ビンテージスピーカーの特徴は対入力が小さいことである。
これがビンテージスピーカーの利点でもあり、欠点でもある。
スピーカーの対入力が少ないということは、小出力のヘッドアンプでも大音量が得られるということである。
スピーカーキャビネットはワット数が大きいほうが、より大きい音が出るという話をよく耳にするが、それは都市伝説に過ぎない。
あまり知られてないことだが、スピーカーのワット数が少ないほうが、簡単に大音量が得られる。
少し乱暴な説明になるが、対入力10Wのスピーカーは、出力10W程度のアンプヘッドで最大音圧に達することができる。
しかし、対入力が100Wのスピーカーで最大音圧に達するためには、100Wのアンプヘッドが必要だったりする。
例えば同じJENSENの12インチスピーカーでも、昔のものは対入力が少なかった。現行品は対入力は昔の3倍ほどもある。それがどういうことか、もうお分かりだろう。
現行品の魅力は壊れにくさにある。誤って大きな入力を入れてしまっても壊れない。そのタフさが大きな利点だ。途中でシールドケーブルが抜けたりしても、壊れにくい。しかし、そのぶん音の躍動感が失われているものが多い。
スポーツカーが普通乗用車より壊れやすいように、良い音のスピーカーが丈夫であるとは限らないということだ。
耳の良いプレーヤーはそのことを知っていて、あえてヴィンテージスピーカーを選んでいるわけだ。
ワット数が大きいほうが大きな音が取り出せるのは、ヘッドアンプの話だ。それを誰かが勘違いして広めてしまったのだろう。
嘆かわしいことは、エンジニアやセールスマンですら、このような基本的な話を理解していないことだ。