いつも通る通りをちょっとわきにそれてみると、コンクリートの壁と壁の間には陽が少しだけ落ちていて、何週間か前にどこかへ消えたと思っていた古ぼけた落ち葉でうずまってた。
細い隙間の奥には短い階段があって、それを上るとなんだか来たことのあるような、壁で囲まれたちいさな空間があって、右側に黒糖のようになめらかなベンチがあった。落ち葉は相変わらずそれぞれの隙間につもっていて、冷たいその空間を少しだけ複雑にしていた。風がどこからか吹き込んでいる気がしてぐるっと見渡すと、ベンチの向かい側の壁に小さな隙間があって、向こう側にすこしだけ空が見えた。
蝶になってその隙間を通っていくと、誰かの部屋があった。空だと思ったものはその部屋の壁紙で、散らかった重苦しい空気のその部屋を、不似合いなくらい照らしてた。
その部屋にもまたドアがあって、きっとその住人はそこから出入りしてるんだと思い、その人の帰りを待つことにした。
