さてと今度は、JR小海線と付かず離れず並走するような国道141号線を辿って北上していきましたが、途中で南牧村を通過中、かような標識に出くわして「?」とばかりに立ち寄ってみることに。

 

 

「平面直角座標系第Ⅷ系原点」とは何のこと?ですけれど、要するに「日本のおへそ」だというのですな。かつて近所歩きの折に「東京のへそ」と称する国分寺市の解説板に出くわしたりしましたが、「東京のへそ」の名乗りをあげているのは国分寺市ばかりではありませんでしたですね。それだけに「日本のへそ」ともなりますと、あちこちがそれぞれにそれなりの理屈を以て「こここそが!」と名乗っていることでありましょう。

 

ともあれここ、南牧村が「日本のへそ」と称する言われは、偏に「平面直角座標系第Ⅷ系原点」であることによるものと思いますが、「どういうこと?」ではなかろうか。普通ならば解説板にでも書かれていそうなことが、ここでは石碑の体をなして建てられておりましたですよ。

 

平面直角座標系第Ⅷ系原点
楕円体である地球上の位置は、経度緯度と平均海面からの高さで表示すると測量法に定められていますが、球面上で長さや面積を計算するには少々複雑な計算が必要です。
そこで、場合によっては義務教育でも習う数学のX座標、Y座標、Z座標を用い、メートル単位の数値を使って平らな紙の上で簡単に距離、方向、高低差、面積などを計算できるようにしていますが、これを「平面直角座標法」と言います。
測量法では、日本を十九の区域に分けてこの平面直角座標系を定めていますが、この地が、長野県、新潟県、山梨県、静岡県が属する第Ⅷ(八)系の公共測量の原点です。

石碑に記されたところを全て引いてみましたけれど、「義務教育」なんつう言葉も出てきていながら、こてこての文系頭にはやっぱり何のことやら。だいたい、第Ⅷ系の公共測量の原点であることがどうして「日本のおへそ」であるのか、飲み込みがたいところでして。

 

 

日本地図で地点を示されますと、なんとなく中心っぽいなとは見えてくる。実際には地面は楕円の球面にへばりついているので、全くの平面に置き換えると本当の姿ではなくなるとまで想像は働いて、何やら北海道の方が大きく見える分、なんとはなし中心に見えないような気もしますが、だいたいそういうことなのだろうくらいの認識になってしまうのですな。昔々を振り返って、数学(算数か?)の相似の問題などを「だいたいこんなもんだろう、同じだよね」程度に回答して失敗したことを思い出したりしますなあ。数学に「だいたい」とか「なんとなく」は通用しないとは知りつつも(苦笑)。

 

 

ということで、理屈は今一つ腑に落ちていないところながら、ともかく原点(=「日本のおへそ」らしい)にはこんな印が埋め込まれておりましたですよ。ただ、真ん中の十文字(原点標識)は2009年8月に設置されたものの、すぐ左隣に十文字のマーキングを付け直されておりますね。これは東日本大震災を引き起こした巨大地震による地殻変動で、元々は後付けの印のところにあった原点がやや東方にずれたことを示しているそうな。こういう話は、いかな文系頭といえども「おお!」という気がしてくるものです。

 

と、ここまで書いたところで、南牧村役場が作成した「日本のおへそ誕生」というリーフレットがPDFでアップされているのを発見しましたですよ。それによれば、何と!…。

…この原点は、「第Ⅷ系原点」と呼ばれ、長野県、新潟県、山梨県、静岡県の公共測量の基準点となっていますが、この4県は、ほぼ日本の中央に位置していることから、この地を「日本のおへそ」と名づけました。

 

結局のところ、「ほぼ」でしたか。いやはや…。