…ということで、三浦半島の鷹取山に登ったというお話 でありますけれど、

頂上にあたる展望台からの眺めのほどは…。



切り立った岩壁の向こうに見えるのは、横須賀の海でしょうか。

米軍のベースや自衛隊の艦隊司令部は手前の山の陰になって見えないとは

そういうロケーションを選んでいるのかなと思ったり。


目を転じると富士山が見える…はずなんですが、曇り空がすっかり姿を隠してしまいまして。

代わりせめてもの遠望として目を止めたのが江の島でありました。

真中に灯台がすっくと立っているので、探しやすいですよね。

ただし、久里浜火力発電所から続いていると思しき送電鉄塔が思い切り視界を遮ってますが。



と、眺望はすっきりしたものではありませんでしたけれど、とりあえず。

展望台下の開けた場所で、山用の携帯コンロを取り出し昼飯を取り始めますと、

どうやらスクランブル状態で飛来したものがあるのですね。



先ほど見たように江の島も望める場所だけに、

もっぱら江の島の観光客を悩ましていると噂のトンビは鷹取山にも出張してくるようで。

この後、すぐ頭の上というくらいまで来て輪を描き、やおら急降下で襲来し、

近くでは食べ物を掠め取られていた人もおったようですよ。


元来、鷹取山の名の由来は、太田道灌が鷹狩に来たとか、

もともと鷹が多くいて鷹を調達する場であったとか、いろいろあるようですけれど、

トンビもタカ科の猛禽類だけに、むしろこちらが本拠地で江の島方面へ出張していると

見るべきなのかもしれませんなあ。


トンビに食料をさらわれないようにそそくさと昼飯を済ませて、

今度は神武寺方向へと下りに掛りますが、その入口がこちらです。


神武寺への下りはこちらから

岩を削って無理やり開いたような道ですな。

ずいぶんせまいと思っておりますと、この先には思いもよらぬクサリ場が。


鷹取山ハイキングコースのクサリ場

と、遥か下まで切れ落ちた斜面ではありませんので驚くには当たらないですが、

全山岩の塊のような山なのだなと改めて思いましたですよ。


ほどなく歩きやすい尾根道になりまして、ずんずんと下っていきますと、

大きな堂宇が見えて医王山神武寺に到着と相成ります。

創建は神亀元年(724年)、古くから山岳信仰の霊場とあったというのは

ロケーション的にさもありなむです。


医王山神武寺


奥に見えているのは薬師堂でして、薬師三尊像を祀って病気平癒の願掛けがされる場所。

源頼朝・政子夫妻の信仰も篤かったとは「吾妻鏡」にも書かれてあるのだそうな。



ただ、こちらの本堂のある一画には檀信徒および関係者以外立入禁止と。

御朱印をもらう人は中で受け付けているみたいですが。



総門をくぐりぬけ、振り返る神武寺境内。

ヒトはそもそも何らかの自然の「力」がありそうだと考えるところにたくさんの寺社を造り、

そのことを忘れて寺社がパワースポットだというような言い方をしてしまう昨今ですが、

神武寺のいかにも山と一体化したお寺さんという佇まいもまた、

古の人が自然の「力」を感じ取ったからこそこの場所に開かれたのだということを

思い出させてくれるのでありますよ。


とまれ、神武寺を背にしてJR横須賀線の東逗子駅へと下り、帰途に就いたのでありました。

ああ、いい汗かいて、自然の「気」にも触れたかなあと思いつつ。