さて、ブルッヘからブリュッセルに移動して「Belgian Beer Weekend 」を覗き、
グラン・プラスの辺りをふらふらしたという翌日のお話でありまして。
ブリュッセルは前に一度見て回ったことがあるものですから、
周辺都市にちと足を伸ばしてみるかと出かけたのは、
電車で30分ほどのところにあるメヘレン。
日本だとこのくらいの移動では周辺都市とは言わないでしょうけれど、
町々で独立自尊の気概のようなものを感じるのがヨーロッパでありましょう。
例によってかつては城壁に囲まれていた旧市街エリアの外にある鉄道駅から歩き出し、
中心部のマルクト広場までは一本道が続いておりました。
ですが、メインストリートと思しき道に何と人のいないことか…。
ブランドショップまじりの商店街ですが、日曜の朝だったからかもしれませんですね。
心配するまでもなくマルクト広場に到着してみれば団体観光局もいましたし。
ちなみにマルクト広場に面して建つこの建物はメヘレンの市庁舎だとか。
ですが、奥、真ん中、手前と様式の違う建物が3棟並んでいて、どれが市庁舎?となるも、
実は全部というのが答えのようで。「地球の歩き方」にはこうありました。
右側に現在の市庁舎、左側には14世紀の市庁舎(現在は郵便局)、ふたつの市庁舎の間にあるのは13世紀の市庁舎(現在は…博物館)と、合計3つの市庁舎がひしめく。
なんだか屋外型の建築博物館のようですけれど、
これほど様式の違う建物が並んでいるもの妙な気がしないでもないですなあ。
ところで、お目当ての一つは真ん中の建物にある博物館だったのですけれど、
残念なことに閉まっておりました。日曜だからですかね。ちと思いつきで来てしまったもので。
それはともかく、一番右側の建物の前には変わった像が置かれてありましたでよ。
その名も「不実な夫」の像というそうな。
なんでもメヘレンの人たちの間には
酒飲みで浮気癖もあって金を家に入れないような男の家の前で
「不実な夫」人形を宙に放り上げ、「おれたちは知ってるけんね」とはやす風習があったのだとか。
後には行事化して祭りにも取り入れられたということですけれど、
なんとなく中世っぽさ(ティル・オイレンシュピーゲル のいたずらを思わせるような)が
感じられる気がしたものでありますよ。
ところで、かようなメヘレンという町にやってきたのは何故に?ということが
すっかり後回しになってしまいました。
実はこの町、16世紀初めの頃
ハプスブルク家 のマクシミリアン1世支配下にあったネーデルラントの総督府が置かれ、
いわば首都的な位置づけにあったという町なのですなあ。
ということで、そうしたあたりの痕跡なども探りつつ、
マルクト広場からメヘレン探訪を試みようということなのでありますよ。




