まことに唐突ながら、ロナルド・ビンジという作曲家をご存知でありましょうか?
先日、ラプソディー、狂詩曲のことを書きましたけれど、そのときに「そういえば…」と思い出した曲のひとつに
スコットランド狂詩曲がありまして、その作曲者がロナルド・ビンジだったという次第です。
かつてNaxosからMarco Poloというレーベルで「British Light Music」というシリーズが出てまして、
その作曲家別アンソロジーのCDの中にロナルド・ビンジを集めた一枚があったのですね。
予備知識無しの、何となく買いです(笑)。
とかく作曲家と言いますと大層な音楽を書く人という印象があって、大層でない、いわゆる一般受けする曲を書く人を
いささか低く見る傾向があったように思います。それがだんだんと、それはそれ、これはこれとして見られる状況が
出来上がってきているのかも。
例えば古関裕而が改めて注目されたり、今年亡くなった服部克久が回顧されたり、他にも例はありましょうけれど、
翻ってビンジは、ということになりますと、ライトミュージックというシリーズ・タイトル通りに
CDには軽快な音楽が満載されておりますよ。
奇しくも生誕110年とあっては、どうでしょう、英国では回顧されたりしておりましょうかね…。
ともあれ、久しぶりに取り出したCDを聴いてみたですが、もとより軽く聴き流せる音楽でもありつつ、
時に楽しく、時に哀愁を帯び…と、音楽職人の技の冴えが窺える気がしたものです。
CDを取り出すきっかけとなりました「スコットランド狂詩曲」も、まさにそのような音楽でありまして、
昔々に発行されていたNaxosの商品カタログにはこんな紹介文がありました。
ビンジは、主にBBCの放送用音楽を多く手掛けた軽音楽の職人です。大ヒット作「エリザベス朝のセレナード」で始まるこの1枚は、彼の異国趣味や硬派の作品など多彩な内容を誇っています。まず注目は「スコットランド狂詩曲」。独特の寂寥感を持つスコットランド民謡を巧く使った心にしみるナンバーです。
BBCのためにたくさん曲を書いた人だったのですな。日本でもTV番組のテーマ曲として作られながら、
その番組を見ていない人も聞き覚えのあるといった曲があったりしますが、作者も作品名も知られずとも
印象に残るメロディーを多々生み出した人であったということですかね。
CS放送を通じてBBCのドラマ(もっぱら歴史ものやミステリー系だったりしますが)を見ることがありますけれど、
「女王ヴィクトリア 愛に生きる」ですとか、結構印象に残るメロディーに遭遇することもありますから、
今でもBBCの音楽職人たちは健在なのでしょう。ビンジはそうした人たちの大先輩でもあろうかと思うところです。
とまあ、いくら書き言葉を連ねても、音楽は聴いてみないとピンとこないところがありましょう、
Youtubeで(「ロナルド・ビンジ」よりも「Ronald Binge」の方がヒット率が高いと思いますが)検索してみると、
先に触れたタイトルの曲のほかにも、アーサー・プライヤーの「口笛吹きと犬」を思わせる一曲や、
「あら、これは『小さな恋のメロディ』のFのテーマのような…」という曲やら、
いろいろと楽しく悲しく美しい旋律に迎えられるますですよ、きっと。