「印象派の最高傑作、初来日」なんつう言葉が踊っているだけに

「混んでるだろうなあ。どうしよっかなあ…」と思い悩んでいるうちに会期終了目前。

結局のところ「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」だけでも見ておくかと出かけたのが

ルノワール展@国立新美術館でありましたですが、結果的には失敗でしたですね。

何分にも混んでいるというだけで、絵に向き合う気の失せるタイプだものですから。


ルノワール展@国立新美術館


先に「美の巨人たち」で取り上げられた「都会のダンス」、「田舎のダンス」もそこそこの人だかりでしたけれど、

「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」の方はとても「見る」環境ではなく、棒立ちのうちにも続々と人は詰め掛けて…。

(状況はともかく絵と対峙できる方もおいででしょうから、あくまで個人的なことですが)


それでもオルセー、オランジェリーの名品をもってきたようで、

そこここに画像として見覚えのある作品が見て取れてたものですから、

人波を縫ってなんとかいくつかは「見たな」という気分になれましたですが。


ひとつは、個人的にひどく印象深い思いのある「陽光のなかの裸婦」(1876年頃)。

いちばん最初に始めたブログ(今はサービス終了しているMSNライブスペース)で、

どうやらこの画像をあげたところが猥褻物の掲出に引っかかったらしく、

強制閉鎖の憂き目を見たことが昨日のことのように思い出されますなあ。


だもんですから、ここではゲンを担いで画像を持ってくるのはやめときますけれど、

作品としては印象派の方法論を積極的に試みていたのだろうなということがよく分かる。

「美の巨人たち」でのダンスの連作比較ではありませんが、

このジュリー・マネの肖像(1887年)と比べてみると違いは一目瞭然ですものね。


オーギュスト・ルノワール「ジュリー・マネ」あるいは「猫を抱く子ども」(部分)


この絵にはあまり足を止めている人がいなかったですが、猫がいいですなあ。

そして、エドゥアール・マネの弟とベルト・モリゾの娘であるジュリーを描いたのがルノワールとなれば、

当時の交友関係のようなところにも思いは及んで興味深いといいますか。


オーギュスト・ルノワール「ピアノを弾くイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル」(部分)


そうした点ではルロル姉妹を描いた一枚(1897-98年頃)も

先に「印象派のミューズ」 を読んでいて、その登場人物たちを描いた本物との対面ということで

実に興趣をそそられるところでありましたですよ。


ところで、この展覧会には思わぬところに余禄がありましたなあ。

パリの美術館2館からルノワールを持って来るにあたって、一緒に付いてきた作品たちですが、

みなさん、ルノワールに注目する余りなのか、こちらの方は至って空いていたという。


ですが、このコーナーでゴッホの「レストラン・ド・ラ・シレーヌ」や「アルルのダンスホール」に

対面できるのをさらっと流して行ってはもったいないのではないですかね。

その分、こちらはゆったり見られたわけですが…。


のっけにああだ、こうだと言いましたですが、それなりに見るものもあり…ではあったルノワール展。

これに寄せて思うところは、「画像の取扱いには気をつけましょう」ということ、

そして「混雑が予想されている展覧会は無理して行かない」ということを

改めて肝に銘じておくべきかということでありました。


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