こんな菓子は食べたことないだろ?」堕泥のドブの泡から這い出た俄議員の息子が言う。
彼はそれを人数分道に落とした。「さあ。いいぞもうオレのモノではないから拾って食えばいいさ。
仲間のトッチとトヨシがしゃがんで拾うのを見ていた。
「おまえはどうするんだよ?」彼はオレに言った。ゆっくり後退り拾う2人をからかう彼の頭を落ちていた棒で打ち付けた。 駆けつけた大人に彼は「あいつはオレを打ち付けたあと気味の悪いくらい笑っていた」と言ったそうだ。
その男とは18になるまで会話をしたことがなかった。必要最低限のやり取りだけで。
私からすれば不気味な存在で暴力を常に纏う男という認識であった。
この騒ぎが男の耳に入れば半殺しだろうなと覚悟をしていた。
夜 彼はオレに外に出ろと言った。ああ、やられるな。覚悟をして外に出ると「ついて来い。」と彼は静かに言った。彼は普段行かない雑貨屋に入り私に「これか?」と菓子を指差した。
頷く。彼は店主に何か言った。店主はその菓子の箱を持って出できて男に渡した。
箱ごと買ったわけだ。帰り道 また静かに言った。
「その時に悔しい思いをした仲間に配れ。そしておまえがやったことは悪いことだがやると決めたら息の根を止めよ。そして一生の罰を背負え。それが嫌なら腹に収めて我慢しろ。」
そしてまた前を見て歩き始めた。その刹那の彼の表情は彼と共にいた時間で二度見た。
ああ、こうして彼は身に降り注ぐ理不尽を腹に溜めて身内に暴力を振るうことで消化しているのか。
オレはこういうふうにはならんぞと半ベソかきながら彼の後をついて家路に向かうのであった。
彼の名を父と言う。
(命日月に最終原稿をここにも置いておく)
