たまにはamebaの仕掛けた投稿キャンペーンに乗っかってみましょうかね、と「海のかわいい生き物図鑑」なるものをクリックしてみますと、こんなん出ました。シロクマです!
でもって、お題としては「水族館で一番好きな生き物は?」ということではありますけれど、クロクマと聞いて思い立ったのは「そうだ!久しぶりに極地研に行ってみよう」ということだったのでして。
JR中央線・立川駅から北北西方向にしばし、国の関連機関や研究施設が集まっている区画の中に極地研(正式名称を国立極地研究所と)がありまして、南極・北極科学館が併設されておるのですな。これまでにも覗いたことはありますですが、暑い日々に少々のひんやりネタを求めて出向いてみようと考えた次第。さりながらこのご時勢では閉まっていることもあろうかと、HPを見てみればタイミングたるや良し!折しも「南極・北極サイエンスウィーク#極地圏探検2022」なるイベントが開催中であるとは。
科学館も予約不要で特別オープンとありましてそそくさと出かけていきますと、夏休み期間に突入したとあって平日ながら親子連れが散見されるようす。先日は「全国学力テスト」とやらで中学生の理科の点数が正答率5割を切ったとかいうことが伝わってきましたけれど、国の機関としては「科学の子」を育てるためのイベントてなところもあるのでしょうなあ。極地研の所員の方々が館内のそこここに待機しており、「なんでも質問してね!」光線を強く放射しているのでありました。
ひとしきり見て周っていて、昭和基地に詰める隊員用の個室を実物大で再現した部屋を覗いておりますと、いささか手持ち無沙汰になったのか(?)、係の方がおひとり近づいてきて説明してくれたのですなあ。かつて平の隊員たちはドミトリーの中のベッドがプライベートスペースであったようですが、さすがに今ではそれぞれに4.3畳ほどの広さの個室をあてがわれるということで。確かにプライバシーが守られる空間ということですが、隊員たちが手すきのとき、だいたいは広間に出て行って他の隊員としゃべったりしていると、実は越冬隊経験もあるという件の係が話しておりましたよ。一人でいると、陰に籠ってしまうのでしょうなあ…。
ところで、訪ねるきっかけはシロクマですので、南極・北極の生き物のコーナーへ。これこれ、俗称シロクマ、正式名称ホッキョクグマです。ちなみにその名のとおり、ホッキョクグマ、シロクマは南極にはいないのですな。一方でペンギンは北極にはいないわけで。ただ、ペンギンは南極にしかいないのかというと、種類にもよるのでしょうけれど、赤道あたりにもいるらしいですなあ。
と、生き物コーナーで「おお!」と思いましたのは、雪と氷に閉ざされたというイメージの南極でも花を咲かせる植物が2種だけあると。ひとつがこの「ナンキョクコメススキ」しかいない。もっとも南極大陸全体にわたって生育しているのではなくして、南緯68度くらいのところまでの、いわば沿岸部にだけいるようですね。大陸の奥にはご覧のように標高の高いところもありますしね。極地近くであって、なおかつ標高も高い。生き物には条件が悪すぎですよね。
沿岸部の昭和基地に対して、奥の方にはドームふじ基地というがあるそうですが、そこらあたりでは気温がマイナス80度にも達することがあるのだとか。そんな過酷な環境の中でも人間の活動は行われておるのですなあ。何をしているかといえば、ひとつには「氷床コア」の掘削でもあるようで。
以前、Eテレ『サイエンスZERO』でも取り上げていましたけれど、長い長い期間をかけて堆積した南極氷床を縦に3000mあまりも掘りぬいて、氷の層ごとに分析すると、長い長い期間の気温の変動が分かったりするのだそうですね。こちらは掘削用のドリルです。
とまあ、かほどに積もった南極の氷床ですけれど、仮にこれが全部融けたらどうなるかと言えば(ま、聞きかじりですが)海水面が60メートル上昇するのであるとか。立川のあたりは波打ち際になりましょうかね。23区は水没でしょう。氷河の減少が取り上げられているグリーンランドの場合、全部融けると海面は6メートル上昇すると。南極にある氷は実に膨大な量であるのですなあ。
とはいえ縦に掘りぬくのは難儀な作業ですので、せっかく手に入れた昔々の記憶を持つ氷はこの極地研の建物の地下にあるという巨大冷蔵庫で保管され、小出しにして研究に使われているのだそうでありますよ。
…ということで、シロクマに端を発した南極(少しだけ北極)のお話。ここで改めて「水族館で一番好きな生き物は?」というお題を振り返りますと、シロクマ!と言いたいところながら、やっぱりペンギンですかねえ(笑)。