ちょいと前に映画「コスタリカの奇跡 積極的平和国家のつくり方」 を見たときに

配給元が扱っている作品紹介リーフレットをもらい、

「ああ、こいつも面白そうだあね」と思っていたのが「0円キッチン」という映画でして。


2015年の制作で、公開当初は渋谷のアップリンクあたりでも上映していたようですが、

今はどこかで自主上映するのを待つばかり。

たまたま近隣の府中駅前で上映されると知って、出かけていったのでありました。


映画「0円キッチン」

どんな話かを配給元HPの紹介からもってまいりますと、こんな具合になります。

フードロスをなくすためのエンタメ・ロードムービー。

世界で生産される食料の3分の1は食べられることなく廃棄されている。その重さは世界で毎年13億トン。「捨てられてしまう食材を救い出し、おいしい料理に変身させよう!」食材救出人のダーヴィドが食品ロスをなくすためにヨーロッパ5カ国を巡る おいしく明るい”食”の旅路。

ダーフィトの地元オーストリアでは、まずウィーンで名物シュニッツェルを揚げる店から

諸国行脚の旅のお供である自動車を動かす原料になる廃油を調達。

ここだけ見ると、かつてTV東京でやっていた「ポンコツ&さまぁ〜ず」を思い出しますな。


行く先々で使用済みの食用油を貰って〝天ぷらカー″で移動し、

目指すは日本一周?というものでしたが、まあ、エコ的な視点は薄かったですかね。


それはともかく、ダーフィトの方は廃油で車を駆りつつ、大型スーパーのゴミ捨て場を直撃。

まだ食べられる食材をざくざく掘り出して調理し、周りの皆で食すというパフォーマンスは

さぞや「もったいないねえ」という意識を引き起こしたことでありましょう。


ザルツブルクに移動したダーフィトは何か特別ということもない集合住宅のひとつへ。

一軒一軒、「お宅の冷蔵庫を拝見!」と訪ねて歩くのですな。


これもまた日本のバラエティー番組的な気がしてしまうところながら、

一般家庭の冷蔵庫に潜むデッドストックを掘り出そうとしているわけですな。

「こんなもの、出ました」と見つけ出しては家人に「まだ使う?捨てる?」と尋ね、

ほとんどすべて「もう使わない」との返事を得て、その食材を救出?しているのでして。


何軒か回ってざっくり山になった食材を使って、ダーフィトの友人のシェフが調理し、

集合住宅の中庭部分に住人たちを招いて「さあ、どうぞ」と。

捨てようと思っていたものがこんなにおいしく食べられるのだあねと

またひとつ意識の種まきをして、次へと移動するダーフィトたちでありました。


ドイツに入り、シュトゥットガルトでは

外来種で駆除対象の野草が実はおいしく食べられる食材でもあると紹介して、

単に費用を掛ける取り払うばかりが駆除ではない…とはそのとおりですが、

これはどこにでもある状況ではないかもしれませんですね。


ベルリンでも街中でたわわに実る(といっても小粒ですが)果実を大量に収穫するともに、

残り物食材で作った料理で屋外パーティーを実施する団体を紹介したり。


その後、オランダでは食肉加工の際に出るフードロスに着目するところから

肉の変わりになってロスの無いたんぱく源として昆虫食の実用化に取り組むところを取材。


未来を担う子供たちに試食してもらうという場面では、ミールワーム入りの肉団子を

戸惑いながらも口にした子供たちが「おいしい」と言ってる姿が見られましたですが、

一方でどうしても手を出すことのできない子供も。

動くミールワームを見た後だけに、解らないではない反応ですなあ…。


ベルギーでは食料廃棄量減少の掛け声をかける欧州議会に乗り込んで、

実はそこの食堂でも(一般店よりは意識されているにせよ)かなり廃棄物が出ていると。


やはり残り物で調理したコース料理を議会の人たち(議員か職員かはわかりませんが)に

ふるまい、「28カ国の人が集まる場所だけに一度にメッセージが広がるね」と言葉に

「それは何らかの対応がなされるということですか?それとも言葉だけですか?」と

突っ込むダーフィト。反応は「・・・」だったのですけれどね。


と、この後はフランスにも移動していくのですけれど、

すべてのエピソードに全て触れてしまうのもどうかと思いますので、この辺で。

(ほどんど触れてしまいましたですが…)


そのまんまの状況を日本で考えると「ん?」というところが無いではありませんけれど、

根本的に無駄が生じている、というより人間が無駄を生じさせていることは事実ですね。

それからすると、考えどころのきっかけになるものであったなあと思うのですけれど、

こうした映画に関心のある人は黙っていても集まってくるところながら、

関心の薄い人たちに見てもらえるといいんですが、これが難しいのでしょうなあ…。