みなとみらいホール ついでにちょいと訪ねた横浜美術館のお話は彫刻 に続いて、絵画作品へ。

コレクション展とは言っても、「自然を映す」というテーマ展示を開催中でありました。



画家たちが自然と向き合うさまざまな形を7つのコーナーに分けて、

それぞれにタイトル付けされていましたけれど、なかなかボリュームのあるコレクション展。

時間に限りがあることでもあり、ひととおり見通すために解説はこの際やり過ごして、

「お!」と思った作品の前で足を止めるようにして、ひと廻りしたですよ。

 

しかしまあ、コレクション展だからとはいえ、

写真OKとは日本の美術館のわりには気前がよいですなあ。

そんなことならちゃんとしたカメラを携えていけばよかったと思ったですが、

とりあえず携帯で(結果は何とも不満足なものですが…)。


ポール・セザンヌ「ガルダンヌから見たサント・ヴィクトワール山」

まずは有名どころから…というわけではありませんが、セザンヌのサント・ヴィクトワール山。

セザンヌはこの山を何枚も描いていますから、山容は見慣れたものと思っていたところが

これはどうも様子が違いますですねえ。


タイトルに「ガルダンヌから見た…」とあることからして、多く描かれたエクスからの眺めではないと。

ガルダンヌはエクスの南東に当たるそうで、そちらから見ると日本でいえば

牛臥山みたいな印象でしょうか。エクスから見た山の形が好きで、

セザンヌはたくさん描いたわけではなかったのですなあ。


ポール・デルヴォー 連作「最後の美しい日々」より「パレ・ロワイヤル」


あお次はデルヴォー のエッチング、手彩色が施されているといいます。

見た目、いかにもデルヴォーっぽい世界を映しているようでいて、

いつもの非現実感が見えてこないのが「おや?」と思うところかと。


ですが、それもたまたまでありましょうか。

これは「最後の美しい日々」という連作から「パレ・ロワイヤル」という一枚ですけれど、

連作であるとは元々クロード・スパークというベルギー作家の同名小説への挿絵シリーズだそうな。


これがなかなかにエグい話でもあるようですから、

この一枚がパリの昼下がり、優雅な日向ぼっこに見えたとしても、

全体のイメージを見誤ることになるやもしれませんですよ。


山下清澄 イタリアの幻想Ⅰ「フォロ・ロマーノ・A」


デルヴォーでは意外にも幻想味が少なめでしたですが、
こちらで幻想気分を補えましょうか。

山下清澄という現代日本作家による版画作品でありますよ。

「イタリアの幻想」と題するシリーズで「フォロ・ロマーノ」を描いた一枚。


まあ、この写真ではなんのことやら?でしょうけれど、

フォロ・ロマーノと聞いてイメージされる廃墟が、ここでは生き生きとした植物、花々に囲まれ、

たくさんのミューズ(と勝手に想像してますが)が憩っている場所になっている。

フォロ・ロマーノのような廃墟に何を見るかは人それぞれではあると思いますが、

これはこれで頷けるイメージ展開でありましょうね。


…と、たくさんの作品に触れたわけでもないのになんですが、

もう一度だけ「後半へ続く」とさせてもらえれば助かりますです、はい。

本日のところはこれにて。


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