日本画を楽しんで見るようになったのがかなり晩生だったものですから、
日本橋にある時分にも行こうかなと思ったことはあったですが、
このほどようやっと初めて山種美術館へと足を運んでみたのでありますよ。
開催中(といってももう会期終了ですが)の展覧会は
「江戸絵画への視線―岩佐又兵衛から江戸琳派へ―」というもの。
何やら学究的な気配を感じさせるタイトルではありますけれど、
先にも申しましたようにひたすら素人の視線で見て回ってきましたですよ。
…本展では、琳派の俵屋宗達や抱一から、浮世絵の祖とうたわれる岩佐又兵衛、文人画の池大雅、奇想の画家として名高い伊藤若冲、狩野派や円山四条派、復古やまと絵にいたるまで、諸派の優品の数々をご紹介します。
フライヤーにはこんなふうにうたってあるだけに
バリエーション豊かな作品を見ることができた中で、
まずもって目に留まるのは俵屋宗達でありますなあ、やっぱり。
伝宗達とされる屏風もありましたけれど、「おお!」と思いますのは
「鹿下絵新古今和歌巻断簡」、「四季草花下絵和歌短冊帖」といった
宗達の絵と本阿弥光悦の書 が織りなす心地よい融合でありましょう。
やたらと安易に使われるコラボレーションという言葉はあまり使いたくないですが、
究極のコラボレーションとして、互いの相乗効果には目を瞠るところではなかろうかと。
続いては抱一もいいですけれど、琳派のデザイン性を思うときに
このところ個人的に注目してしまっている鈴木其一には足を止めてしまいますなあ。
来月からサントリー美術館 で始まる「鈴木其一展」を楽しみにしておりますが、
さぞかし混んでしまいましょうか…。
と、ここから先も足を止めるたびごとのことを記していては長くなりますので、
もう一つは展覧会とは別のコレクション展示のところで見た奥村土牛のことだけ、少々。
分からないながらも奥村土牛の作品はかねがね気になっておったところながら、
ちょいと前のTV東京「美の巨人たち」 で、土牛が姫路城の「なんでここを描く?」という場所を描いた
「門」という作品を取り上げていたのを見て、尚のこと気にかかってくることに。
土牛作品には「なぜ?」ということを読み解く楽しみがあるように思ったものですから。
今回の展示は「三彩鑑賞」という一点だけでしたけれど、これとて単に唐三彩を描いたようであって、
タイトルには「鑑賞」という言葉があるからには、単に「三彩」というタイトルとしていないことを
窺わせる要素があるはずだ…なんつうふうに思ったりするわけで(この時は解けませんでしたが)。
美術館のコレクションを築いた山崎種ニ(つまりは山種さんですな)は、
まだまだこれからの奥村土牛を支援して関わりも深かったようですから、
土牛作品のコレクションもいろいろありそう。
ということで(当初の展覧会の話からは反れてしまいましたが)、
これからはまた足を運ぶことにもなりそうな気のする山種美術館への初見参なのでありました。


