さて、オステンドで訪ねた(個人的思い入れによる)メインスポットでありますが、
Sint-Petrus-en-Pauluskerk のちょいと奥側の道を北に折れ、
ずんずんと海の方向へ進んでいったところにあるのですね。
もうひとつ通りを越した先はビーチフロントという手前のビルの並びに
果たして「James Ensorhuis」はありました。看板は「ENSOR MUSEUM」と出てますね。
日本語的にはジェームズ・アンソール として知られる画家の住まいだったところです。
父親が英国の人、母親がフランデレンの人ということですので、
「アンソール」というフランス語っぽい呼び方は?と思いましたら、
Wikipediaには現地の発音では「エンソル」に近いという記載があって「なるほど」と思うも、
ここではアンソールとしておかないと、おそらく何のことやらになってしまいましょう。
ちなみにブルッヘで泊っていたホテルが「HOTEL ENSOR」でして、
画家本人とは関係ないようですけれど、ブレックファストルームには
アンソールの画集が置いてあったりしましたですよ。
と、ホテルのことはともかくも「アンソールハウス」のお話。
1917年から亡くなる1949年までアンソールはここに住まっていたそうですが、
うっかりするとショーウィンドウのあるお店かと通り過ぎてしまいそうになるのも
そもそも1階部分では観光客相手の土産物屋が営まれていたてなことから
そのお店だったようすまで再現しているとのことでありますよ。
ただミュージアムを見に来た者としては少々とまどうところかと。
以前、マインツでローマ時代の地下遺構 を見に行こうとした折に
地上部分で現役営業中の薬局の人に断って店内の階段を下りて行ったような感じとも。
とまれ、億の階段を上って…と案内を受けて展示室へと向かいますと
最初の部屋ではアンソールの生涯にまつわるビデオを上映中。
フランデレン語(オランダ語)の音声が分かるはずもありませんですが、
アンソールの生きた時代のオステンドのようすが「やっぱり絵に関係しているんだね」と。
ちょうどこの住まいが面しているとおりは海岸へと続く一本道で、
お祭りごとや何かつけ仮装の人たちでごったがえしたようでもあるとなれば、
まさにアンソールの絵の世界ではありませんか。
壁紙の色ゆえでしょう、ブルールームと名のついたこの部屋には
大作「キリストのブリュッセル入城」の複製が壁いっぱいに飾られていますけれど、
タイトルはブリュッセルながらこの仮装の賑わいは
アンソールがおそらくはオステンドで見た光景だったのではと思うところです。
部屋のなかはいかにもアンソールらしさを見せる設えでいっぱいです。もっともアンソールが
このようなおもちゃ箱をひっくりかえした状態で住んでいたとは思いませんですけどね。
ちょこなんと置かれたピアノを手慰みに弾いていたりしたのかもしれません。
小さなミュージアムではあるのですけれど、
細々としたところをあれこれ見ているうちに思いのほか時間が経ってしまい、
また日中のいいお天気が陰りを見せてきたようす。
ここはちと急ぎ足でオステンドの海岸へと出てみることに。
このゆるい登り坂の向こうには北海が広がっています。