いつも通る通りをちょっとわきにそれてみると、コンクリートの壁と壁の間には陽が少しだけ落ちていて、何週間か前にどこかへ消えたと思っていた古ぼけた落ち葉でうずまってた。

細い隙間の奥には短い階段があって、それを上るとなんだか来たことのあるような、壁で囲まれたちいさな空間があって、右側に黒糖のようになめらかなベンチがあった。落ち葉は相変わらずそれぞれの隙間につもっていて、冷たいその空間を少しだけ複雑にしていた。風がどこからか吹き込んでいる気がしてぐるっと見渡すと、ベンチの向かい側の壁に小さな隙間があって、向こう側にすこしだけ空が見えた。

蝶になってその隙間を通っていくと、誰かの部屋があった。空だと思ったものはその部屋の壁紙で、散らかった重苦しい空気のその部屋を、不似合いなくらい照らしてた。

その部屋にもまたドアがあって、きっとその住人はそこから出入りしてるんだと思い、その人の帰りを待つことにした。

誰か私に「調子のってんじゃないよ。あんたといたら、気分がめいるだけ。」と言ってください


誰か私に「何やってるの。もっと周りを見なさい。あなたの存在はうっとおしいだけ。」と言ってください


誰か私に「何しにここに来たの。何を望んでるの。あなたは欲張りで、そんなんじゃ誰にも好かれない。」と言ってください


誰か私に「それでもあなたは生きていて、それだけで私はうれしい。」と言ってください

一度も触れなかった

一度も

一度も潤わなかった

一度も


一緒に笑って一緒にご飯を食べた

一緒に歌ったし一緒に歩いた


けど一度だって

私と同じ思いになることはなかったね


空はさめざめと雨を落とし

夜が遠回りしてほほえんだ

街灯が道に映ってた


あなたが笑ったその後で

私はただひたすら音を刻む

弦を巻いた 

幻惑の表層に浮かぶのは

重厚な音楽に浸した面は

見合わせた目は


芥子の花びらのような雲がたなびく海岸の空に

靴を握りしめて裸足でたどり着いた

かの日の潤いを反芻している

触れた場所のなめらかさを確かめている

そして正当化の道を模索する


優しい雨が

なれなれしく頬をなでる


ここまでどぅやって走ってきたんだっけ

足跡の間隔は様々

桜の花を踏んだときもあった

風にまかれたときも

誰かと手をつないでいたときもあったね


今はたぶん

ちょっとだけ重たい靴で

ちょっとだけ重い荷物を背負って

ちょっとだけ疲れた顔をしてる


でもちょっとだけ足を止めて目を閉じてみると

なんだか不安になっている

こっちであってたっけ?って



18年前の今日、3時33分から私が存在してるって思うと、この18年間がとても貴重な限られた期間に思えて眠るのがもったいなくなった。


19才になりました。


誕生日は1年に一回しかない特別な日な気がしてきたけど、雪のない今年は今日が11月29日だって自覚しにくい。ヒトリで迎えるのは初めてで、こんな時はホームシックになる。


いつも探していたものがこの日にかぎって近くに来てくれるような そんな幸せ。



電話とかメール、ほんとにうれしかった*:。

生まれたことに理由はなくても、生きていることの意味くらいそろそろ考えてみようかな。

私は私のままで良いって言ってくれる人がいる

でもね

私のままの私には とらえられない幸せがある気がするんよ

あの子が幸せそうなのは、あの子が私じゃないからなのかなって思っちゃうんだよ

そんなとき、涙を流さずに泣くんだ

唇をかみしめて 眉を寄せて ちょっと斜め下に視線をおろして


私に 関係のない事柄なら 私の耳に入ってこないで



期待は裏切られるけど、希望は裏切られないって 友達は言ってくれた

それで私も心の中の月を太陽に変えられた気がするの

でもね どうしようもない痛みは

そんな弱々しい太陽の熱を凍らしてしまうの

椿の花の中に

玉虫色の蝶が埋もれていました。


今にもほどけそうな花の付け根は

蝶が動くたびにか細い悲鳴を上げました。


はちみつ色の枯れ葉が北風にすくわれてやってきて

また空の奥の奥へと消えていきました。


椿の花は

蝶を乗せたままぽとりと

堅く凍った地面の上に落ち

蝶は悲鳴を上げて

苦い苦痛と共に

むせかえる赤い花びらの中に埋もれたまま

ただ明日を待っていました。

重たい赤で塗られた古ぼけた地下のドアへ下る、灰色の冷たい階段の一番下に座って、じぶんは黄緑の目をした黒猫だと思いこんでいた。

上では、街灯が月の明かりをさえぎって、コンクリートの汚い壁からのびる影を濃くしている。

輝きではないネオンのくすんだ緑の明かりが、ちらちらと蛾の影に揺れ、遠くで地下鉄の通り過ぎる音が地を這うように響いている。

ドアが開くと、中から汚らしい言葉遣いの音楽が漏れだし、ふらつきながらでてきた男の背後を彩った。

酒のにおいを吐き出す彼のコートが隣を通り過ぎて、ゆっくりと上界へ消えていった。

膝を引き寄せて手に息を吐きかけ、黒いブドウのようなしっぽも、一緒に丸めた。

空が嫌い

だって八方美人じゃない


風が強い

だから何かをすぐ見失う


寂しがりの

ライオンの

物語を書いている