拝啓 ミドリちゃん

君がそっとしておいてと言ったから
僕はこうしてそっとしてます
お元気ですか?
僕は元気じゃありません
毎夜毎夜の熱帯夜で
朝起きると夏用シーツはびしょびしょ
Tシャツだって絞れるくらいに濡れてます
だから僕はもうげっそり
頬はこけて髪もぼさぼさ
腹が減ってるから体も言うこと聞かず
動かそうとしたらなんかぶるっときて
本物のヤク中か患者さんみたいで
自分でも不思議と笑えてきます

ところで耳元で虫がうるさいな
きっと僕の汗が欲しいんだね
飲みたきゃ勝手に飲めばいいけど
あの羽音には参ります
もっと静かに近づいてきてほしい
ほら僕って耳弱いじゃん(特に右耳)
だから余計に不快なんです
ともかく早いとこ進化か絶滅かしてもらうことを
僕は今二番目に願ってます
(三番目はのりPが早く顔出してくれること)

ところで一番の僕の願いはもちろん
君が寂しさに耐えきれず
僕の元に戻ってきてくれることです
だから僕は今電話もメールも控えてるんだ
(遊んでるだなんてとんでもない)
僕はどんな時も君のことを思ってる
テレビでのりPの報道見てたり
他の番組見ながら速報のテロップ(もちろんのりP発見の)
心待ちにしてる時も
僕は携帯片手に君からの連絡を待ってます
(最近特に目がおかしくなってきたみたいで
何にもないのに携帯のディスプレイが
ちかっと光ったように感じることが多々あります
正直辛いです)

僕もう気が狂いそうです
のりPがあんなことになって
僕は本当に悲しいし恥ずかPです
だからお願いします
早いとこより戻したいって
連絡ください
ずっと待ってます

P.S.
今日はのりP見つかるかな
見つかるといいな
おお
お前は遥かなる時の淀みより生まれ出で
冷たい海流に乗りやって来た
今や汚れなき沈黙に包まれて
美しき楕円盤を眺めている
お前は遠く揺れながら
広大な世界を駆け巡る
黄金色に光り輝き
時に赤々と燃え上がる
己の身を裂き火を放ち
訪れる死のその瞬間まで
それがお前の運命で
逃れることなどできないのだ

しかしお前はその最後
徐々に凍りつく苦しみの中
ふと鶯の声を耳にする
茫漠とした大地の果て
ぽつりと生えたオリーブの木
その枯れ落ちた一節に
留まって啼いている
高貴な衣の夜の娘が
いずれ老いぼれのお前のために
淡い花びらを捧げ待つ

ルイセニョール
歌っておくれ
弔いの歌
傷口を縫う慈愛の歌を
咲かせておくれ
華麗な死体に最高級の葡萄酒を
その乾いた唇の上
念入りに温めておくれ
眠ってしまった真紅の道と
静かに呻く循環機械を
聖なる光の一節で
ルイセニョール
ルイセニョール
あの老いぼれの太陽のため
だらしなく生きる太陽のため
沈む最後の一瞬だけは
凍える魂を照らしておくれ
かわいらしい火を焚いておくれ