったわけです。雄川の滝に行く場合、一般的に目指すのは「雄川の滝展望所」であって「雄川の滝上流展望所」ではないようですな。前者が南大隅町にあり、後者は錦江町にあるということで官公客争奪戦のような状況なのかもしれませんが、冒頭で触れたカーナビの絡みで言えば、今回ばかりは選択決定の人為的ミスであったようです…。

 

 

ともあれ、たどり着いたからには「どれどれ…」と上から眺めてみることにして、道路脇に設けられた階段を下って行ったところ、現れた眺めはかようなものでありましたですよ。これを「展望所」と称するのはかなり厳しいような気がしてものです。

 

 

てなことで、改めてカーナビさんに「雄川の滝展望所」への案内を頼ることにして、川を回り込み、断崖の高低差を下りきってたどりついたのがこちら。遊歩道の入り口になっておりまして、およそ1.2Kmほど歩くアプローチになりますが、確実に滝壺が見えるスポットに至れるのですな。

 

 

ところでこの「展望所」という言葉ですけれど、あちらこちらで「展望台」とはよく耳にするものの、あまり耳になれない言葉ではなかろうかと。さりながら、この後、桜島あたりで何度も目にすることになるからには、鹿児島では一般的な名称なのでしょうねえ。ともあれ、遊歩道を進んでまいります。

 

 

頭上には神川大滝のように大きな橋が架かっていますけれど、滝壺はまだまだ先にありますので、これは観爆用ではないでしょうね。で、遊歩道ですけれど、昨2023年8月に発生した台風6号の被害があり、一時立入禁止となっていたそうな。ほどなく復旧したということで、道々、直したばかりと思しき個所がいくつかありましたですよ。

 

 

渓流沿いに設けられた遊歩道をゆるやかにアップダウンしながら進んでいきますと、時折脇の溶岩壁から湧き水が噴き出しているところがあります。わざわざ「この水は飲めません」というからには水質検査をしていないということですかね。

 

 

そんなこんなの道をおよそ20分ほどで、滝壺を眺める展望所(要するに観爆台ですな)に到着。そこには観光サイトの紹介どおりに「エメラルドグリーンの滝壺が作り出す神秘的な空間」が広がって…いなかったのですなあ。う~む。

 

 

考えてみれば前日は視界がぼやけるほどのどしゃ降りの雨でしたので、水底は相当に掻きまわされたような状態になっていたかもです。ただし、その割にはやたらに水量が少ないのは、上流にあるというダム(ちなみに九州電力が建設した水力発電所としては県内最大級とか)との関係かとも。元来、雄川の滝の見栄えはダムの放水があった時がよろしいようですし…。

 

 

それでもまあ、節理を見せる溶岩崖の高さとその隙間から伏流水の湧き出すようすを眺められただけでも良しとしましょうか。と、ここで余談ですけれど、雄川の滝遊歩道を歩いているときに「ん?!」ということが。滝壺から帰ってくる人たちの中に、神川大滝公園で見かけた「通りすがった公園管理事務所の人っぽい服装のおじいさん」がいるではありませんか?!

 

ここでまた「この滝はね」とひとくさり。今は長い遊歩道になっている部分は滝の浸食によってどんどん滝が後退した結果なのであるというのですなあ。服装から「公園管理事務所の人」かと思っていたですが、それっぽい服装であっただけで、地元の方が滝見物にはしごをしていたようで。勘違いして、すいません。

 

ということで神川大滝、雄川の滝と、ふたつの滝見物に立ち寄った後、車はさらに大隅半島を南に向かうのでありました。