まあ帰国の際の顛末 はともかくも、今回は11年ぶりにKLMオランダ航空でもって
11年ぶりのアムステルダムへと向かったわけですけれど、
機内では往復で都合5本の映画を見て過ごしておりましたですよ。
往路は到着後にホテルでぐっすり眠るためにひたすら起きているので4本、
帰路は朝の成田到着に向けてたっぷり睡眠が必要なので1本という具合でして、
まずはお手軽なお楽しみ映画と思しき「グレイテスト・ショーマン」から。
日本にも来たことのある「リングリング・サーカス」(すでに解散してしまったようす)につながる
自らのサーカス団を作ったことで知られるP.T.バーナムが主人公でありますね。
後には市長や下院議員にもなった人物ですけれど、自らの才覚で大立者になった、
いわばアメリカンドリームの人でもあろうかと思いますが、発端は映画にもあるとおりに
相当に山師的なところのある人物のようにも。
もっとも映画ではそのあたり、ミュージカル仕立てにしていることもあり、
夢見るような方向にいささか傾斜しすぎな気がしますけれど、
バーナムの伝記的な部分に着目するよりはショーマンを描いたショーを見るつもりになれば
よいのでしょう。音楽は良かったなあと思いましたですよ。
お次は日本未公開であったらしい「Goodbye Christopher Robin」というイギリス映画。
どうやらこの10月に(劇場未公開のまま)DVDが発売されるらしいですけれど。
クリストファー・ロビンと聞けば「ああ、プーさんの…」となるわけでして、
ジャケット・カバーにあるくまのぬいぐるみをぶら下げて歩く少年の姿に「ああ」と
思い当たる方も多いことではありましょう。
ですが、少年の左側には大人の男性の姿がある。
果たしてこれが作者のA.A.ミルンでありますな。
第一次大戦への出征で心理的後遺症が残り、すっかり書けなくなった作家のミルン。
あるとき息子のクリストファー・ロビンがくまのぬいぐるみと遊ぶところから発想を得て、
「くまのプーさん」(日本への紹介は石井桃子 訳)を書いたところ大人気に。
さりながら「作品が脚光を浴び続ける一方で、「プーさん」は作者のミルンと
息子クリストファーの以後の人生に暗い影を落とすことにもなった」(Wikipedia)という状況にも
なっていくのですなあ。 映画で描かれているのは、このあたりです。
ディズニー の影響もあるにせよ、世界中で長い人気を誇る「くまのプーさん」の作者が
自らの息子との関係がかようなものであったとは、実に実に皮肉なものでもあろうかと
思ってしまうのでありました。
続いての一作は同行者から「面白かった」と聞いたものですから。
前にちと触れましたですが、今回は同じフライトで行くひとりと
アムステルダム現地集合のひとりと計3名での旅となっておりまして
同行者推薦となれば旅の間の話のタネでもありますし、ここはお薦めに従ってという次第。
いわゆるディザスター・ムービーであるアメリカ映画「ジオストーム」です。
異常気象による災害を防止するために国際宇宙ステーションが気象コントロールをしているも
何故か(といって、お決まりのプロローグですが)制御不能になってしまい、
返って大災害を引き起こす状況に。
タイムリミットの迫る中でもはや宇宙ステーションに飛んで、人的作業に頼るほか無い。
出かけた者には帰ってこられる保証はないが…と「アルマゲドン」状態になっていくのですな。
災害ものは多々作られ続けていますけれど、煎じ詰めればどれも一緒の感は否めず。
まあ、面白く見られはするものの、そこまで止まりでありましょうかねえ…。
さらにもひとつ、同行者との話題合わせの一作。
東野圭吾の原作で阿部寛の出ている映画ということでしたので、「ああ、これか」と「疾風ロンド」を。
東野圭吾って、こんな話も書くんだと思ったですが
(といって、たぶん一度も読んだことないように思うところではありますが)
確かにサスペンスではあるものの、コミカルさをふりかけてあるだけに
どうせなら中途半端でない阿部寛らしいところ(「テルマエ・ロマエ 」とか)が出ていた方が
良かったのではないですかね。そうなると、東野サスペンスとはずれるのかもですが…。
とまあ、お薦めに従うも「う~む」であったところを同行者に伝えたところ、
東野圭吾原作で阿部寛の出ている映画は別にもう一つあったようで。
そこで、帰国便で改めて見てみることにしたのが「祈りの幕が下りる時」でありました。
なるほど、設定やらなんやらのあちらこちらで「?」となるのが少ない分、
「疾風ロンド」よりいいかなとは思ったものの(なんでも煎じ詰めてしまうわけではないながら)、
松本清張 の「砂の器」なんかを思い出したりしてしまうのですよねえ。
最後のひとつは帰国便の中でしたですが、
とまれ、そんなこんなの映画三昧のうちに飛行機は
アムステルダム、スキポール空港に到着したのでありました。