夏の終りはいつでも
気がかりなまま 秋の色かな
軽快なイントロ。
僕が初めて買った原由子のアルバムは
この曲が収録されたアルバムでした。
今も大事に持っています。
恋は、ご多忙申し上げます 原由子 1983年
今回も小ネタ形式で書くことにします。
1) 公私共に Life Is Busy
「恋は、ご多忙申し上げます」
「公私共に Life Is Busy」
ちょっと変わったタイトルとフレーズ。
実はこの曲、
資生堂 '83年秋のキャンペーンソング
なのです。
当時の化粧品CMソングは
メーカーが指定したフレーズをいれることが
条件でした。
この時の資生堂のキャッチコピーは
"公私ご多忙用"。
製品は資生堂フェアネス。
アイシャドー/ファンデーションでした。
つまり、このコピーを入れるために
このタイトル、フレーズになったのだと思います。
資生堂「フェアネス」ポスター
モデル: アンジェラ・ハリー
ホントお美しい。
資生堂のキャッチコピーは
"公私ともにお忙しいあなたに"
という意味ですが、当時は
曲中でこのコピーを別の意味で歌っていても
フレーズさえ入っていればOKだったのです。
原由子の「恋は、ご多忙申し上げます」は、
どういった意味だったのでしょうか?
2) 軽快なモータウン・ビート×桑田語
この曲の軽快なビートはモータウン・ビート。
歌詞にも
「こんな気持ちは そうよ MOTOWN」
と出てきます。
"こんな気持ちはそう持たん"
(こんな気持ちはめったに持たないわ)
と聞こえますけどね。
同じく
「あなただけを愛・視点・ルール」
は
"あなただけを愛してるぅ"
と聞こえますけど、このあたりは
聞こえ方が似ている言葉を当てる
いつもの桑田佳祐独特の表現(桑田語)ですね。
KUWATA BANDの「スキップ・ビート」が
"スケベ"と聞こえるのと同じです。
解釈の際は
"聞こえる"方で意味をとるのが良い
と思っています。
3) 互いにプレッピー (Preppy)
"Preppy"はアメリカでは
一般に"Preparatory school"
(大学を目指す学校:小中高含む)
に通う学生を指すそうです。
狭い意味では
有名大学への進学率が高い学校に通う
裕福な上流階級の学生
あるいはそのOB, OGのことらしいです。
曲の間奏では
仕事場の忙しそうな電話音が流れます。
なので主人公(彼女)とその彼氏は
今はもう学生ではなく、
進学校出身の上品でお金持ちの
お嬢さま、お坊ちゃま。
一流会社勤めの社会人といったところでしょうか。
4) 歌詞の解釈
前置きが長くなりました...(笑)
ここからは僕の妄想が激しく入ります。
登場する若い2人は社会人としましょう。
この曲の解釈も難しいのです。
ひと夏で終わった恋なのか、
そうでないのか。
渚に埋めた銀色の恋
とあるので、
もう恋が終わってしまったようにも思えます。
だけど、
夏の終りはいつでも
気がかりなまま 秋の色かな
がひっかかるんですよね。
これはもしかして毎年、夏に同じことが
繰り返されているのでは?
忙しくて夏しか会えない遠距離恋愛
を歌ってる?
という思いがあるんです。
もしそうならば、
この恋はまだ続いています。
彼女はこの夏、彼と過ごした思い出を
少し悲しげに回想しているのです。
彼の"Only You"というささやきに
彼女は胸がときめきっぱなしになる一方で
焼けた肌に白いT-Shirt
私の心みたいなシルエット
は、彼と会える時と会えない時で
大きく変化する彼女の心を
歌っているのではないでしょうか。
"Only You" ときめき Busy
2人だけは 恋・視点・ルール
Love Me Do 互いにプレッピー
公私共に Life Is Busy
"Only You" でときめいて、
2人は恋してる。
Love Me Do (私を愛して) だけど、
互いにプレッピーな2人は仕事も忙しい。
だから公私ともに Life Is Busy。
それに加えて彼女は
彼がいる時は楽しくて、いない時は悲しい。
「恋は、ご多忙申し上げます」
揺れ動く彼女の恋は、さらにご多忙(Busy)
だと思うのです。
恋は、ご多忙申し上げます (生歌) 原由子
振り付きで立って歌うアイドルです。
恋は、ご多忙申し上げます 原由子
婦人の肖像(Portrait of a Lady) at 鎌倉芸術館
2023/3/6,7
(ライブビデオ 「スペシャルライブ2023
「婦人の肖像 (Portrait of a Lady)」に収録)
みんなで手拍子しよう!
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「恋は、ご多忙申し上げます」は
原由子の4thシングル。
初のオリコンベスト10内入り(5位)で
原由子のソロとして初ヒット。
作詞/作曲 桑田佳祐、
編曲 桑田佳祐&Head Arrangers
1983年8月21日リリース。
1983年11月21日にリリースされた
原由子の2ndソロアルバム
「Miss YOKOHAMAADULT YUKO HARA 2nd」
からの先行シングル。
原由子のアルバムの演奏は
サザンでない別のメンバーで行われ、
曲によっては一部サザンのメンバーが加わる形。
2ndアルバムは
基本的に以下のメンバーで演奏され、
「恋は、ご多忙申し上げます」では
パーカッションで
サザンの野沢(毛ガニ)が参加しています。
Guitars: 原田末秋
Keyboard: 中西康晴
Bass: 美久月千晴
Drums: 村上"ポンタ"秀一
Synthesizer: 神山暁雄
Percussions: 野沢秀行
編曲はヘッドアレンジということから
おそらく演奏者達が
現場で相談、調整しながら
レコーディングを行ったのでしょう。
資生堂 '83年秋のキャンペーン
「フェアネス」CMソング。
https://x.com/i/status/1958182490612351066
資生堂「フェアネス」CM 1983年
アイシャドウ/ファンデーション
公私ご多忙用: 公私ともにお忙しいあなたに
カクテルビーズのアイシャドー
薄くも濃くも楽しめる早わざパウダリー
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夏の終りはいつでも
気がかりなまま 秋の色かな
遊び疲れた身体に
彼のにおいがまだ生々しい
渚に埋めた銀色の恋は
あ~あ 今もまだ忘れない
涙あふれて 心焦がした
ささやいてくれた言葉は
"Only You" ときめき Busy
あなただけを愛・視点・ルール
Love Me Do 互いにプレッピー
公私共に Life Is Busy
こんな気持ちは そうよ MOTOWN
心まで打つ響きの中で
焼けた肌に白いT-Shirt
私の心みたいなシルエット
今でもアナタを思い出すたびに
あ~あ 胸が鳴る Let's Spend Together
大事な日々を過したことは
夢を見ていたみたいだね
"Only You" ときめき Busy
2人だけは 恋・視点・ルール
Love Me Do 互いにプレッピー
公私共に Life Is Busy
恋人を想えば秋風が吹くの
彼のことが今も忘れられない
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以下は過去記事の一部です。
原由子名義の曲の記事は
これで7曲目になりました。
鎌倉物語はサザン名義