愛宕山中納言日記 -450ページ目
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キャリーがライバル?

僕がドラマSATC(Sex and The City)を好きなのは、過激なセックスの話題やファッションに興味があるからではない。基本は愛の物語で、脚本が上手くインテイアが楽しいからだ。そのうえ、主人公のキャリー・ブラッドショーが、僕と同じ物書きだからだろう。特に最近、アメリカの雑誌に寄稿するようになってから、ドラマを見る視点が変わってきた。

どうしても気になるのは、彼女の収入だ。アメリカでも、物書きだけでは食っていけないというのに、彼女はマンハッタンのセントラルパークの東に住み、400ドルの靴を100足も持っている。家賃は750ドル。だが、調べてみると、あの広さで東73丁目なら、実際は2000ドル以上はすはずだ。読者からも追求があったのだろう。あるストーリーで、契約したときの関係で、相場の3分の一といっていた。

彼女の主な仕事は、週に一回、二流の新聞に400ワードほどのコラムを書くこと。(顔写真も載っている。)原稿料は、「通常一字2ドルなのを4ドル」貰っているらしい。これなら、月6400ドル(約65万円)程度の収入があることになる。でも、実際の世間相場で支払われている原稿料は、一文字2ドルなんてレベルじゃないと思う。ドラマは、ちょっとした夢を見させてくれるものなのだ。

そう、アメリカの原稿料は、多くの場合一文字いくらなのである。Sex and The City だと4ワード、キャリーなら16ドル。アメリカでは新人の僕は、遠く及ばない。

ちなみにアメリカの出版社と仕事をして感心するのは、仕事に着手する前に契約を交わすことだろう。執筆内容、文字量、締切日、そして原稿料を決める。もちろん、原稿料は執筆者によって変わるはずだ。

ところが日本の場合、若手も著名人も原稿料は一律という雑誌社が多い。しかもその値段を言うのも、仕事が終わってからという出版社が多い。もちろん文芸系は、原稿用紙一枚でいくらとか、作家のランクによって違う。わら半紙のような紙に刷っている有名誌は、一枚で2千円という噂もある。ノーベル賞作家でも1万円を超えないレベルらしい。どうやら日本ではあまり物書きを大切にする文化はないようだ。僕が関わっているインテリアの業界でも、1、2年で消えていくライターが殆どらしい。その意味では、アメリカの雑誌社との仕事はクリアでいい。

ただし、アメリカでこの僕が一文字4ドルの物書きになるのはなかなか難しい。かのスティーヴン・キングは、文章で身を立てるなら、日に4時間は文章を読み書が必要と力説している。残念ながら僕のしていることは、今のところ海外ドラマを見るくらいだ。そう、SATCのドラマを何度も楽しんでいるのである。

で、思う。ドラマとはいえ、キャリーの生活は魅力的だと。いっそ、ニューヨークに住むか?

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