先にS&G(サイモン&ガーファンクル)の曲を久しぶりに聴いていたですが、
彼らが活躍したのはもっぱら1960年代後半で、その点、個人的に聴き始めたときはすでに後追いの状態。
ビートルズなんかとも同様ですなあ。
で、ビートルズのように4人もいればなおのことですが、S&Gという二人組も永遠ではなく、
それぞれの道へと分かれていってしまう。聴いている側からすれば、もっともっとの思いもあって、
解散をなんとも残念に思ったりもするわけですけれど、コンビ、グループがずっとそのままとは
なかなかできることではないのでもありましょうか。
音楽のグループの場合には、長らくやっているうちにどうしても「目指す音楽の方向が異なって…」てなことで
分かれて活動するようになったりするわけですけれど、確かにそういうこともある反面、
それまでやってきた音楽を全否定することは稀ですので、かつてのような音楽を自身懐かしく思い、
当時のような音楽をやりたいなと思ったときに最良のパートナーはかつての仲間だったりするのですよね。
ですから、長いブランクの後に「復活か?!」てなことが起こったりもする。
S&Gも名盤「明日に架ける橋」を出してから11年後にセントラル・パークでコンサートをやっておりますな。
53万人もの聴衆があったということで、盛り上がりようが知れるというものですけれど、
サイモンとガーファンクル自身、生まれ育ったニューヨークでのこのようすに感慨ひとしおだったのでは…。
とまあ、そんなことを思うにつけ、このコンビはよくやっていたのだなあと思うのですね。
かつて(といっても全盛期は第二次大戦前でしょうか)一世を風靡にしたお笑いコンビのローレル&ハーディ、
映画「僕たちのラストステージ」を見て、思うところなのでありあすよ。
日本でも「極楽〇〇」というタイトルで主演映画が続々公開されたのは第二次大戦前、
全盛期はその頃なのでしょうねえ。この映画ではそんな二人が戦後にいささか食い詰め気味になったところで、
なんとか次作の映画製作費を工面すべく、英国巡業に出た舞台の日々を描いたものでありました。
当初の反応は「まだ活動していたの?うそでしょ」というくらいに冷ややか、
往年のビッグネームの割にはあてがわれた劇場も場末の小ホールで、観客もまばら。
街角に大きく貼られたアボット&コステロ主演映画のポスターを黙って見上げるようすに世の移り変わりを
じみじみ感じていたのではないでしょうか。
それでも、往年の大スターの巡業は「本物」であることが知れ渡ると劇場も大きなものに変わり、
公演も大成功を収めるように。さりながら、ハーディの体調は優れず、代役を立てて凌ごうかということになり、
稽古を繰り返すも、どうにもぴんとこないローレル。同じネタをなぞるだけでもやはり相手はハーディでないと…。
という具合に息のあったコンビであったようですけれど、そもそもは映画プロデューサーが二人を組ませたという
元は知らないどうし。いわば見合い結婚のような感じではありますけれど、それがツボにはまったときには
一時の熱情にかられた恋愛よりは長続きするのかもしれませんですなあ。
もちろん、長年コンビを組む中ではその関係がぎくしゃくすることもしばしであったわけですが、
やはり互いに「ローレルでなくては」、「ハーディでなくては」という意識が強くなっていたようで、
ハーディが引退すると、まだまだ続ける気持ちのあったローレルも隠遁することに。
こうした二人のようすを見る側はなんともしみじみ、ほのぼのとした気持ちがしたものでありますよ。
コンビを続ける、グループ活動を続ける中にはいろんなことがありましょうから、
結果的にローレル&ハーディがこのようであったことを「こうでなくちゃ」とまで言うつもりはありませんけれど、
本当に仲が良いところから生まれる雰囲気はきっと見ている側にも伝わって、
だからこそ人気が長持ちしたのではなかろうかなと思ったりしたのでありました。
ちなみに「長編、短編あわせて出演作は104本にのぼる」(Wikipedia)とのこと。
古い映画だけに見る機会があるかどうかは分かりませんけれど、
こちらの映画の中で再現されたステージでのコントを見る限り、いかにも昔風であるものの、
ついついにんまりとしてしまいそうな仕立てで、楽しめそうな気がしましたですよ。