先に話題に上したものの

ニコライ・バーグマン の話に終始してしまったEテレ「にっぽんの芸能」のお話。

「雪月花」に因んだ筝曲、清元、舞踊が紹介されたということまでは触れておりましたですな。


この中で清元はともかく…といってないがしろにしているのではありませんで、

改めて耳を傾けてみますと同じく浄瑠璃に括られている義太夫とはずいぶんと異なる艶っぽさが

芝居小屋という大がかりな場所でなく、長屋の隅からでも聞こえてくる風情に合いそうだと思い、

また歌われている内容は今となってはよほど古典のあれこれに通じてないと受け止めにくいなとも。


という清元の演奏を挟むように配置されていたのが筝曲と舞踊でして、

舞踊の方は筝曲作品(公演ではパーカッションを特別にプラス)に振り付けたものだけに

どうしても琴の調べに耳を傾けることになったわけです。


琴の調べと言いますれば、個人的にはこれまた馴染みのない分野ですので、

八橋検校の「六段」や宮城道雄の「春の海」(尺八が入る分、フルートで演奏されたり)くらいしか

思い浮かぶものがありません。雅な雰囲気、きれいきれいな感じでしょうか。


一方で古典的な曲しかないのかと言えば決してそうではないようで、

このとき番組で紹介された筝曲「六花幻想」、舞踊が振り付けられた筝曲「月彩」などは

現代筝曲と言っていいのでしょうなあ。これが実にいいのですよ。


「現代曲」てな言い方をすると、それがまた和楽器を用いたものであったりするとなおのこと?

西洋音楽の中に和楽器を融合させる試みとか、あるいは新奇な奏法でもって

その楽器の音楽領域を広げようとするかのような試みとかがされているような気も。

「ほお」とは思っても、なかなかにそちら方面の音楽が常人にすっと入ってくることはないような。


ところが現代筝曲とはいっても、筝曲家の方が作られたものは

琴本来の特長、例えばアルペジオやトレモロといった、奇を衒うものでない奏法を使って

極限を狙っていくといいますか。だからといってアクロバティックとまでは行かず、

いい感じで素人の耳にも到達するものとなっている気がしたのでありますよ。

しかも、雅というばかりでないスタイリッシュさを併せ持っていたりして。


こうしたところへの興味というのは、

もしかするとブルッヘでハープ・コンサート (といっても用いる楽器は多様でしたし)を

聴いたことなんかも関係しているかもしれませんですね。


とまれ、「六花幻想」を作曲した筝曲家の沢井忠夫という人。

昔、ネスカフェ・ゴールドブレンドのCMでやっていた「違いのわかる男」のひとりとして

登場していたのですなあ。それほどに(当時)知られた筝曲家であったということでしょうか。


そうしたことにも影響されて(?)「六花幻想」をライブで聴いてもみたいですし、

筝曲の演奏会を探して聴きに行ったりしてみようかなと思うのでもありました。


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