リューネブルク には教会の尖塔とは別種の高い建物がありまして…
といっても、、他の町では「あれがそうだろうなあ」と思うものを見かけましたですが、

観光施設化していなかっただけなのかもですね。
何かと言えば「給水塔」(Wasserturm)、こんな建物でありました。


リューネブルクの給水塔


要するに上水道として、町に水を行き渡らせるに必要な水圧を得るために、
高いところのタンクから水を落下させる。
必然的に塔そのものにも高さが必要ということでありますね。


極めて実用的な建物なわけですが、見た目は決して実用一点張りではなさそうなデザイン。
煉瓦造りである点が尚のことそうした印象を強めているように思われ、
ウィーンの「Gasometer」(ガスタンク)を思い出したりもしますですね。


先に訪ねた聖ヨハニス教会 の尖塔には故あって一般人は登れないとなると、
俄かに展望台としての価値が、この給水塔の方で急上昇するわけです。


ところで、聖ヨハニス教会の塔には何故登れないのか…ですが、
給水塔をエレベータで一気に展望台へと上って、眺めやってみると「なるほど」と。


給水塔から見る聖ヨハニス教会の大尖塔


手前に大きく見えているのが聖ヨハニス教会で、奥に見えるのが聖ニコライ教会でしょう。
この二つに注目しながら、聖ヨハニス教会にあった日本語解説を振り返ってみます。

108mの高さを誇るこの教会の塔の上から(180段の階段)、毎朝9時にトランペット奏者が朝の挨拶を聴かせてくれる。外にでてから見上げると、この塔少し南側に傾いているのに気付かれるだろう。塔の上には一般の人は登れない。

ちなみに引用は原文のままですが、「この塔」と「少し」の間に入るべき「が」は脱字でしょうね。
海外で日本語の文章を見るとよくある話で、まあ、間違いでもかわいい方でしょう。


とまれ、そう言われてみると「傾いとる…」という気がしませんでしょうか。
もっとも、写真を見たままに傾いているんだとしたら、
南というより西に傾いていることになってしまうのですけれど。


せっかくですから、いろんな方向に目を向けて眺めやってみますと、
やっぱりどこまでもどこまでも平坦な土地だなぁと思いますね。



リューネブルク給水塔からの遠望①


リューネブルク給水塔からの遠望②


というところで下りに掛かりますが、エレベータで一気にとは行ったものの、
実はエレベータと展望台までの間には、このようなSFチックな風情を醸す階段になっております。


給水塔内部の階段


階段の底に見えるのが、タンクの天辺部分。
これを下から見上げると、なかなかに近代産業遺産的面持ちではありませんか。


給水タンクを下から見上げる


仕組みの図解などを見ても、外側と中身の仕様のアンバランス感があるような気が。
ここでも煉瓦造りが一律にとにかく古いという誤解に基づくのでありましょう。


給水塔の構造はこのように


それにしても、展示物の中には
「これこそ何かの誤解か?」と思ってしまったものもありまして…。


給水塔の中に和風の展示?


何でもリューネブルクは徳島県鳴門市と40年来の姉妹都市だそうで、
坂東俘虜収容所(第一次大戦時独軍俘虜を収容、日本初の「第九」演奏で有名ですね)に
リューネブルク出身者がいたりしたことが縁でもあるようですが、
そうしてみれば映画「バルトの楽園」のポスターが見えるのもむべなるかな。
誤解でも何でもありませんでした。


…というところで、そろそろ駅にもどってハンブルクへの移動にかかる頃合いかと。
イルメナウ川沿いの道を駅の方へ向かい、リューネブルク到着時に朝一番で出くわしたものの、
逆光で写真に収められなかったリューネブルクの顔、「Alter Kran(古いクレーン)」にも別れを告げて、
ハンブルクへと向かうのでありました。


リューネブルクの古いクレーン