チャイコフスキー : ピアノ協奏曲 第1番 | JohnnyClassic

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ロック・ヴォーカリストJohnny が、厳選し紹介する
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【指揮】 サー・ゲオルク・ショルティ

【演奏】 シカゴ交響楽団

【録音】 1985年

 

先日来より、ピアノ協奏曲があまり好きでない旨を書いてきましたが、チャイコフスキーのこの曲に関しては、ピアノよりもオーケストラワークスとして聴いています。ヴァイオリン協奏曲にしてもそうなんですけどね。私は協奏曲と言っても、オケを最重視します。

 

以前は、カラヤンとリヒテルのを上げていた気がします。デュトワとボレットのも聴いてきました。今回入れ替えなので、もう以前の投稿は削除しましたが、チャイコフスキーのピアノ協奏曲は1曲だけなのが潔い、みたいに書いていて、タイトルも第1番とあるのに、何を勘違いしていたのか、全部で3曲あります。お恥ずかしい限りです(汗)。

 

正直、2番は何度か聴いてもあまり理解出来ず、3番は1楽章だけです。3番はチャイコフスキーの文筆などによると、完成しているとも言えるし、そうでないとも言えるようです。結局、好んで聴くのは第1番だけという事にはなります。

 

が、この曲も納得できる盤がなかなか見当たりませんでした。大きな理由としては、殆どの曲が、第1楽章の冒頭から、テンポが遅い。この遅さにうんざりしていました。また冒頭は超有名だけど、以降は案外飽きちゃう、そう仰る方も多いようです。

 

もう殆どの盤が遅くて耐えられない。その中で、ギレリスとマゼールのものは速いテンポでした。ピアノは物凄い鍵盤の叩きつけ方で、これは聴いていて気持ちいいな!と思いました。が、残念なのは、オケの録音が悪すぎる点でした、タワレコさんのリマスターでもダメでした。また、叩きつけ過ぎで情緒が失われている感もあります。

 

殆どの盤は第1楽章から20分超えです、もううんざりします。その様な中で唯一19分台に収めているのが、先のギレリスと、このショルティ&シフの盤です。

 

ギレリスのよりは少しだけゆったり始まりますが、感情面では間違いなくこちらです。ショパンの様、とも形容される録音ですが、確かにその様な繊細さは感じますが、弾くところは容赦なく弾いています、メリハリですね。抑えているところがあるから、弾き出したところは、聴いていて、おっいいな!と思えます。特に3楽章は、いっちょ弾いてやるか!みたいな気合が感じられますね。透明感のあるシフのLONDONへの録音は良いですね。

 

何より、主役はショルティさんです(笑)。以前のブログでも、チャイコフスキーの交響曲第4番と第5番はショルティのを選盤しています。80年代、演奏と解釈と録音が相俟って、シカゴ響と一番良かった時期です。これも何度も書いてきていますが、第九だけはなぜあんなにテンポが遅くなったのか不思議なんですけどね。

 

そのショルティのチャイコフスキーが好きだったので、この盤を選びました、当然ながら雰囲気は交響曲のと良く似ています。70年代の剛直過ぎる感じが取れて、しなやかですね。シカゴ響の録音と言うと、金管が注目されて鳴らしまくっていますが、実は弦楽がとても美しかったですね。マーラーの第9番を聴いた時、その事に気付き、ハっとしました。管楽器もそうです、意外にも「美しい」のです。この盤でも、ややもすると退屈かもしれない第2楽章は、これほど美しい第2楽章は聴いた事はない、と思いました。お陰でこの曲を気に入れたところすらあります。

 

第3楽章は、先の通りシフも弾き倒していますが、ショルティも、協奏曲なのに、これでもか!と鳴らしまくっています、これは聴いていてとても楽しいバトルですね(笑)

 

そのショルティのチャイコフスキー、第6番「悲愴」は、実は録音のタイミングが早くて70年代でした。悪くはないのですが、80年代半ばの4・5番よりは明らかに落ちます。この流れで再録して欲しかったものです。その分、ウィーンフィルとの最後の来日公演で生で聴きましたけどね。あの時の演奏は、余裕しゃくしゃく過ぎて、残念ながら緊張感はなかったです。

 

昔は、ベルティーニと言うだけでカタログを収集するくらい好きで、アバドも途中から好きになり、カラヤンも言うまでもなく、でしたが、やっぱりショルティいいよなあ、なんて改めて思います。誰が一番好きとは言い切れないですが、みんな、ハマった時の演奏はもう最高です。ハマらない空振りの録音も同じくらいありますけどね(^^;) 私は、ロックのミュージシャンでも、ひいきの引き倒しにならず、録音の良し悪しはきちんと判断します。ショルティとシカゴの80年代のチャイコフスキー、あと、くるみ割り人形や白鳥の湖も録音されていますが素晴らしいです、とても好みです。甘くなくてちょっとだけ冷たい感じがいいですね。