さてと、福島県いわき市小名浜にある「アクアマリンふくしま」を訪ねたというお話。広い館内を巡って、同館随一の大水槽のところまでたどり着いたのでありますよ。といって、大水槽らしさが分かる写真にはなっておりませんなあ。

 

 

ただ、鋭角二等辺三角形状のトンネル内に写り込んだ人の姿(どこのどなたかは存じませんが、ご容赦願います)でもって、水槽の高さを想像していただければ。そして、右にも左にもまだ水槽は続いていると、横方向の大きさには一応注釈をつけておきましょう。

 

と、そんな大きさのことはともかくも、トンネルの右側と左側とで水槽内の様子に違いがあることにはお気付きになろうかと。右側が激しく泡立っているのに対して、左側の方は実に穏やかで。

 

 

実はこれ、福島県沖でもって北上してくる黒潮と南下してくる親潮が織りなす「潮目の海」を表しているということなのですなあ。右側が黒潮水槽で、左側が親潮水槽というわけです。

 

 

 

黒潮の海では、マグロ、カツオの類いがきびきびと水槽いっぱい使って泳ぎ廻っています。一方で親潮の海ではも少し小ぶりの魚たちが悠々自適の穏やかな泳ぎっぷり。海の中はこんなにも違った様相を呈しておるのですなあ。その両者の魚を一網打尽とは、福島は実に豊かな海を持っていると思うところですけれど、ここにどうしても原発の処理水を放出したい方々がいるのですなあ。タンクが満杯になっていかんともしがたい…とはひとつの理屈ながら、漁業関係者は気が気でないことにやはり思いを馳せてしまうような…。

 

ところで、この潮目を表現した大水槽に到達した折しも、まさに「ごんべえズトーク」という飼育員による解説が始まるタイミングでありました。ここで、解説トークに「ごんべえ」という名が冠されていることにつきまして、「ごんべえとは、『ごんべさんの赤ちゃんが風邪ひいた』のごんべえ?」かと思いきや、全くもってさにあらず。ここで言う「ごんべえ」とは「シーラカンスのふるさと・コモロ諸島での呼び名「ゴンベッサ」から名付けられ」たものであるということで、改めてアクアマリンふくしまのシーラカンスプロジェクトを思い浮かべるわけでありますよ。

 

で、タイミングよく遭遇した「ごんべえズトーク」では、主に黒潮水槽を泳ぎ廻るメバチ、キハダ、カツオなどの見分け方などを説明してくれました。メバチは文字通り目ぱっちり、キハダもまた文字通り肌が黄色め、そしてカツオは独特の縞模様ということなんですが、なにしろ泳ぎ方は速いので見分けるのはなかなかに難しいものなのでありました。

 

ちなみに、いずれにせよ活きのいい、ともすればおいしそうな?魚たちであるところながら、この大水槽の向かいにはご丁寧に寿司店が置かれてあるのですなあ。泳ぎ廻る姿を見ながら食す寿司というのも一興なのかもしれませんけれど、個人的にはちとそういう気にもならず、昼飯は別のところにある館内レストラン、おいしい水族館「アクアクロス」とやらへ。

 

 

メニューの一端はこのような。いかにもシーフードなメニューの中に「縄文カレー」や「縄文シュウマイ」があるのは数多ある水族館でもここだけなのではないですかね。三内丸山遺跡じゃないのですから。とまれ、ネーミング的には「ヘミングウェイのメカジキメンチ」なる一品にもいささか惹かれはしたものの、チョイスしたのはこちら、「海の幸(くじらカツ)」です。

 

 

メニューの説明書きには「くじら漁が盛んな場所であった小名浜にちなんでつくりました」とありまして、館内を巡って最終的にレストランにたどり着く以前、熱帯植物園状態の展示に至るちょいと前に「アクアマリンふくしまが取り組んでいる研究や活動を、ブースに分けてわかりやすく紹介してい」るという「オセアニック・ガレリア」なるコーナーで、小名浜の捕鯨にまつわる展示仮設を見ていたもので、ついついこれを。

 

鯨肉を食すのはご時勢的に「どうよ…」感無きにしもあらずながら、散々小学校の給食で食べ慣れたものではありますし、今は調査捕鯨の関係でしか捕獲できない状況でもありましょうから…とは、いささか言い訳がましいですが。

 

ということで、次には「オセアニック・ガレリア」の展示を振り返ることに。小名浜の捕鯨に関する事柄とともに、そも「アクアマリンふくしま」が「環境水族館」と称しているのがよく分かる展示でありましたですよ。では、併せてこの次に。