大阪・四天王寺にやってきまして、まずは石の鳥居の話に終始してしまいましたですが、
この石鳥居があるのは西側にあたるのですよね。
四天王寺式伽藍と呼ばれるお堂などの配置は南から北へ一直線に並んで、
法隆寺などのように回廊内に塔と金堂が横並びになっている形とは異なる特徴があるわけですね。
ですので、石鳥居のある西側から眺めてしまいますと、上の写真のようなってしまい、
四天王寺式伽藍の本来の姿を想像しにくくなるところでもあろうかと。
ですので、その四天王寺らしい伽藍の配置を臨むやはり南側からのアプローチかと
ちとこだわりを見せたのですが、やっぱり俯瞰でないとだめですなあ…。
とまれ、気にかけていた五重塔を間近に見るには、
拝観料をお支払いいたしまして回廊に囲まれた中央伽藍に入りませんと。
さすがに間近で見ると、立派な!と思うところでして。
されど先に「金剛の塔」で読みましたように、これがすべて鉄筋コンクリート造であるとは…。
古来幾たびもの天災火災などで焼失し、その都度再建されてきた四天王寺ですけれど、
近いところでは1945年の大阪大空襲で特徴ある伽藍は悉く灰燼に帰してしまったと。
その後の昭和の再建で今の姿となったということでありますよ。
ぱっと見ではとてもコンクリート造とは分からないだけに、よくまあ、再現したなあとは思うものの、
塔の中に入ってみますとこれが、完全に鉄筋コンクリートなのですなあ。
昭和になって各地のお城なども再建される際にも鉄筋コンクリートで造られてたりしていて、
木造はやわいから頑丈にという思いがあったのでしょうかね。
とはいうものの、法隆寺が世界最古の木造建築と言われますように、
状況によっては1000年以上も長持ちする。もちろん、ところどころの補修は必要としてもです。
以前、「ブラタモリ」だかで京都・清水寺の懸造の修復に触れていたですが、
ほんの部分部分の修復で全体が長持ちするのですよねえ。
(もっとも、その部分部分の修復に手間がかかるのですけれど)
一方で、鉄筋コンクリートの建物は当座の頑丈さもやがて朽ちるというか、劣化は必至。
結局のところ、スクラップアンドビルドということになりますね。
かつて木造の欠点は火災に弱いということだったと思いますが、
歴史上、たびたび「何々大火」てなものに見舞われてはきたものの、
今はそこまでの大火災が頻出することはなくなっている…と、なりますと、
日本の風土とともにある木造建築はもっともっと見直されていいのかもしれませんですね。
「金剛の塔」にも紹介されていましたように、
四天王寺・五重塔の心柱から応用されたかとも思われる耐震構造が施されている…
てなことでもありますし。
こののち四天王寺が旧来の木造による技術の粋を尽くして再建されることが
果たしてありましょうや、どうでしょうか。
そんなあれこれを、天を衝く五重塔の甍を見上げながら夢想したものでありますよ。