ワーホリでの仕事 ~寿司屋編~ | joseの所得3倍増計画

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I'm in Canada!

北海道室蘭市(1983/05〜2002/03)→埼玉県さいたま市(2002/04〜2007/08)→東京都文京区(2007/09〜2009/07)→東京都板橋区(2009/07〜2011/10)→カナダバンクーバー(2011/10〜)

7月5日に書いてからしばらく間が空いたんだけど気付いたらもう帰国間近。時間が空いた理由は書くネタはいっぱいあったんだけど忙しすぎて書く時間(と気力)がなかったから。twitterでは少し書いてたけどほんとにほんとに忙しくて大変だった。というわけで今回は最後の帳尻合わせではないけどここ3か月にあったことを綴ります。


今回は仕事について。


◆仕事掛け持ち
6月中旬から不動産関連の会社で働き始めたんだけどそこの収入だけじゃ生活できなかったので、7月から友人の紹介でキツラノにある寿司屋にディッシュウォッシャー(皿洗い)として雇ってもらった。仕事を掛け持ちすることになったんだけどここから怒涛の日々が開始。寿司屋は週3日火水木で固定、不動産では残りの曜日から3,4日程度働くことになった。


~寿司屋~
7月から9月末まで働かせてもらったのはバンクーバーの寿司屋でも高級に位置する寿司屋。バンクーバーの日本食レストランおよび寿司屋は実は韓国人もしくは中国人経営ってとこが大半なんだけどここの寿司屋は日本人経営で寿司を握る職人さんが3人いる。寿司だけじゃなくトンカツ、すき焼き、うどんなど日本食の他のメニューも出していて寿司を握るカウンターとは別にキッチンがある。(お客さんからの要望に応えていたらどんどんメニューが増えていったらしい。)そこにもコックと調理補助、そして皿洗いがいる。寿司以外のメニューはキッチンが担当。


これがとんでもなく大変だった。午後3時からラスト(大体11時~12時)までの勤務なんだけど途中休憩が30分しかない。日本だと労基法違反レベル。その休憩時間というのは開店(17時)前の賄いの時間。それ以降、回転してからは1分の休みもない!みんなノンストップで働き続ける。しかも夏場は一年で一番忙しい時期でお客さんがひっきりなしに訪れる。最初の2か月は仕事を覚えつつディッシュウォッシャーをしてたんだけど毎日終わる時間にはへとへとでめまいすら覚えることも。体力には自信があったけどこれには本当に参った。最初の一か月で心が折れて何度やめようと思ったことか。実際に他の仕事がないか探して応募も試みたんだけど残りのビザの期間の関係からかほとんど手応えなく、仕事を辞めてしまうと生活できないので辞めるわけにもいかず。


体力的にも厳しかったけど要求される料理のクオリティにも苦しんだ。働き始めてから2、3週間経つと調理の補助もするようになったんだけど一番苦手だったのはえび天ぷら。日本では居酒屋勤務経験もあったからそれなりに料理には自信があったんだけど最初は全然うまく揚げられなかった。天ぷらってデリケートな料理で天ぷら粉の粘度、油の温度、あとは何といっても手際がよくないと本当にうまくできない。ただ適当に天ぷら粉に付けて油に放り込めばいいと思っていたらお客さんに出せるレベルのものができず、何回も突き返されてきた。そのプレッシャーにも苦しんだ。「もう無理・・・」って何回思ったかわからない。8月までの2か月間はこれまでの職務経験でも3本の指に入るきつさだった。


それでも少しずつ慣れ9月からは調理補助に格上げ。苦手だったえび天もコツを掴むと急激な上達を遂げ、最終的に職人さんから褒められるまでに。9月末で辞めたけど天ぷら以外にも包丁の使い方とか、それまで我流で適当にやってた料理の根本からたたき直してもらい、料理の上の上達にも繋がった。異様な忙しさとプレッシャーにも耐え、振り返ると貴重な経験になった。


一番印象深かったのは職人でありオーナーもあるEさんの言葉「準備で勝負は決まる」。Eさんは準備を非常に大切にする人で寿司を握る前はもちろん、すべてにおいて周到に準備してから物事を進める人だった。ほうれん草の胡麻和えというメニューがあったんだけど、俺が仕込みをしているとEさんからそれじゃダメだと注意があった。俺は仕込みの最中に「あ、あれが必要だった」と取りかかっている最中に道具を持って来たりしていたんだけど、Eさんはそうではなく始める前にすべてを準備しなさいと言う。ほうれん草の胡麻和えには大雑把にわけると以下のような工程がある。


洗い→ゆで→冷まし→水切り→巻き→切る


それぞれの工程で当然使う道具は異なるが始める前にそれらをすべて用意する。ゆでるための鍋、さいばし、洗うためのボウル、巻き簾、包丁など。注意を受ける前はそれぞれの工程の最中に必要な道具を用意していたけど、最初にすべてを準備するようになると明らかに完成までのスピードが上がり、料理の質も向上した。


前職のカスタマーサポート時代もユーザに電話する際になるべく想定されうる質問の回答を用意してから対応していたことを思い出した。もちろん時には想定外の質問をされることもあったが、周到に準備してから臨むと大抵のことは上手く運んだ。


ヤンキースのイチローもフェンスによじ登ってのキャッチまで想定して普段から練習しているし、スティーブ・ジョブスもプレゼンの前に何度も何度も繰り替えし練習したらしい。そういう意味でも寿司屋の経験は非常に参考になった。