羽村市郷土博物館を訪ねて見てきたものは、玉川上水にまつわる展示解説のほかにも、
どこの郷土館でも見かける古代発掘遺物とか、はたまた羽村生まれの小説家・中里介山の事績であるとか。
中里介山と言うとひたすらに小説『大菩薩峠』の作者ということしか浮かびませんですが、
教育者でもあったとようで、さらに社会主義やキリスト教への接近などの点では賀川豊彦を思い出しますな。
一方、屋外展示には古民家やら、こんな真っ赤な門やらが移築されておりましたよ。
元は幕府に仕える医師の家の門だったものを中里介山が譲り受け、
ひと頃は「大菩薩峠記念館」の正門として使われたらしいのですが、これの閉館に伴って移築されたとか。
ということで羽村市郷土博物館の落穂拾いになりつつありますが、
果たしてこれが今回のタイトルにある「束の間の海外旅行気分」であるはずもなく…。
博物館、取水堰をあとに羽村駅の方へ戻って、さて昼飯という段階でさて何を食そうかと、
しばし「孤独のグルメ」の井の頭五郎よろしくうろうろとしたのですが、博物館に通じる駅の西口側は
いささか繁華な東口に比べて何もないという印象でして、そろそろ諦めて東口へ回るかと思いかける頃、
やおら目についたのがこちらのお店でありました。
フィリピン料理であるか…と、思い出すのはしばらく前に
立川通りを東大和市駅に向かう途中にあるフィリピン料理店で結構おいしくいただいたことでしたので、
(もはや他に探しても…という状態だけに)入ってみることにしたのですな。
で、異国の料理をランチに食した=海外旅行気分ということでもないのでありまして、
ちなみにテーブルに置かれたメニューはこんなようでありまして。
ご覧になってお気付きでしょうか。ひと言も日本語が無い。
そこで日本語メニューを求めてみると、どうやら無いようす。
それでは、それぞれどんな料理であるかを尋ねてみることになったわけですが、
この間の店員さんとのやりとりは、基本的に英語だったのですなあ。
外看板に大きく、日本の言葉で「フィリピン料理」と書かれてあったので不意打ちでしたけれど、
多少なりとも英語のみのやりとりが、ここで、羽村でやおら展開することになるとは思いもよらず…。
ともあれ、おすすめのようでもある「Adobo」なるひと品を食してみることに。
少々カリっとしたサイコロ状の豚肉の味付けが、基本的に醤油味っぽいのですが、うまいなあと。
時に、長らくできなかった昼飲みも可能になった今日この頃、
ついついビールを食事のお供にしてしまいました。
フィリピンのビールと言えば「サン・ミゲル」でしょうけれど、今回は「レッド・ホース」なるものを。
アルコール度数8%、ベルギービールによくあるような甘みのある強さには、不覚にも「もう一本!」と。
今回はもちろん羽村取水堰を訪ねることだったわけですけれど、
ぶらり歩きのついでとはいえ、わずかながらも英語のみという時を過ごして、
それこそ束の間の海外旅行気分を味わうことにもなったものなのでありました。