笹子の長いトンネルを抜けてちょいと甲斐大和駅でお日様を仰いだかと思うと、
中央本線の列車は再び長いトンネルの中へ。
かつては初鹿野といった甲斐大和駅が長いトンネルに挟まれた浮島のようであるの対し、
次に日の目を見たときには左手に大きく甲府盆地の広がりが見えるようになる。
勝沼、塩山と列車は大きく回りこむように盆地の山裾に沿って進むと、やがて山梨市駅に到着。
右手に迫っていた山も幾分後退して、ついつい大きく息を吸い込みたくなるところだ。
…てなわけで、甲府へ向かう道すがら、今回は山梨市駅で途中下車してみたのでありました。
さしあたり目指すのは右手の斜面をいささか登っていったあたり。
何度となく行き来している中央本線の沿線にあって、ひときわ変わった建物が見えるのがここ。
山梨市駅のホームから見やるとこんなふうに見えます。
赤丸の部分ですが、さすがに遠すぎて「さっぱり?」でありましょうから、
ちと拡大して…と思ったものの、それでもやっぱり目で見たようには見えないものですから、
もったいぶらずに到着したところをご覧いただいてしまいましょう。
「笛吹川フルーツ公園」という施設の中にある建物なんですが、これを遠目に見れば
「すわ!UFOの母船群着陸くゎ?!」てなふうにも(想像を逞しくすれば)見えるという。
ということで、このたび第一番目の立ち寄り先ながら、実はここにたどり着くのが大変で。
バス便も無いではないようですけれど、ひどく本数が少ない。
タクシーを使ってまで行きたいと思っているわけでもない。
そこで登場するのがレンタサイクルでして、
山梨市駅近の「街の駅やまなし」というところで電動アシスト付自転車の貸出をしており、
借りるときに「あそこまで電動アシストなら大丈夫ですよね?」と一応問いかけたところ、
「大丈夫です」とのひと言を得て、ペダルも軽く出発したのでありますよ。
何せ電動アシスト付ですからすい~と進むのも当然でして、
心の内では「サイクリング、サイクリング、ヤッホ~、ヤッホ~!」気分…というのもつかの間。
登り始めこそは自転車の持てる威力を噛みしめたですが、
いっかな平坦になることのない登り坂の連続は、その威力のほども「もはやこれまで」状態に。
大腿部は張ってくるし、息は上がってくるし、ハートブレイク・パスでもあろうかと
さすがに途中でひと息入れざるを得ないという体たらくでありました。
手作り感溢れる「名前のない展望台」という標識がいいですなあ。
もやってはっきりしないとは思いますが、中央部分に真っ白な頂の富士山 も見えてます。
たぶんこれで半分くらいではなかったかと思うところながら、
眼下の町を見る限り、結構登ってきたなぁ、自転車で!と。
ともあれ、ぜいぜいの状態で何とかかんとかたどり着いたところ、
これが先程の写真でご覧いただいたような「笛吹川フルーツ公園」というわけです。
時季が時季なら園内各所に植えられた果樹の花が咲き乱れたり、
実がたわわと実っていたりするところでありましょうね。
何しろ山梨県は、ぶどうはもちろんのこと、
もも、すもももそれぞれ生産量日本一というフルーツ王国(自称?)だそうですから。
ですが、まあ、本気でここを訪ねるならば、「今じゃないでしょ」とはなりそうで。
では、何しにえっちらおっちらここまで登ってきたかは後に譲るとして、
駐車場近くに自転車を止めた後も最終のピンポイント目的地へは園内を歩いてさらに登る。
その途中途中では目の保養が得られたのですけれど。
…と、かようにして、ぜいぜいプラス汗だくだくでたどり着いたところのお話。
それはこの次ということで。




