昨日のTBS-TV「夢の扉+」は、送電ロスの無い超電導ケーブルで電気を供給し、

列車を走らせようというものでありましたですね。


よく知られていますとおり、電気は発電しても送電過程でどんどん減じていってしまいますが、

これは送電線の抵抗のせいのようです。


ところが液体窒素でもってマイナス196度に電線を冷やしてやると、

抵抗がなくなる、つまりは送電上のロスが無くなるというのですね。


実用に当たっては単に電線を液体窒素に浸せばいいということにはなりませんから、

専用のケーブル(超電導ケーブル)を使って電気を送るようなんなのですけれど、

差し当たり限られた距離でもって試そうというのか、

はたまたロスのないことによる節電効果が大きいからか、

首都圏を走る電車の電源供給に使ってみようという動きのようです。


「仮に、日本中の電車の送電網を、全てこのシステムに切り替えれば、

1年間に30万世帯が消費する電力を節電できる可能性を秘める」となれば、

「なるほどねぇ~、そりゃ、省エネだ」みたいに思うわけですね。


ですが、はたと10日前くらいのこと(つまりは北ドイツのことですが)を考えてみると、

何でこうなっちゃったのかな…とも思うところでありまして。


と言いますのも、そもそも旅の第1日目、

ハンブルク空港到着後にリューベックまでの移動 で苦労したことのひとつに

列車の本数が少ないことがありました。


いずれも名だたる都市だと思いますから両者を結ぶのは幹線なはずですが、

20時35分を逃すと1時間先まで列車はこない。

たまたま、その間にICEが走っていたのでそれを利用したものの、

基本的に1時間に1本しか走っていないのですね。


ハンブルク~リューベックがそうなんですから、

その後に利用したリューベック~シュヴェリン ほかも基本的には1時間に1本の割合。

夜でも朝でも余り変わらない。


これでよく事が足りるな…と思ったのですけれど、

そういうものだとなれば、それなりの使い方となるのでしょう。


ですが、日本で朝の7時台、8時台に東京駅へ向かう東海道線や中央線、総武線快速などなど

どれもが1時間に1本の列車しか運行していないとなったら、どうなりましょう。

自動車通勤で大渋滞が発生するてなことになるかも。


では、ドイツでは自動車通勤が多いのでしょうか。

そういったこともあるのかもしれませんが、

想像するにそもそも東京のような通勤の形があるのどうか、でありますね。


大きな町から30分、1時間離れた小さな町も、

それぞれに大きかろうが、小さかろうが、町としての確固とした姿があるように思われます。

いわゆるベッドタウン(寝にだけ帰る町)みたいなものではない歴史的背景ですとか、

そういったものを大事にしながら、小さい町は必ずしも大きくなろうとしていないというか。


その点、日本の場合は東京を筆頭にどんどんどんどん大都市が人を吸収していって、

一方で廃村のようになって行くところもある。とにかく、一極集中のような。

もしかしたら、日本人は便利であるかどうかという点に異常に敏感なのかもしれませんですね。

便利と思ったことが実は他の不便とセットになっていることに気付かずに、

というか目をつぶってというか。


東京の朝7時台、8時台の、2分に1本の割でやってくる通勤電車というのも

そうしたことの結果でありましょうね。


ですから、もそっと小さな単位が生活圏として成り立つ工夫というか、

そういったものがあれば列車の本数は必ずしも今のようでなくていいのかもしれません。

さらにそうであったならば、先の超電導ケーブルによる省エネ効果も全く別の使い途として

考えられていたのかも。


東京には当たり前のこととして、2分に1本の割で電車を走らせる必要がある。

だから、その必要な電車を維持しながら、エネルギー節減の方策が求められる。


ですが、東京の通勤のありようを当たり前の前提として考えない方向転換というのも

あるのではないかなと、(見た番組のことからすれば飛躍しすぎかもですが)

思ったりしたのでありました。