東京・京橋には個性的な企画展を覗きに行くこと度々のLIXILギャラリー がありますけれど、
ここはかつてINAXギャラリーでして、INAXがトステムほかと大同合併してできた会社がLIXIL。

ちなみにちょうど常滑を訪ねていたころには、LIXILは株主総会前でかなりもめていたですなあ。
会長と社長が反目しているてなことで。


それはともかく、合併してLIXILとなる前のINAX、その旧社名が伊奈製陶でありますね。
TOTO(東洋陶器)と並んで一般にはトイレ周りの製品で知られた会社であろうかと思います。

その伊奈製陶の創業者・伊奈初之丞が実は常滑の人で、トイレ以前に土管 製造に従事。
つまり常滑はINAX、伊奈製陶の創業の地だったというわけでして。


そんな関係からLIXILギャラリーには常滑にあるINAXライブミュージアムの
案内リーフレットが置かれていて、「いつか行くことがあるかなあ」と思っていたところながら
ふいと実現してしまったような次第でありますよ。


常滑駅から知多半田駅行きのバスでもって5分程度でしょうか。
「やきもの散歩道」からそのままに歩いて行けないこともないくらいですが、

このときはホテル預けの荷物の関係上、バスで。


とまれ、INAXライブミュージアム前なるバス停で下車しますと、

INAX(LIXIL?)の大きな工場が広がる向いに
ミュージアムの建物が点在しているのでありました。

INAXライブミュージアム


6つの建物で構成されているというミュージアムを見て廻っておりましたら、
結果的には4時間近くも経ってしまった…という話は追々として、
まずはミュージアムのメインと思しき建物へ。


世界のタイル博物館@INAXライブミュージアム

「世界のタイル博物館」では古今東西の装飾タイルを展示する施設になっておりますが、

これは伊奈製陶が土管作りとともにタイル製造にも力を入れてきたからでありましょう。
確か以前にはLIXILギャラリーでもその一部が紹介されたことがありましたっけ。



で、そのタイルを見にいく…その前に企画展示室の方に足を向けてみたのですね。
これはこれでINAXらしい展示かと。題して「染付古便器コレクション」展ですから。

「染付古便器コレクション」展
「染付」とは、中国景徳鎮を発祥とする藍青色と白のコントラストが特徴的な磁器のやきものと、その技法を指します。世界の陶磁器の技術者が競って真似たと言われ、日本では有田を中心につくられた後、瀬戸でもつくられるようになります。明治24年(1891年)、濃尾大地震以降、復興需要の高まりとともに、富裕層の邸宅や旅館、料亭など客をもてなす場を中心に華やかな染付便器が流行しました。

会場にはまずこのような説明がありましたけれど、
江戸末期頃までもっぱら木製であった便器を

やきもので作るのは瀬戸や常滑で始まったことだとか。
そもそも「日本独自の形である小判形大便器」は瀬戸発祥であるそうですし。


瀬戸焼の染付便器

でもって、先の解説にあったように染付の技法で装飾を凝らした製品が備え付けられる場も
現れてくるわけですが、富裕層の家庭における施工後のようすはこのように。



便器そのものはもとより床も陶器のタイル製。さらにはトイレの履物まで…と思いましたが、
「厠下駄」というこの代物、実はこれを履いて歩くには重すぎるようで。
床を汚さないよう、立ち位置を示すために置かれているてなことでありますよ。


とまあ、一世を風靡した?染付便器は

1937年(昭和12年)頃には瀬戸での生産が終わるということで、
どうやら一時のブームのようなものであったのですなあ。


INAXライブミュージアムまできて、

のっけはいささか臭いがしてくる…ような話になってしまいましたですが、
さてと世界のタイルを見に行くといたしましょうか。