年明け早々に放送されていたNHKスペシャル「三千万年の旅 列島誕生ジオ・ジャパン」は
(どうやら総集編のようですけれど、これまで見たことがなかったので)面白かったですなあ。
「宝石のような絶景が、狭い国土にあふれる日本列島。世界に二つと無いたぐいまれな大地だ。」といった、
「日本はこんなにすごいんだ」的な惹句の付け方にはいささか眉を顰めたくなるものの、
(世界のどこの土地もそこに固有のなりたちがあって、二つと無いのは日本ばかりではないですものね)
列島の成り立ちを見ていくこと自体に興味が湧かないわけもなく、ということでありまして。
年末にもふれたフォッサマグナの中に聳える中部山岳では
さぞかしダイナミックな地殻変動があったろうとは想像しておりましたけれど、
北アルプス、取り分け爺が岳のあたりでは地面が90度回転して持ち上がっていたとなれば、
人間の考えるダイナミックさを自然は遥かに凌駕していたのだあと思うところです。
一方で、日本地図を見れば「ここには絶対、何かある」と感じること必定の中央構造線、
特に紀伊半島から四国北部を抜けて九州北部に至る一本の線に関しても、この線の南北で
土地が東西にずれたことで鳴門海峡が開かれ、太平洋の水が流れ込んで瀬戸内海を造った…てな話は
「ほお~」と思わざるをえなかったりするわけです。
また、伊豆七島から小笠原諸島、硫黄島を経て南へ、それこそグアム、サイパンに至るまでの間に
アグリハン島とかアラガマン島とかアナタハン島とか、そういった孤島が点々と連なっていることにも
予て気になっていたところながら、これはフィリピン海プレートの際に沿って数多の海底火山が噴火し、
その結果としてできた山頂部分が海面上に顔を出しているだと説明されておりましたなあ。
こうした地形の妙を聞き及びますと、それぞれに自然が施した姿を見てみたくなるところですが、
なかなかにそれもままならず。せめて「ブラタモリ」で探索するくらいのご近所地形の妙に触れることで
お茶を濁すかともなるわけですね。何せ、どこへと行ってまたまた出かけにくい状況にもなっておりますし。
ということで、散歩がてら(といっても自転車を使いましたが)に近隣の日野市へと出かけて見た次第。
多摩川を石田大橋で八王子方面へと渡りますと、日野バイパス(現在はこちらが国道20号線)は
しばらく平坦な道であるのが、やおら滝坂という長い登り坂に行き当たるのですな。
今ではもそっと南側を流れている浅川の河岸段丘上へと登っていくことになりまして、
ひいこら言いながら(なんせ自転車ですので)登りきると俄然見晴らしがよくなりましたですよ。
こんなふうに富士のお山も望めるのでして。
ちょうど右手が段丘がありまして、その際ということになりますけれど、
この滝坂からもそっと進んだところに、一応の目的地とした黒川清流公園はありました。
段丘の際に帯状に続く木立に入り込みますと、すっかり山歩きのような気分にもなってきます。
でもって、河岸段丘の「キワ」、つまりは崖線であるところには湧き水ありということになりますね。
この橋の奥、水源は藪の中ですけれど、湧き水が早や小さな流れを作っておるのでありますよ。
崖線ですので、際のあちこちから湧いているものの、特にこの場所が黒川湧水として
東京の名湧水57選のひとつになっているですなあ。
と、日本列島の成り立ちは…てなところから語り起こしておきながら、
とどのつまり、ご近所ひだまり散歩のようなお話になりましたけれど、
こうした近隣ぶらりをこそ密やかな楽しみとして、今しばらく忍ばねばならないかもですねえ…。