雨に祟られたブルッヘの一日 を過ごした翌日、いささかいいお天気の予感が。

といって観天望気に長けているはずもなく、滞在中はTVの天気予報を毎日気にしていたわけで。


ブルッヘにいて一日は遠出をと思い描いていたものですから、

このときを措いて他になしとばかり出かけることにしたのでありますよ。

もっとも、交通手段としては一回乗り継ぎで片道せいぜい1時間半弱ですから、

東京感覚からすれば「遠出」とは言えなくくらいですけれど。


ブルッヘからオステンドへがらがらの列車


とまれ、ブルッヘ駅で乗り込んだ列車は、これであってる?と思われるほどにがらがら。

反対方向、ヘントやブリュッセル、あるいはアントウェルペンに向かう列車には

それなりに人が乗っているのですけれど、もはやシーズンオフの避暑地方面に

向かう人も無しということでしょうかね。まずは北海に臨む港町、オステンドに向かいます。

(「Oostende」の読みは悩ましいところならが、ここはフランデレン観光局の読みに従って)


オステンドに向かう車窓風景


これはブルッヘを発ってほどなくの車窓風景。

景色がどうのというより今日はお日様と共に歩める日になりそうだ…てなことを考えているうち、はやオステンドの駅に到着してしまうのですな。何せ乗車時間10分くらいですから。


オステンドの町は帰りがけに歩きまわるとして、

まずは遠い地点に到達しておこうと国鉄駅のとなりにある「De Lijn」のターミナルへ。

「De Lijn」(読みは「デ・レイン」、音的にはもそっと微妙なんですが)は

フランデレン地方で地方交通線を担っているようですね。

で、ここからはデ・パンネ行きのトラムに乗り込みます。


オステンド発デ・パンネ行きのトラム


ところで、デ・パンネってどこよ?となりましょうけれど、

地図検索をしてもらえれば一目瞭然、フランデレン地方の西のはじ、

もはやフランス国境が目の前、ダンケルクともかなり近いという町になるのでして。


港町であるオステンドからこのデ・パンネまで北海の海岸沿いをつかず離れず、

延々と走り抜けるのが今回乗ったトラムでありますよ。


市街地を通っているときにはいかにもトラムですが、町を外れると専用軌道のようにもなり、

また海に近いこともあって、こりゃあベルギーの江ノ電かと。

ただ距離の長さからすれば広島電鉄宮島線というべきでしょうか。



ご覧のとおり車窓には紗を掛けたような日よけが作り付けになっていて見えにくいですが、

北海の波打ち際がなんとなく見えましょうかね。


まあ、こんなところをとことこ走っていくトラムですが、ときおり小さめな町を通り抜けると

そこには「いかにも」なリゾートマンションが立ち並んでいたり、ああ、避暑地なんだなと。


そんな途中の沿線風景にあって、砂丘とまでいっては大袈裟ですが砂浜が盛り上がって

ちょろちょろと草が生えているような場所を通り過ぎざま、「おや?」と思うことが。


あっという間に行き過ぎてしまい、写真はありませんですが、

「あれはトーチカ?」、「これは大砲?」と見えたところがあったのでありますよ。


海岸沿いの砂丘状のところにトーチカや大砲が置かれてある姿は

あたかもDデイのノルマンディー を思い出させるものがあって、

映画「史上最大の作戦」で激戦が描かれたのはこんな景色の場所であったなあと

思い出したりしたですが、気になって後から調べてみますれば

「Raversyde Atlantikwall」(ラフェルスアイデ・アトランティックウォール)という

戦史公園であったという。「うむぅ、知っておれば途中下車したものを…」とは後の祭り…。


とまあ、そんな景色も眺めつつトラムに揺られること、1時間強。

申し遅れましたが目的地は終着のデ・パンネではなくして、

そこからほんの少々手前にあるシント・イデスバルト、ここに到着いたしました。


シント・イデスバルトの電停

トラムの電停らしさ十分のこの下車地点の前方から右に折れますと、

そこには北海が広がっておりましたよ。


シント・イデスバルトの海岸

もはや人影少なく、夏の終わりでありますなあ。

ちなみにこの日は8月31日、日本ではもとよりヨーロッパではとうに夏は終わりでしょう。

見えてはいませんでしたが、海の向こうはイングランドになりましょうなあ。


と、しみじみしてしまいましたけれど、何もここまで海を眺めに来たのではありませんで、

目指したのはトラムの電停から海とは反対の左側に折れて町の方へ。

この看板に従って進むのでありました。


デルヴォー美術館こちら

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