長らくリューベック
のお話が続いておりましたですが、
ようやっとハンブルクへの移動日というところまでこぎつけました。
とはいえ、ここでも素直に元来た道をハンブルクへと取って返すことはせず、
ちょいとばかし二―ダーザクセン州リューネブルクへの寄り道を目論んだわけでして。
リューネブルクで産出される塩をリューベックに運ぶ中継地点がメルン
であった…ということで、
メルンまでは先日往復したところをまた通ることになってしまいますが、
リューネブルクに立ち寄った後のハンブルクへの移動は30分余りですのでね。
とまれ、メルンから先の車窓風景はお初になるわけでして、
こんなふうに「お!こりゃあ、エルベ川だぁね、きっと!」てな盛り上がりもあったりしつつ、
リューネブルクならぬシェーネブルク(schöneburg)と言われることもあるらしい町に
到着したのでありました(schönはきれい、美しいの意)。
イルメナウ川(エルベ川の支流)を渡って町中を進んで行きますと、
正面に見えてきたのが聖ニコライ教会であります。
リューベックの教会の厳つさに比べ、やはりシェーネブルクの教会らしいように見えますが、
取り敢えずこれを目指して歩いていくことに。
ただ実際に間近まで来て見上げると、
やっぱり相当にごついものではありましたですね。
塔の高さは93m、フランスのゴシック調大聖堂様式で、15世紀前半に建てられたそうな。
その名の元であるサンクト・ニコラウスは「全バルト海領域の船員達の守護聖人」なのだそうですから、
「きれい、きれい」なだけではない、それなりの威厳が必要だったということになりましょうね。
とまれ、これまた歴史ある教会建築ということになるわけですが、
そんな中にあって「これは斬新!」というステンドグラスにお目にかかったのでありますよ。
作者の名をとって「シュライターの窓」と言われておりまして、1987年の作。
左側が「ゴルゴタ」(“血はあふれ、流れ落ち、道を作った”)を表し、
右側は「ゲッセマネ」(“そして彼の汗は血流のおうに、地面に流れ落ちた”)を表していると。
考えようによっては生々しくもあるんですが、不思議と空間にはマッチしていて、
斬新さ故に浮いているてなことにはなっておりませんでした。
ところで、こちらの絵はアブラハムのカナン到着を描いたものですけれど、
背景となっているのは1447年のリューネブルクの景観だそうで。
(こういうご当地描き込みはよくありますですね)
見てとれる教会の高い塔は、時代的に聖ニコライ教会ができる前ですから、
後から訪ねることになる聖ヨハニス教会かもしれませんね。
こうした遠望を偲べる街なかであるかどうかは、これから歩き廻ってみてということになりますが、
差し当たり聖ニコライ教会を出た後は一本裏手の道を左に折れて、しばし。
リューネブルクの中心地、マルクト・プラッツ(マーケット広場)に到着。
そこに建つのはやっぱりラートハウス(市庁舎)でありますよ。
これはまたリューベックの異形で威圧感のあるラートハウス
とは打ってかわって、
シェーネブルク=リューネブルクに貢献しているような建物。
なかなかの美人です。遠目で良し、近くでも良しと。
ラートハウスの1階、正面左端がツーリスト・インフォメーションでしたので、
そこで市街図を頂戴し、旧市街へと足を踏み入れることに。
リューネブルクぶらり街歩きの始まりでありますよ。