ムットーニ展 を見に八王子に出かけたわけですが、

その際に昼飯どころを求めて商店街をうろうろしておりましたところ、

「お!」と目をとめたお店に入ってみたのでありました。


昼間から薄暗い店内…というと印象はよろしくなかろうと思いますけれど、

狭く急な階段を上って2階席へと向かうときに想起したのは

「ベイカー街221Bにでも来たような感じだのう」ということでして。


パブ・シャーロックホームズ@八王子

さもありなむ、店の名前は「パブ・シャーロックホームズ」でありますからねえ。

昔のホームズ映画のポスターやらも配しながら、

(「バスカヴィル家の犬」ではピーター・カッシングがホームズ役だったのですな、怖っ!)

ヴィクトリア朝 の雰囲気を醸そうという作戦にはいささか綻びが無いとは言えないものの、

頑張ってるなあとは思えるところかと。


ですので、ランチを食しに入ったところが雰囲気に飲まれて?

まずはこういうことになりますなあ。



ギネスもありましたけれど、わりとどこでもお目にかかれるので、

このときはアイルランドのエール、キルケニーをお試しで。

ギネスほどにはガツン度合いが少ない分、飲みやすいようにも思う一方で、飽きはくるかも。

ただ、こういうお店でサーバーから提供されると、クリーミーな泡のおかげもあって

とにかくおいしく飲めてしまいますけれどね。


と、それはともかく昼食の方。

パブとして雰囲気を醸すのならパイの類いを出してほしいなあと思ったりするも

ランチメニューはいわゆる洋食のあれこれといったところ。

何にしようかなと思いつつ、「そうだった!」と思ったひと品がこちらでありますよ。



いわゆる町の洋食屋さんや昔ながらの喫茶店で出てくるものとは見た目が違うですが、

何を隠そう、ナポリタンでありまして、何がそうだった!なのかと言いますれば

八王子はナポリタンを町おこしに使っているのですよね、「はちナポ」とか言って。


いまだ知る人は少ないながら(かくいう当人も知ったのは最近)、

「八王子ナポリタン」かくあるべしという定義までしているという。

曰く「たっぷりの刻み玉ねぎをのせること」と。


一日の長があってこちらの方が知られている「八王子らーめん」、

これは玉ねぎがのっていることを個性としていますが、ナポリタンもこれに便乗した形ですね。

「はちナポ」のサイトでは、この定義を踏まえて独自のレシピでナポリタンを作る店を

認定店として紹介していますから、これからの町おこしに一役買っていくのかも。


残念ながら「パブ・シャーロックホームズ」のナポリタンは「はちナポ」ではありませんけれど、

こうした取組みが八王子でも行われているのだなと思ったわけで。


そこまで思いが立ち至ったときに、

個人的にはことあるごとに示している「個人商店押し」の姿勢も思い出すことに。


で、はたと思ったのが、「パブ・シャーロックホームズ」のようないささかこだわりのある店は

おそくらくチェーン展開しているのだろうな、他でも見かける店なのだろうなということ。

ですが、こちらの方もどうやら八王子でさまざまなタイプの9店舗を構えるものの、

(つまりパブ・シャーロックホームズに類する店は他にない)

八王子地場のお店だったのですなあ(少し自らに納得)。


京の最西部にあって、東京駅からは中央線では1時間ほどのところにある八王子

 古くは桑都と呼ばれ、甲州街道の宿場町としても賑わった町ですけれど、

東京の端という以上の存在感は薄いかもと思っておったのですね。


ですが、むしろ端っこであることに開き直るならば、

東京であることをことさらアピールするでなく、

あたかも地方都市がそれぞれに個性で勝負しようとしているのと

同じような打ち出し方をしようとし始めているのかもしれません。


ヨーロッパの小さな町が、日本ならばあっさりと大都市圏内と片付けられそうな距離にあって

自主独立的な気概を見せているのに倣ってみたら良いのではと思うところです。


そうしたことに、パブ・シャーロックホームズという地場的なお店だったり、

「はちナポ」という街おこし的な取り組みであったりは関わってくることでもありましょうか。


たまたまにもせよ、パブ・シャーロックホームズの近くにまんじゅう屋がありまして、

ちょうど箱根湯本で温泉まんじゅうを作る機械がガラス越しに見られるのと同じように

次々とまんじゅうが作り出されるようすを窺えるお店なのですな。


なんだか名物っぽいから買ってみようかと思うも、

どうせならば帰りがけに買った方が出来立てだあねと購入を後回しにしたところ、

後で立ち寄ったときには店の前には行列ができており、しかも機械は止まっている。

売り切れ御免の状態に出来た行列はどこまでが買えるのだろうかという状況で、

結局諦めてしまいましたが、こういうお店があるってのもいいですなあ、実に。


なんだか取りとめもない話になってきていますけれど、

とにかく流通コストが下がるスケールメリットで

大手のチェーン展開ばかりが幅を利かした時代からはまた転換が図られつつあるのでしょうか。


東京都心の一転集中とは違うあり方を、

東京近郊から率先して取り組んでもいいのかもしれませんですね。


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