先日、チンドン屋の隊列で奏でられるクラリネットの音色に思いを馳せたところで、

またまたどうでもよいことが記憶の片隅から引き出されてきたのでありますよ。

 

高校時代、吹奏楽部の部室で後輩のクラリネット男子がひとつ、

同じメロディーを繰り返し吹いている姿がったのですなあ。

たぶんお気に入りだったと思しきその曲は「マルタ島の砂」なのでありました。

 

本来はドイツのバンド・リーダーであるベルト・ケンプフェルトの作った曲であるそうですが、

その後のカバーによって、もっぱらハーブ・アルパートとティファナ・ブラスの曲として

知られているのではなかろうかと。

 

ところで、マルタ島はちょいと前のTBS「世界遺産」で取り上げられ、

地中海の要衝として堅固な城壁に囲まれた旧市街のようすなどが映し出されておりましたね。

城壁ばかりでなくマルタ島には特有のライム・ストーンの建造物が多く、それを見る限り、

「マルタ島の砂」というよりも「マルタ島の岩」という印象かと。

 

そもそも原題は「Maltese Melody」、マルタのメロディーですので砂とは関係が無い。

日本語タイトルが「マルタ島の砂」となったことにはいかなる事情があったのでしょうかね…。

ちなみに「マルチーズ・メロディー」という言葉から「マルチーズ」という犬の種類を

思い出されるかも。マルチーズ犬はマルタ島原産なのだそうですよ、余談ながら。

 

と、話をクラリネット…ならぬ、ハーブ・アルパートに戻しますと、

このミュージシャンの名前以上に「ビタースウィートサンバ」という曲の方が有名かもですね。

曲名が思い当たらずとも、ラジオ番組「オールナイトニッポン」のオープニング曲といえば

「あれか!」となる方も多かろうかと。

 

もっともそれと分かるのは一定年齢層に限られてはおりましょうから、

今はもっぱらサントリー「金麦」のCMと思うかも(アレンジの違いで微妙な感じですけれど)。

 

とまれ、ティファナ・ブラスというアンサンブルはがちゃがちゃっとした感じの曲を送り出して、

ひと頃人気があったわけですけれど、その後、ハーブ・アルパートのソロ・アルバムとして

「ライズ」が登場したときには「おお!」と思いましたですなあ。

 

当時の感覚として、がちゃがちゃとは程遠いスタイリッシュさと言いましょうか。

よく歌は世につれと言いますけれど、インストゥルメンタルも同様ですな。

 

「ライズ」が出た頃には「フュージョン」という音楽ジャンルが

結構持てはやされていた時期だったのではなかろうかと。

インストゥルメンタル曲が大いに賑わいを見せたものだったなと、これまた懐かしく。

 

考えてみれば昨今は、あまりインストゥルメンタルの曲が大ヒットするてなことが

ありませんですね。イージーリスニング映画音楽というのがひとつのジャンルとして

認知されていたことは、遥か昔のことになってしまったのかもしれません。

 

中高の吹奏楽部ではその時期、その時期に流行っているインストゥルメンタル曲を

いち早く取り入れる傾向がありましたけれど、最近は元々歌が付いている曲を

アレンジすることが多いのかもしれません。

果たして、インストゥルメンタル曲の今後の展望やいかに…。