…てな具合にライプツィヒの街なかをあちこち巡った一日の締めはやはりアウグストゥス広場に戻って、

こちらのライプツィヒ歌劇場へ。といっても公演はソワレですので、一旦ホテルに帰って出直すのですけれど。

 

 

とまれ、劇場脇に立つ解説板には、このような説明がありましたですよ。

 以前のオペラハウスは第二次大戦で破壊され、現在の建物は1960年にオープンしました。 ライプツィヒのオペラの歴史は1693年に遡り、世界で最も古い市民の音楽劇場のひとつとなっています。 300年を超えるライプツィヒのオペラの伝統の中で、ゲオルク・フィリップ・テレマン、E.T.A.ホフマン、 アルベルト・ロルツィング、そしてグスタフ・マーラーを含む重要な作曲家たちがこの歌劇場に関わりました。

いまさらですが、E.T.A.ホフマンって作曲家でもあったのですねえ。

もひとり、ロルツィングも今となっては馴染みの薄い作曲家ですが、いわゆるオペレッタが全盛を迎える以前、

万人受けのするような作品でもって一世を風靡した存在でもあるとか。

以前、読響の演奏会で序曲が取り上げられた「ロシア皇帝と船大工」はロルツィングの代表作であったようで。

 

と、そういえば先にマーラーのライプツィヒ旧宅を眺めた折に、

近くの建物に「ロルツィングが1833年から1846年までここに住まっていた」というプレートを見かけたのでしたっけ。

(かなり判読しにくいですが…)

 

 

とまれ、そんなライプツィヒ歌劇場で当日の演目はスメタナの歌劇「売られた花嫁」で、

こちらがプログラムですけれど、上の劇場の写真にも同じデザインのバナーが下がってますな。

 

 

しかしまあ、夏場にヨーロッパに出かけても音楽的にはシーズンオフで、

演奏会はサマーコンサートのようなイベントに出くわすことはあってもオペラ公演はお休みばかり。

夏にうまいことオペラ公演に出くわしたのは、ストックホルム歌劇場で見た「トスカ」と今回くらいでしょうかねえ。

 

そのくらい稀なわけですが、ここでの公演は思い返してみるにやはり子供向けのサマーイベントだったのかも。

実際ソワレとはいえ、客席には子どもの姿が結構見受けられましたし(幸いにして皆大人しく見ていた)、

本来はスメタナが現実にも音楽でもチェコの自立を目指す中で書かれた作品だけにチェコ語のはずが、

ドイツ語で上演され(そのことはまあ、あるとしても)、その上さらにドイツ語字幕まで付いていたのでして。

 

ですので、子ども向けでもあらんかと思ったわけですが、ドイツ語少しだけという者にとっては

鑑賞上、このドイツ語字幕には実に有用性があったなあと思ったものでありますよ。

初めて見る演目だったですしね。

 

予備知識としては、快速で走る地下鉄電車のような序曲(途中で地上に出たりする雰囲気もあり)を知るばかり、

どんな物語につきましては少しも知るところがなく、なまじチェコの国民的オペラなどという位置づけからは

大国に翻弄された国の命運を暗示する的な重々しいテーマであろうかと想像したところが、豈図らんや、

底抜けに楽しい喜劇だったのですな、この作品は。

 

あまり小難しいことを言うでなく、チェコの人々にとって親しみやすい民謡、踊りの旋律を感じさせながら、

いわゆるクラシックの書法でもって伝えてたいということでもありましょうか。

そういう意味で画期的な作品かのかもしれません。

 

とまれ、初めて接したスメタナの歌劇「売られた花嫁」、いやあ、楽しかった。

ですので、ライプツィヒ歌劇場の印象はこの上なく良いものになりましたですよ(笑)。、