いかにもな梅雨らしいお天気の中、読響演奏会@東京芸術劇場 に行ってきたのですね。
「炎のコバケン」こと指揮者の小林研一郎 も御歳77でありましたか。
されど、その矍鑠とした姿から若さ漲るふうの音楽を引っ張り出す、いやあ大したものです。
曲はドヴォルザーク
のチェロ協奏曲とチャイコフスキー
の交響曲第3番。
チェロ協のソリストは、この4月に読響のソロ・チェロ奏者に就任した遠藤真理ですので、
いわば遅まきながらの就任披露演奏会みたいなところでありましたでしょうか。
ですから、アンコールもソリストのみならず、オーケストラのチェロ・セクションの合奏が
演奏されるという具合でありましたし。
ここでまた、客席に語りかけたがる?コバケンとしては
「オーケストラのアンコールは今日はありませんので、こちらをお聴きください」的なことを言って
ああ、相変わらずこの人らしいなあと。
まあ、そんな指揮者によるメイン・プロはチャイコフスキーの交響曲第3番でしたですが、
チャイコフスキーのシンフォニーの中で最も演奏機会の少ないのが2番、3番でありましょうね。
ウクライナ 民謡を用いていることから「小ロシア」とも呼ばれる交響曲第2番は
以前ザポロージェ・コサックの周辺を少々探究した際に何度かCDを聴いたりしたものの、
3番は個人的にも最も馴染みのない曲でもあろうかと。
それだけにYoutubeで検索していささかの予習を試みたりもしましたけれど、
第1楽章冒頭の序奏にあたる葬送行進曲の部分なんかは
(かなり控えめの音量で再生していたこともあり)もやっとしたままに主部へという具合。
ですが、これがホールではよおく聴こえてきて「おお、かかる音楽であったか」と思うわけでして、
やはり生演奏というのはいいですなあ。
ようやっと全体像が把握できたような気がするのですよ。
結果として、演奏機会が少ない(つまりは人気が無い)というのもわからないではない。
どうにも全体像がつかまえにくい印象がありますし。それでも作曲時期としては
「当時は、ピアノ協奏曲第1番完成の直後、バレエ「白鳥の湖」作曲の直前という上昇期」と
公演プログラムにあるような頃ですのに、「何故?」とも思ったりするところかと。
こと交響曲という分野ではさすがのチャイコフスキーも発展途上だったのでしょうかね。
全体が5楽章という構成もおそらくは試行なのでしょう。
概してシンフォニックに響く第1楽章と終楽章に挟まれた3つの楽章は
その後に続いて作曲されたという「白鳥の湖 」の曲のような、小さくメロディアスな曲が
いくつも散りばめられたようでもありますから。
作曲者としてはそんなサンドイッチ的構造を思い描いたときに
5楽章とするのが収まりよりと考えたのかもしれませんですよ。
そんなふうに割り切って(「反音楽史 」的に?)受け止めてみれば、
思いのほか聴いて楽しい交響曲第3番なのかもしれませんですね。
「ポーランド」という呼ばれは終楽章にポロネーズが使われているからということで、
それを聴くもよし、また個人的には「お!」と思った続く交響曲第4番や第5番につながる
ヒントのようなものを探り出すも良しでであるなと思ったのでありました。