ベンは、今では会社自体が無くなってしまった電話帳の会社で
営業職から生産管理の部長へと40年近く勤め上げた人物。
退職してからは悠々自適のはずがどうも「ひま」を持て余すようになって、
取り分け3年前に妻を亡くしてからというもの、
とにかく外へ出てみるということだけが救いといった毎日なのですな。
そんなある日、目に留まったのが「シニア・インターン」の広告でして、
まだまだとの思いが強いベンは、履歴書代わりにビデオメッセージをYoutubeにUPするという
難関?の応募方法をクリアして、面接に臨むのでありました。
まっとうな「会社人間」を自負するベンはそつなく面接をクリア。
それどころか、若い女性社長が一から立ち上げ、
急成長を遂げているアパレル会社は若い社員ばかりで、
旧態依然としたふうではあっても、ベンの言動に周囲一同は頷くことばかりといいますか。
会社にとっては社会貢献の一環というだけで、
シニア・インターンそのものに全く関心の無い社長ながら、
その社長付きというインターンにベンが選ばれるも、
(タイトルの「マイ・インターン」はここから来ているのでしょう、原題は単に「The Intern」)
何事につけ「目ざとすぎる」と社長はベンを持て余し気味。
ベンを配置転換するよう人事担当者に申し渡すものの、
すぐさまそれを悔やんで元に戻してもらうことに…。
とまあ、映画「マイ・インターン」はこんなふうに話が進んでいくわけですけれど、
「元に戻してもらうことに…」の「…」の後は想像に難くありませんですよね。
人生の、社会人の、そして企業人としても大先輩にあたるベン(ロバート・デ・ニーロ)に
社長のジュールズ(アン・ハサウェイ )は何くれとなく(家庭のことまでも)頼りにしていくのでして。
これを見ていて、いわゆる「会社人間」というのはどこにもいるのだなあということ。
何も日本に限ったことではないようで。
考えてみれば、そういう人たちをして「趣味がない」とかなんとか言ったりするわけですが、
仕事をしていてこそ自己充実感が高い人たちなのでしょうから、趣味も何も必要が無い。
仕事をしている限りにおいてはですけれどね。
個人的には定年後を夢見るくらいにやりたいことがある方ですので、
決してベンに感情移入するものではありませんけれど、
職場において有用であることを示したい、示せるはず…てな思いは些かなりとも理解できるような。
で、そうした年齢的に、というかキャリア的にというか、
一日の長を発揮できる場所があるはずだというのも分からなくはない。
ですが、リタイア後の誰もがそうした存在足りうるかは、現実世界では別問題でありましょうね。
ちょっと引いた目でみれば、映画のようにうまくいくはずはないと。
ですが、というか、ですから、というか、
この映画の話を「現実的でない」と見る向きもありましょうけれど、
コメディーだし、リアルさを追求しても詮無いと思えば、ファンタジーなんだなと思い至るわけです。
こうだったら、いいよなあという具合に。
職場でこそ自己充実感を満たしてきた人たちが「あったらいいよね」的に思い描くファンタジー。
そういうふうに整理してしまうところからすると、自らもその類い?と思ったりも。
リタイアに至る前段階では、先にも触れたようにやりたいことがたくさんあって、
リタイアを楽しみしてはいるんですが…。
…というところで、現実にはまだ仕事をしているものですから、ちと出張に。
毎年この時期に恒例化してしまってますが、新潟に行ってまいりますので、
明日はお休みを頂戴いたします。