さて、新年のご挨拶も済ませたということで、

少しずつというより早速にも従来同様のあれこれを綴ってまいることに。

 

やおら昨年のことで恐縮ながら、昨年末に甲府へ出かけたとだけ申しておりましたですが、

その際の見聞きを書き残しておきたいと思っておるのでありますよ。

まず立ち寄ったのは大村智記念学術館、山梨大学の敷地内にありました。

 

 

ノーベル医学・生理学賞受賞者の大村博士と山梨県との関わりは、

以前訪ねた韮崎大村美術館の展示でも窺い知れるところでしたけれど、

博士が学部生時代を過ごした山梨大学では同窓生の偉業にはことさら関心大であったようですね。

 

同館HPの中に「山梨県にとって「甲斐の国」武田信玄公が戦国の世に名を馳せて以来の快挙」とあるのを見て、

いやはやすごい例えであるなあと思ったものでありますよ。

 

ちなみに全くの余談ながら、山梨大学というのは国立なのですよね。

例えば名古屋大学という国立大学があり、愛知大学という私立大学があるてなことを思えば、

「いったい全体、国立なの?私立なの?」てなことにもなりそうで、念のため。

 

ところで、学術館の中に歩み入りますと、まずは山梨大の学生さんがお手迎え…かと思えば、

研究調査の協力依頼のために入口付近で待機しておったようです。

どうやら工学部メカトロニクス工学科の学生さん曰く、視線の動きを感知するゴーグルをつけ、

ロボットの誘導とともに展示コーナーを見て回ってもらえましょうかというお願いでありました。

どうやらロボットの性能確認とともに、どの展示にどのくらい視線を注いでいたかを量的にデータ化するようです。

 

 

こちらが案内ロボット、名前を「さとっちゃん」というそうで。

いかにも大学生が付けそうな感あるネーミングであるなと思いましたところが、

実は大村智博士自身が命名したとは。博士の「若さ」に脱帽です(笑)。

 

 

ともあれ、大村博士の研究業績を並べますと、このような一覧にもなるとのことですけれど、

理系に疎い者にはせめてEテレの「サイエンスZERO」くらいにはかみ砕いてほしいところかと。

何とか解説パネルを読んで太刀打ち敵うかどうか…。

 

大村博士のノーベル賞受賞は「新種の放線菌の発見とそれによる感染症への治療法に関する研究業績が

高く評価されたもの」ということですが、そも「放線菌とは?」でありますね。

どうやら「菌糸状に生育する細菌」、微生物の一種であって、「土の中にくらし、落ち葉などを分解」するのだとか。

これが「抗生物質の生産、植物の生長促進などの活性を示す」点で有用性ありということになりましょうか。

 

放線菌が生産する医薬品としてよく知られるものとしましては、

結核治療に用いられるストレプトマイシンなどがあるわけですけれど、大村博士は

「放線菌MA-4680株」というのを発見し、これを用いて寄生虫駆除薬「イベルメクチン」を作ったのですな。

これが非常に効果的であるようで。

 

昨今のコロナ禍に際し、このイベルメクチンがCOVID-19対策にも効果があるような話が巷にはありますけれど、

基本的には寄生虫駆除薬ですので、しばらく静観しておいた方がよいようには思うところです。

 

それはともかく、大村博士がこの放線菌を見つけたのは静岡県伊東市川奈のゴルフ場の土からということで。

川奈のゴルフ場がどうこうではありませんけれど、どこというでなく、ヒトの足元、土の中には

まだまだ知られるたのはよく知られぬお宝がたくさん眠っているのかもしれません。

もちろん、だからといって有用性あるお宝がおいそれと見つかるはずもなく、

あっちを掘ったりこっちを掘ったり地道な努力が必要な研究でもありましょう。

 

 

結果が出れば脚光を浴びて「すごいですね!」となるわけですが、

その前段階での試行錯誤の苦労は見えてこない。そんな中ではどうしても研究費がかさんでしまい、

ひと頃はよく新聞紙上をにぎわした不正受給といったところにつながるのかも…と思ったりするところながら、

もちろん皆が皆ではないでしょうけれどね。

 

おっと、そうでいえば案内ロボット「さとっちゃん」を手掛けている研究者の卵(?)たち。

彼らもまたこの後、研究費の点では苦労するのでありましょうなあ。

何しろ…といっては申し訳のないものの、案内される人間とのコミュニケーションのスムーズさには

まだまだ改良の余地がありましょうし。ですが、これもあんまりスムーズでは反って気持ちが悪いかも。

ぎこちないくらいが愛嬌なのかもしれませんですなあ、ねえ、さとっちゃん。