いやはや、ちょいと給水塔 のあたりを見て回っただけでも汗だくになってしまう暑さ。
美術館の建物の中に屋内退避止む無しという状況でもあったわけでして。


「Kunsthalle-Mannheim」とは直訳的にはマンハイム芸術ホールとなって、
Wikiにもそのように記載されているものの、日本語の語感で「芸術ホール」となると、
コレクションする機能を持たない単なる展示会場にも思われてしまうものですから、不採用。


かといって「Museum」とも「Galarie」とも使われていないので、
マンハイム美術館と言い切るにはいささかの抵抗があるなと。
ま、実質的にマンハイム美術館なのですけれど。


Kunsthalle-Mannheim


で、その建物は現在大々的に工事中であるようで、
ハンブルクのクンストハレを訪ねたときも同様でしたが、どうも下調べ不足…。
コレクションを絞り込んで展示中ということだったかもしれません。


もっともそのせいか、入場券を買おうとして「0ユーロ」と書かれた券が出され、
ということはつまりタダで入れたわけですが、工事中につき入場無料ということであれば、
出入り自由にしてしまえば良いものを遠来であることに配慮があったのだかどうだか、
今もって不明でありまして…。


と、タダで入ってあれこれは言えませんが、
この展示の所狭し感はやはり工事中ならではでしょうか。
19世紀くらいあたりまでの展示風景ではよくあるところながら、上の方はよく見えずじまいで。


工事中だからかこんな館内@Kunsthalle-Mannheim


という状況ではありますが、19世紀、20世紀と比較的新しいところ中心のコレクションには
「お!」と目を留めるものが多々ありまして、その辺をさらりとなぞっておくとしましょう。
まずは19世紀絵画からです。


カスパー・ダーフィト・フリードリヒ「Abend」


まずは毎度お気に入りのカスパー・ダーフィト・フリードリヒ による「Abend」(1824)。
ドイツ語で「Guten abend」(こんばんは)の「abend」ですから直訳すると「晩」ですが、
黄昏どきでありましょうね。それでもフリードリヒのいかにもさが漂っておりますよ。


ウジェーヌ・ドラクロワ「Tuerkischer Frauenraub」


次いではウジェーヌ・ドラクロワ 作「Tuerkischer Frauenraub」(1852)。
トルコ人による女性強奪の場面ということですけれど、これまたドラクロワらしさが
ドラマティックでありますね。


アンゼルム・フォイエルバッハ「Hafis vor der Schenke」


お次はシュパイヤー 出身の画家だからか、アンゼルム・フォイエルバッハ(1829~80)の作品は
何点か展示されていて、そのうちの一点「Hafis vor der Schenke」(1852)です。


ゲーテ も関心を寄せたペルシア の詩人ハーフェズに、
酒場で絵を描くという、この絵の題材に繋がる逸話があるのかは寡聞にして知らずながら、
壁に向かって絵筆を揮い、描かれた草がみるみる本物になっていく…といった場面かと。


「Hafis vor der Schenke」の部分


そのようすが古典的な画法で浮き出すごとく描かれているという。
そして、フォイエルバッハのもう一枚「Medea mit dem Dolce」(1871)も魅力的ですな。


アンゼルム・フォイエルバッハ「Medea mit dem Dolce」


ギリシア神話 由来で復讐に生きる女性ともされるメデアがここではまどろみというか、
甘美な陶酔の中にでもいるような静けさに包まれている。
古典に傾倒したフォイエルバッハらしい作品なのでしょうね。


オズヴァルト・アッヘンバッハ「Römische Prozession vor Santa Maria in Aracoeli」


こらちはイタリア に関心が高かったらしいオズヴァルト・アッヘンバッハ(1827-1905)の
「Römische Prozession vor Santa Maria in Aracoeli」(1863)という作品。
アラコエリのサンタ・マリア聖堂の前をローマの人たちが行列している。お祭りですかね。


題材からして一見したところでは、フォイエルバッハ同様に古典的な画風かと思うものの、
よく見ると実はかなり速い筆遣いであるようす。同世代ですが、対比の妙もあるような。


「Römische Prozession vor Santa Maria in Aracoeli」の部分


というところで、ちゃあんとこういう有名どころもありますよということで三枚続けて。
まず、エドゥアール・マネ「Die Erschießung Kaiser Maximilians」(1868-1869)、

メキシコでの皇帝マキシミリアンの処刑のようすを描いたものですね。
次がカーミユ・ピサロ「Pontoise, petit pont」(1875)、
そしてフィンセント・ファン・ゴッホ「Rosen und Sonnenblumen」(1886)です。


エドゥアール・マネ「Die Erschießung Kaiser Maximilians」

カミーユ・ピサロ「Pontoise, petit pont」


フィンセント・ファン・ゴッホ「Rosen und Sonnenblumen」


ゴッホなら何でも!というほどのゴッホ好きではありませんけれど、

こうしたタッチを見るに付け、ゴッホの息遣いが感じられるような気もして、

この「ばらとひまわり」には見入ったのもでありますよ。


ゴッホ「ばらとひまわり」部分


てな具合になかなかお楽しみは尽きずだものですから、
続きの20世紀絵画の部は次の機会に譲ることにしておこうかと思います。


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