久しぶりに(といっても、真夏の間立ち寄ってなかっただけですが)
コニカミノルタプラザ @新宿を覗いてみますと、宇宙 に関する展示が行われておりました。
入口に近い方では、よくまあ、こんなに写るものだと思われる星々の写真。
ですが、天文写真、天体写真というよりは地表の景色ともども移し込まれる夜空には
かくもたくさんの星が瞬いて…という具合。
こんなに星が見えるものなのかという経験の中で最たるものは
知多半島の突先の方で見上げた夏の夜空でありましたが、今からすでに30数年経ってますので、
人工光の阻害が激しくなっているかもですね(セントレアとか?)。
ところで、そうした写真のコーナーのお隣、どちらかというとこれがメインの展示になりますが、
「ハッブル宇宙望遠鏡25周年 時空を超える銀河の旅」という企画展を開催中。
星の誕生、そして星の終焉、何やら混沌に始まって混沌に終わるといった様が
大写しになって展示されておりましたですよ。
普段、夜空を見あげて星がたくさん見えるとか見えないとか思うわけですが、
だったら望遠鏡を宇宙の方に持っていったらいい…てなふうにはなかなか思わんのではないかと。
宇宙ってのは果てしない(果てがあるのかどうかもわかりませんけれど)わけですから、
ちょいとばかり地球の外へ出したところで、五十歩百歩(まさに!)なんじゃ…と、
素人考えで思うからですね。
さりながら地球には空気の層がありまして、
星を見ることに関してはこの空気の層というのは邪魔もののようなのでありますよ。
ある研究者の曰く「ステンドグラスを通して光を見るようなもの」であるそうな。
そこを通過することによって、色合いが変わってしまったり、そもそも見えなくなってしまったり。
そういうことだとすれば、望遠鏡を宇宙へ、
すなわち成層圏の外側へ持ち出すと考える発想が出てきても不思議ではないような。
ですが、この発想は人工衛星を打ち上げるといった実績の未だ無い時代に出てきたそうですから、
最初のうちは突飛なもの(場合によっては笑いもの)に思われたことでありましょう。
時代を経て、宇宙開発が始まってくると実現の可能性はいささかなりとも出てきますけれど、
それにしても莫大な費用が見込まれるために、結果として成功するとも限らないものに
何百億ドル?だかをつぎ込むくらいなら、パロマー天文台クラスの望遠鏡をたくさん作った方が
利用価値があるとの意見もあったそうなのですね。
パロマー天文台の200インチ望遠鏡というのは完成当時世界最大で
相当画期的に「見えた」のでしょうなあ。
そも後に宇宙望遠鏡にその名を残すハッブル博士も地上からの観測で
銀河系以外にも宇宙には銀河がたくさん存在することを発見できているのですし。
それでも、いくら精度の高い望遠鏡でも薄皮ごしに眺めやっていることには変わりなく、
やはりそれは剥ぎ落とした先でどう見えるかが天文学者としては
気になって仕方がなかったのでしょう、
宇宙望遠鏡プロジェクトは長い年月を掛けて徐々に実現に向かい、
スペースシャトルという容器ができたこともあって、現実のものになったそうでありますよ。
それが今から遡る25年前、1990年のことであったと。
ただ本来はもう数年は早く打ち上げられているはずだったのが、
あいにくとチャレンジャーの事故があってスペースシャトル計画が一時的に凍結されてしまった。
天文学者の落胆たるや想像に余りあるものがあります。
ですが、ようやっと宇宙望遠鏡が衛星として地球周回軌道に乗り、
いよいよ望遠鏡のとらえた宇宙の画像が地球に送信されてきたぁ!というときに
またしても大きな肩透かし食ってしまったもよう。
何でも打ち上げの過程だかで、望遠鏡内に設置した鏡が
0.002ミリ位(だったかな)ゆがんでしまったのが原因でクリアな画像が得られない。
2年くらい経ったスペースシャトルのミッションでようやくこれを補正することができたそうですが、
このような紆余曲折を経て目の当たりにすることができた宇宙の画像には
天文学者一同、欣喜雀躍の喜びようであったとか。
そうした天文学者の方々が大喜びで迎えたハッブル宇宙望遠鏡からの画像の数々。
それが大きく引き伸ばされて壁面を埋めるさまは、あたかも抽象画の絵画展であるかのよう。
分かる人にはそこから読み取れることがたくさんある宝の山であるという点でも(?)。
しかし、そんなこんなの苦労を重ねて宇宙の画像を手に入れ、分析することで
何を得ようとしているのか…その辺りになりますと、こてこての文系頭の理解を超えていくような。
目的のひとつとしては地球外生命体の生存するサインをキャッチすることでもあるようで、
もちろんSF映画のように宇宙から何らかの電波が発信されていて、
それを解読すると…みたいなことでなく、星を取り巻く気体の組成を読み解いたりして
生物のいる可能性を探ったりすることのようですが。
これまたある学者の曰く、「星の数ほど」といわれるようにたくさんある星の中には
極めて地球と似た環境があってもおかしくない、さすればそこには生物が…ということも
決して荒唐無稽な話ではないのだと。
そした話を聞くと、全く地球と同じような星に同じような生物が存在し、
私ともあなたとも瓜二つの人間が住まって、地球とは鏡の内と外のような関係で、
実は緊密な関係にある…といった荒唐無稽な話しか浮かんでこないわけで、
「ああ、これはやはり文系っぽい…」と再認識することにもなった展示なのでありました。

