大きな木があって

小さな鳥がいた

大きな空の前に丘があって

緑色の草が太陽を跳ね返してる

すずやかな秋晴れの中

私はそんな場所へ歩いてく

それはそれで良かったの


夜が来て

朝が来て

私が木のそばに座って

詩を作り始める


あきれるほど長い時間そこにいたら

帰りたいと思えるようになるのかな


なんの覚悟を決めなくても

紙に向かえば 今の私が紙に写される

花の香りの風に吹かれて


大きな木はざわめき

鳥が飛んでく

それはそれで良かったの


ただ

だれかそばにいれば

もっと良かったのにな


戻って泣いたなら

どんな顔するかな


「君が彼のところへ行きたいと言うから、その足をあげたのに」

そう創造主さんは言ったらしい

「君が彼に伝えたいことがあると言うから、その口をあげたのに」

そう創造主さんはすねていたらしい

「君が彼に触れたいと言うから、その手をあげたのに」

そう創造主さんはうつむいたらしい


でも私は、ここで膝を抱えて

ただずっと

何かを待っている

気持ち悪い


妙な小説を読んだあとのような気分


気持ち悪い

ずっと前にお母さんが言ってた。

私の描く動物の絵には命があるって。目に命がやどってるね、ってさ。

もううちにはいないウサギの絵を良く描いたっけ。

どれだけへたな動物を描いても、目だけは、なんていうか、ひかってんだな。

ちょっと変になって、衝動に駆られて、コピー用紙をホッチキスでいっぱい留めて壁に貼りだして、思いっきり絵を描いてみた。

ほんとはおっきな真っ白なキャンバスがほしかったんだけどね。

そしたらライオンが現れた。

まっすぐに私を見つめてるの。

私の色の中に埋もれて、私を慰めたりもしかったりもしない、私のままのライオンが、部屋にいる。

これから私が学校に行ってても、誰かと話しているときでも、彼は部屋にいてくれるんだね。

私の中の、外に持ち出したくない何かを、

私は彼の瞳に込めて、外へでるね。これからは。

でもね、やっぱりひとりな気もするよ

だって、私がつらいときそばにいてくれるのは私だけだったりするし

私の好きなものを知ってるのも結局私だけだったりするし

痛みも悲しみも疲れもだるさも

共感できるのは私だけでしょう

これからもどうかよろしく私さん


でもそんな生き方私は嫌いだから

今日もあなたに電話をかけるよ

夢であなたの笑顔に出会うよ

最後に笑ったのはいつだっけ

そうそう、さっき友達からのメールに思わず笑顔になったよ

じゃぁ、最初に笑ったのはいつだっけ?

きっと、お母さんの顔を見てうれしくて笑ったんだろぅな


いつだって、誰かに対して笑ってるんだ、って気づいた



ひとりじゃないんだ、って気づいた


さけんでみようかしら 

それとも熱い紅茶を飲んで かっちりしたコートを羽織って 街にでてみようかしら

ところで背伸びしてたのはどこまで?

そぅそぅ、あんなこと言ってみたのも、あんな言い回しをしたのも

ぜんぶ何か求めてたんでしょ?

行間に丸見えだよ


彼が言うには

つながっていたらしい

でもそれは太陽と星みたいな関係だったんだよ?


私が聴く音楽の端々に

彼の姿が浮かびそうになるよ 今でも


そろそろいいかな?

私をここにつなぎ止めておくのはやめて

そろそろ


間違ってたんだよ

正しくなかったわけじゃないけど

正解じゃなかったし

でもそれでも良かったんだろうけど

やっぱり良くはなかったの

だから線を引いて

線の向こうに押しやったの

でもね

それはただの線で

壁ではなくて

彼の姿がまだ見えたまま

線の向こうでこちらを向いてる彼がまだ目に見えてる

そんな顔で私を見ないで


壁の方が良かったのかな?

でもこれからのこともあるしね

手をつながなきゃならないときだってあるかもしれないでしょ?

でも嫌だよ

ただただ、名前のないこの感情は

あえて名前を付けるなら

嫌なの


そこから離れようとしても

靴だけはそこに張り付いたまま

外に行くには戻らなきゃ

ずるいよ

靴だけつなぎ止めたまま

そんな顔で私を見ないで

ごめんなさい

私を離して


それか

誰か私に履き古したあたたかい大きな革靴を履かせて

私はあなたと歩くから

どちらを向いても道の無いとき

曇り空に切れ目がないとき

どこにも席がないとき

あなたがいないとき

私は


遠い場所を目指していたら

足の下の悲しみなんて見えるわけないはずだったの

人にない悲しみを背負ったとき

私にない悲しみをみつけたとき

私は


素敵な人を見たとき

私は

火の走る草原を裸足でさまよううちに小さな柱を見つけたの


まつげに赤い光がちらついてあたりがかすんで余りよく見えないの


通り道に釘がおちていたの


最後の手紙がポストにおちてひらひら舞って届かなかった


そんなくだらない夢の端々に君のさよならの顔がぼんやり浮かんでる