さて、トラム でもってミュージアム広場 からアムステルダム中央駅に出てまいりました。
通勤時間にはちと遅めとも思しきところながら、行き交う人の数の多さ、そしてせわしいようすは
日本の朝を思い出すところでもありましたよ。
アムステルダム中央駅

そういえば、アムステルダム中央駅は東京駅 のモデルになったてなことが言われますね。
レンガ造りのファサードのことを言っているのかとばかり思ってましたですが、
どうやらそうではないのではなかろうかと。似てませんよね。


アムステルダム中央駅遠景


ですので、アムステルダム中央駅が東京駅のモデルになったという話は
すっかり俗説で信憑性無しということになっているようでありますよ。
ただ敢えて言うならですけれど、ここはCentraalstation(中央駅)と言われながらも
ターミナル駅らしからぬところが似ていると言えなくもないような気もします。


つまり、日本でターミナル駅と言いますと大きな駅で乗り換え路線も多くといった印象ながら、
ターミナルが「おしまい」「末端」を意味するところから終着駅(裏返せば始発駅ですが)として、
線路が駅の奥で途切れているような形こそがターミナルでありましょう。
ヨーロッパの大都市にある大きな駅にはこの形が多いですよね。



それに引き換え、延びる線路の途中に作られた駅は前にも後ろにも線路が延び、
その途中に駅舎が作られただけと言えばだけですな。
つまりは通過駅型といいますか、どんなに大きくても東京駅はこのタイプ。
そして、アムステルダム中央駅も同様なのでありますよ。

アムステルダム中央駅は行き止まらない


どうやらオランダ国鉄にはターミナル型の駅は少ないような気がします。
思いつく限りではデン・ハーグ中央駅くらいでしょうか。


ですが、このターミナル駅が列車によっては途中駅となる場合、
一端入って逆からでなければならないことが時間のロスになりますよね。


そのためにデン・ハーグ中央駅の手前には通過駅型のデン・ハーグHS駅が作られ、
ともするとデン・ハーグでHS駅には停まるけれど中央駅には入らずに
過ぎて行ってしまう列車などもあるようで。


以前、TV東京「美の巨人たち」でも取り上げられた、
隣国ベルギーのアントウェルペン中央駅 は壮麗なターミナル駅舎で
「世界一美しい駅」とも言われたりするところながら、このターミナル型が災いして
停まってくれない国際列車が出てきてしまったことから、駅舎はそのままに
地下に新しい線路を作ったのですな。


駅舎に突き当たらずにスムーズに列車が通り抜けられることになれば、
アントウェルペンは大きな町ですから、そりゃ停まって差し上げましょうというわけで。


ということで、ヨーロッパでよくみられるターミナル駅には
現代の多様な運行パターンと速度向上の方向性が対応しにくい状況でもあるわけながら、
ターミナル駅が醸す旅情といいましょうか、そのようなものがあるような。


現実的なターミナル性はすっかり薄れても上野駅の方が
東京駅よりも旅の気分を醸すようなところがありはしますまいか。
まあ、単なるノスタルジーなのかもしれませんですが。


とまれ、機能性では利のある通過型駅という点において
アムステルダム中央駅は東京駅のモデルと言えるのかもしれませんですね。