「普段遣いが云々」というタイトルを付けてますので

「また民芸 のことを書くぞ、きっと」と思われた方、はずれです。

といっても、後で関わってくることになりますから「はずれ」と言い切っては申し訳ないですが。

実は府中市美術館 で開催中の「フィンランド・デザイン展」を見てきたのでありますよ。


フィンランド・デザイン展@府中市美術館

展覧会フライヤーの中で見かけたのですけれど、

陶器ブランド「アラビア」のデザイナーだったカイ・フランクの作品をさして

「用途を限定しないデザイン」というひと言があったのですなあ。

「用途ごとに器を使い分けるヨーロッパの伝統的なディナーセット」に対して、

用途を限定しない器を提案したのがカイ・フランクであったということで。


ですがよく思い返してみれば、日本でも用途ごとに使い分ける器はないでなし、

一方で用途を限定しない器もまた使われていますですね。

でもって、用途を限定しない器というのはようするに「普段使い」のことでもあろうかと。


そうした普段使いのものにデザインという面をも含めて「美」を見出すとなれば…

こりゃあもうやっぱり民芸の世界ではありませんでしょうか。

会場に置かれてあったイッタラのリーフレットにはこんな言葉がありました。

どんな場面にもしっくり馴染み、何年経っても飽きのこないものには、特別な価値がある。

これがイッタラの考え方であるということですけれど、

普段使いのお気に入りにはぴったりくる言葉ではなかろうかと。


そうしたイッタラのグラス、イッタラのお皿を自宅でも使っていますけれど、

まさに自宅で普段使いしているグラスやお皿が美術館の展示物としてあるのが

何だか微妙というか、不思議な気分といいますか。


かつてニューヨークのMOMAで文房具やらなんやらかんやらの

デザイン性に優れていると受け止められたものが展示してあるのを見て、

そう言われてみればそういう気もしてくる…というのと似たような。


ただ、デザイン性と機能美が追求されて目をひくような姿かたちが現われてでたとき、

必ずしも使い心地、使い勝手がいいとはならないこともあるようですねえ。


エーロ・アールニオ「ボールチェア」

これは展示会場で見たときには「うん、スタイリッシュ!」と思った椅子ですが、

ロビーにも置かれてあって、こちらは腰かけられるとなれば「どれどれ」と。

いささか予想したところではありますけれど、カプセル状の中にすっぽりおさまってしまうと、

なかなか容易には起き上がれず抜け出せない(笑)。

やはり巨人族の多いフィンランドの人たち仕様ということではありましょうか。



こちらも「椅子」であるということではあるものの、

公園の遊具というのであればという感じでありますなあ。


…てなことを言っているうちに、

「森と湖の国」と呼ばれるフィンランドの木工品にちいいとも触れずじまいになってしまい。

せめて最後には「やっぱりフィンランドといえば、これ」ということで。ね、ムーミン!



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