スーパーボウルも終わり、

「フットボールシーズン終了」

となったところですが、


すでに来季に向けて活動を開始している

プレーヤー・チームも多いのではないで

しょうか?


この時期、

「オフシーズン企画!」

としてなにか考えてみたいなぁと

思っているのですが、


まずは僕の本職(?)の

スローイング分析から始めます!!!


今回はオフシーズン企画第一弾!

「これが最先端?!

今どきのスローイングと戦術の関係」

について書いてみたいと思います。


僕が学生プレーヤーだった1980年代後半頃に教わったスローイングフォームと

最近米カレッジやNFLで見るスローイングは

明らかに違います。


何がどう変わったんでしょう?

なぜ変わったんでしょう?


-----


⚠️【注意】⚠️


今回書き進めるに当たって

「心に留めておいてほしいこと」

があります。


それは

「新しいスローイングが正しくて

古い投げ方が間違っているということ

ではない」

ということです。


古い投げ方でもボールは投げれますし

いいQBはたくさんいます。


新しい投げ方でもボールは投げれますし

いいQBはたくさんいます。


QBの良し悪しではなく

「理論・技術の違い」

と理解して下さい。


また、僕はスローイングの理論・技術は

「戦術との関わりが大きい」

と思っています。


あとで書きますが、

戦術によっては古い投げ方のほうがいいかも

と思えるときもあります。


最先端のスローイングを解析しますが、

「これが絶対!!」

ではないことは理解しておいて下さい。


「戦術と技術のマッチアップ」

は常に意識したいところです。



---


結論めいたことを書くと、


最先端のスローイングは

スローイングの基本的な2種類の動作

【前への踏み出し=並進運動】

【体軸を回す=回転運動】

のうち、


【体軸を回す=回転運動】

にかなりの重きをおいたスローイング

ということが出来るように思います。


また、そのスローイングは

「現代のオフェンス戦術に合わせて

進化したもの」

と考えられるように思います。


スローイング技術とオフェンス戦術の両面を

考えながら書き進めてみたいと思います。


---


【スローイングフォームの時代変化】


最先端のスローイングを見る前に、


「今、自分が思う」

または

「今現在でも見慣れたと思える」

スローイングフォームを想像して

みて下さい。


「今でも見慣れたスローイングフォーム」

のイメージとはどんな感じでしょうか?


僕の中ではこんな感じです。


以前にも紹介したことがある一昔前の

Drew Breesのスローイングの動画です。


「Drew Brees Throwing Motion」 


きれいなスローイングフォームですね!

今もこのような投げ方をするQBは多くいます。


スローイングについてネット検索しても

このようなスローイングを取り上げた動画がたくさん出てきますし、


このスローイングを

「従来型(普及型)のスローイング」

と言っていいと思います。


---


パッと見て特徴的なのは

「高い位置でのリリース」

ですね。


大きく踏み出した前足に体重を移動し、

上半身を傾け左肩を下げ、

「できるだけ高い位置でリリースして

腕を振り下ろすのが理想」

と教えられた記憶があります。


「振り抜いた右手は左のポケットに入れる

ように自然にフォロースルーする」

というふうに教えらた記憶もあります。

 

前足を大きく踏み出して体を前へ運び、

上体を傾けて体を回し、腰を折るようにして

「後ろから前へ、上から下へ」

と言った感じの、

 

腕が大きく

「縦に回転する」

ようにデザインされたフォームです。

 



スローイングの基本的な動作の

【前への踏み出し=並進運動】

【体軸を回す=回転運動】

の2種類がどちらもが大きな動作で表現されているスローイングです。


僕が学生だった1980年代後半でもまだ

こんな感じで教えられていましたし、

今でもこのスローイングフォームが

指導の王道かなと思います。


---


で、

いまどきのQBはこんな感じです。


「Elite 11 Finals」 


全米トップクラスの高校生QBを集めた

「Elite 11」

の動画です。


最初に出てくるQB...........

従来型の投げ方とは全然違いますよね😲


従来型のフォームと明らかに違うのは、


体がまっすぐ立ち上がり、

【肩の線が地面と平行】

【体軸が地面と垂直】

そして

【リリース位置が頭のちょっと上辺り】

と割と低い位置にあることですね。 



真っすぐ立ち上がった背骨を軸に

体を鋭くコンパクトに回し、

「腕を横に回転する」

ようにデザインされたフォームです。


また、前足の踏み込みを小幅にして、

前に移動する並進運動よりも

「体軸を回す回転運動を強調した動き」

に変化しています。


---


前回のブログ


の中でもマホームズのスローイングを例に


【肩の線が地面と平行】
【体軸が地面と垂直】

は取り上げましたが、このあたりが
「最先端のスローイングの秘密」
になりそうです。

確かに例に上げた高校生QBのスローイング、
マホームズに似てますね。

 

---


この高校生QBの別の動画がありました。


「Dylan Raiola」 


オープニングから
「なんかこいつ、やりそう😱😱😱」
という匂いがプンプンしていますが、
それもそのはずこのQB、
Dylan RaiolaはElite11でもかなり高い評価を
受けている話題のQBです。

スローイングフォームだけでなく、
ヘアスタイルなど見た目の雰囲気も
「マホームズに似てるなぁ」
という印象ですね!

---

動画の一番最初に出てくる、
左ハンドオフフェイクのあとからの
スローイングを取り上げて

スローイングの各フェイズ
【セットアップ】
【フォワードステップ】
【テイクバック】
【フォワードモーション】
【リリース】
【フォロースルー】

をスクショしてみます。
ちょっと見てみて下さい。

---

【セットアップ】

【フォワードステップ】

【テイクバック】

【フォワードモーション】

【リリース】


【フォロースルー】

各フェイズを順を追って解析してみようと
思います。

---

【セットアップ】

左サイドのハンドオフフェイクのあと、
体を右側に切り替えして後ろ足に荷重し始めた
くらいのタイミングです。

パッと見た印象で、
体がまっすぐに立ち上がっていて
つま先が体の真下にある感じです。

---

【フォワードステップ】

後ろ足に荷重して
前足を踏み出そうとしているところです。

とりたてて珍しい感じはないですが、
ここでも重心がつま先寄りにあるかなぁ
という気がします。

かかとにどっしり踏み込もうと思ったら
おしりがもう少し後ろにあるはずです。

気になって別のスローイングを見てみると
かかとを地面につけてないときもありますね。
思ったよりつま先でバランスを取る感じの
スローイングをしているように思います。


つま先にバランスすることで
「上体を立てやすくなる」
というのはあると思います。

上体が立つと
【体軸が地面と垂直】
を保ちやすくなりますね。

---

【テイクバック】


テイクバックの腕の使い方を見ても
それほど古い投げ方と大きく違っていると
いう印象はないですね。

左腕は肘を折りたたんで左手を胸の前に構えるようにするのは昔とちょっと違いますが、
「最先端!」
というほどのことではないですね。

---

ひとつ気になるのが
「後ろ足の膝の向き・腰の向き」
です。

テイクバックのこのタイミングで後ろ足の
膝や腰がターゲット方向を向いていて
前足にしっかり乗り込んでいます。

「けっこう早いタイミング」
のような気もしますね。

早いタイミングでターゲット方向を向く下半身に対して上半身はまだ半身に近い状態です。

つまり、この時点で
「下半身と上半身が強くひねられている」
ということですね。

これがパワーの源になるはずです!

---

これは従来型のスローイングにも言えること
なのですが、
「下半身の回転で上半身をリードする」
という動きが強く出るとこういった早いタイミングで後ろ足の膝や腰が前を向くようになり
「腰のひねり」
が作られます。

ある意味
「上級者の動きのタイミング」
と言ってもいいと思います。
経験の浅いQBはこの時点ではまだ下半身は
回転し始めていないことが多いです。

---

【フォワードモーション】

右肘は肩よりちょっと高いくらいの位置です。

「肩の線が地面と平行」
「体軸が地面と垂直」
を強調しながら腕を振る上で理想的なのは
「体軸回転に沿った腕の横回転」
で、
横回転の力を最大限活かすためには
肘が肩の高さくらいの位置からの腕の振りは
理想的な角度になると思います。

---

ひとつ気になったのは
「後ろ足の接地感の弱さ」
です。この時点でもう足が地面から浮いているように見えます。

ただ、投げている球を見るとすごい勢い
ですので、
「後ろ足を蹴っていない」
「力が抜けている」
ということはないはずです。

これはどういうことかと言うと、
この前段階の【テイクバック】の時点で
後ろ足の蹴りが強く起こっていて、
「テイクバックの時点ですでに
地面を蹴った反発が腰に伝わっている」
ので、
フォワードモーションのこの時点では
後ろ足の荷重感は弱まっている、
と言っていいと思います。

---

【リリース】

このリリースの瞬間を見て、
前足への荷重感がけっこう強く見えます。
その割に、
「体が起きてるなぁ」
という気がします。

手からボールが離れていく瞬間にしては
前足の位置に対して体全体がかなり後ろに
あるように思います。

右肩の位置を見てもあまり体が回っていかないというか........
正対気味の状態でリリースしている感じです。

これはかなり従来型と違いますよね。
従来型ではこんな感じでした。


ターゲット方向を12時とすると、
右肩が1時の方向くらいまで回ったところで
手からボールが離れていき
体ごと前足に乗りこんでいく感じがあります。

当然ですが、フォロースルーでは
体は前足よりも前に出るような感じになり、
「野球のピッチャーのような感じ」
になります。後ろ足が空中に跳ね上がることもありますよね。

---

【フォロースルー】

フォロースルーを見ると、
リリースのときに感じた違いがはっきり
わかりますね。
また、
「最先端のスローイングの秘密」
がたくさん見えるように思います!!!

従来型のスローイングと比べ、
棒立ちというかなんだかフォロースルーの前に動きを止めてしまったような感じがします。
体が不自然に止まっている感じです。

ただ、動画を見ても分かる通り、これがフォロースルーでフィニッシュの状態です。

昔はこの状態でスローイングを止めていると
「腕は自然に振り抜け!」
「無理やり止めるなっ!肘・肩を壊すぞ!」
と注意されたことがあったように思います😁

前足が体を支えてはいますが、
体が前足に乗っかった感じはありません。

従来型のように体を前足に預けるように
左に回っていくような感じもなく、
上体を立てた姿勢のままです。

右肩は1時の方向くらいまで回っている感じはありますが、
それに対して胸全体は割と正対気味というか、
極端に言うと
「左胸は正対、右胸は閉じてる」
という感じにも見えます。

右腕だけが前に出てくるというか、
胸を閉じるようにして右腕がその付け根の
肩甲骨からグッと前に出てきているような
感じです。

コンパクトに折りたたんだ左腕が体の回転を
ブロックして胸を閉じるのを助長している
ようにも見えますね。

フォロースルーにはまだ他にも
秘密の糸口がたくさんありそうです。
気になるところをいくつか上げていきます。

---

【右手首のスナップ】

赤い丸で囲った右手首に注目です。

しっかりと伸びた右腕の先で
右手首がしっかりと折れていますね。

投げ終わりで
「手首のスナップをしっかり効かせている」
と考えていいと思います。

また、手のひらが下を向いている感じで
止まっています。
スパイラルをかけるときにグイッと手のひらが外を向くような感じがあまりありません。

従来型とは
「スパイラルのかけ方が違う」
と思います。

理由は簡単で
「腕が横振りだから」
です。

腕が縦振りのときはリリースのときにボールを上から下にひっかくようにしてスパイラルをかける感じがあり、より強くかけようと思うと手のひらが外を向くような動きになります。

対して腕が横振りのときはリリースのときにボールを横向きにひっかくような感じがあり、
この動きに対して手のひらは下を向くくらいで
十分なスパイラルをかけられると思います。

---

【右足の向き】

下半身を見てみると、
腰がそれほど回っていないことに気づきます。
従来型であればフォロースルーではもう少し回り込んで左脚に体をあずけるくらいになりますが、そんな感じがありません。

その腰の向きに関連してか、
右足の向きがかなり気になりますねぇ。
ターゲット方向を向いていますよね....😲😲😲

それと、割としっかり接地しているように
見えます。

前足と横並びの位置くらいにターゲット方向を向いて接地......🤔

---

従来型の投げ方で、
着地した後ろ足のつま先がターゲット方向を
向いていることはありません。

正直なところ、投げ終わりで後ろ足のつま先の向きなんて考えたことないです😁

「投げ終わりで右足を地面につけ、
つま先をターゲットに向ける理由」
を考えてみると.....................

右足を地面につけることで、
肩の線を地面と平行に保ちやすくなります。
これはなんとなくわかりますね。

右足のつま先をターゲットに向けることで、
腰が左に回っていくのを止める役割はある
と思います...........

変な言い方ですが、
右のつま先を前に向けることで
「腰の回転をわざと止める」
という感じを受けます...........

---

「腰の回転をわざと止める」
という部分、
実は前回のブログで似たようなことを書いて
いました。この文章がそれです。
=============

半身の姿勢から腰を回すのは

「腰がターゲットに正対するくらいの

ところまで」

=============

僕はスローイングの中で体がターゲットに正対する姿勢をとても大切に考えているのですが、

半身の姿勢から体を回転させるとき、
腰は正対した状態で一旦止まり、
上半身が下半身のひねりを追い越す状態を作ることが大切で、

従来型ではこのあと上半身に引っ張られるように下半身が回りますが、
最先端のスローイングでは
「このあと上半身に....」
がなく、下半身が止まったままにしています。


これを考えると、
「腰の回転をわざと止める」
のは悪い考え方ではないように思います。

---

リリースとフォロースルーの考え方が
従来型とは違う気がします。

ボールに与える力をリリースの瞬間に集約するために、
テイクバックの早い段階で下半身を回して
下半身と上半身の強いひねりを作り、
フォワードモーションの段階でひねり戻しの
パワーを一気に腕を振る力に変えてボールを
投げる。

ここまでは従来型も同じだと思うのですが、

従来型ではリリースのあとも継続的に上半身を回しながら自然と腕を振り下ろしてフォロースルーするのに対して、

最先端のスローイングでは
リリースの時点で正対した下半身が上半身の動きを止め、
その反動が全部腕に伝わって指先の力を最速化
するという動き.............

以前、
「腕をムチのように使う」
という内容のブログを書きました。

このブログを書いた当時は、
肘を先行させてムチがしなるように肘から先が加速してその力をボールに伝えていく、
というイメージだったのですが、

最先端のスローイングでは
「肘から先が.......」
ではなく、

「腕全体が........」
のイメージが近いかなと思います。

「肘を先行させてムチがしなるように腕全体が加速してその力をボールに伝えていく」

肘から先だけでなく
「腕全体」
ですから、上手く投げれたらとんでもない力を発揮できそうです。

ある意味、
「究極の腕投げ」
というか、
「腕投げの理想型」
というか..............

元来、腕投げと言うと、
体を動かさず(回転させず)腕だけ振って
投げるやり方で、
「やってはいけない投げ方の代表例」
的な存在ですが😁、

最先端のスローイングでは
「体軸回転を活かした腕投げ」
というイメージに近いような気はします。

腕をぶん回すことで指先の速度を上げ、
リリースでボールに与える力を最大化しよう
ということです。

---

従来型のスローイングの動作では、
投げ始めからリリースまでの腕の勢いを吸収するために行うフォロースルーは
「流れを止めないように体全体の動きを
自然に収束させる」
という考え方があったと思いますが、

最先端のスローイングのフォロースルーでは
その考えは当てはまらないように思います。

少なくとも
「体全体の動きを自然に収束させる」
ではないです。

最先端のスローイングのフォロースルーは

流れを止めないように
「腕の動きを自然に収束させる」
のほうが近いかなと思います。

体は正対に近い感じで止まっていますが、
右腕は胸の前を横切るようになっているのは
その証拠になると思います。

最先端のスローイングは
「腕の振りの最速化に特化した
スローイングフォーム」
と考えてもいいのかもしれません。

---

ちなみに上で
「腕投げ.....」
と書きましたが.........

最先端のスローイングは
「肩甲骨の柔軟性」
がとても大切になると思っていて、

厳密には
「腕投げ」
とは言えないと思っています。

「肩甲骨の使い方」
を書き始めるとただでさえ長いブログがもっと長くなるので別の機会に書きたいと思います。

---


【まとめてみると.......】

以上、Raiolaのスローイングの特徴をまとめてみると、


・スローイングのはじめから終わりまで

 「肩の線が地面と並行」

 「体軸が地面と垂直」

 の状態を保つ


・スローイング初期に前足を踏み出さない。

 フォロースルーでは後ろ足を前足に揃える

 ように前に出す。

・前足のつま先はターゲットに向ける

⇒足元を揃えつま先をターゲットに向ける

 ことで

 「体がターゲットに正対した状態を保つ」


・肘はほぼ肩の高さまで上げる程度

 ⇒スリークォーターからサイドスロー系の

 腕の振りになる。


・下半身と上半身のひねりを強調する

⇒下半身の回転をスローイングの早い段階から始めて下半身と上半身の大きなひねりを作り出し、ひねり戻しの力を一気に上半身から腕・指先に伝える。


・手首のスナップを効かせる

ボールを押し出す力を高めるだけでなく、

ボールを押し出す手首のスナップによってスパイラルをかける



---


ちなみに、

Raiolaのスローイングがマホームズに似ている理由がわかりました。


マホームズのことがよほど好きで一生懸命真似したんだろうなぁと思っていたら、


コーチが同じ人でした!!

Jeff Christensenという、元NFLのQBです。

49ersからCowboysに移籍したトレイ・ランスも2023年にはかなりスローイングフォームを変えてきた印象でしたが、
Jeff Christensenから指導を受けていました。

このコーチのスローイング理論、
気になりますね👀

(注)これはJeff Christensenではありません。

‐‐‐

【スローイングフォームと戦術の関係】
=================
スローイングフォームと戦術の関係については
完全な僕の持論展開です。
賛否あると思いますが、お付き合い下さい。
=================

Drew Breesの投げ方を例に
「従来型のスローイング」

Dylan Raiolaの投げ方を例に
「最先端のスローイング」
を紹介しましたが、

実はこの2つの間にもうひとつ、
僕が気になっているスローイングがあります。

Jared Goffに代表されるような投げ方です。
ちょっと見て下さい。

 「Jared Goff」 


特徴的なのは
「肘を伸ばし気味にテイクバック」
する感じですね。


「けっこう不思議な動きだなぁ」
とずっと思いながら

「なんであんな動きなんだろう?」
と考えていましたが、

「オフェンスの戦術に関係あるかも.....🤔」
という考えに至りました。

Jared Goffといえば
「スプレッドオフェンスの申し子」
的な感じでNFL入りしたQBですね。

「NFL入りするまでセットバックからの
エクスチェンジを経験したことがなかった」
という逸話もあるくらい、

「ショットガンからのオフェンス展開」
だけで育ってきたQBです。

ショットガンからのオフェンス展開では、
QBの横に位置するRBへのハンドオフは
基本的に
「横の動き」
で行われますので、

例えば、
左から右に走り抜けるRBに横向きにハンドオフフェイクした後すぐにスローイング動作に入ろうとする場合、

肘を曲げてテイクバックするより、
フェイクの流れに乗って肘を伸ばしたまま
テイクバックしたほうがスムーズです。

加えて、
横向きにテイクバックしますので腕の振りは
スリークォーター・サイドスロー系で
「体軸回転をより活かした腕の振り」
のほうが効率的です。

QB自らがボールを持って走るときも
「腕を左右に振るようにして」
動いていると思いますが、
その動きのままスムーズにテイクバックに移ろうと思うと、

やはりここでも
「肘はやや伸ばし気味のテイクバック」
のほうがやりやすいと思います。
スローイングフォームとオフェンスの戦術は
関係がありそうです。

---

ここから考えると、
従来型のスローイングは基本的に
「ドロップバックからのパス」
に適した動きと考えることが出来そうで、

「半身の姿勢からのスローイング」
が基本的な考え方になります。

このため、後ろ足の蹴りで体を前に押し出す
ようにしてスローイングを始動する感じが
強くなりますね。

「前に押し出す=並進運動」
から始まり、そこから体軸を回した
「回転運動」
との組み合わせでのスローイングになります。

---

Jared Goffのスローイングは
「肘を伸ばし気味にサイドスロー系」
という腕の使い方には特徴がありますが、
実際投げるときの足元のステップにはそれほど従来型との違いはなく、
前に踏み出すようにして投げるところは共通ですので、

この両方を考えると
Jared Goffのスローイングは

「従来型からの発展型」
「従来型と最先端の中間型」

と言ってもよさそうですね。

---

従来型は
「前に踏み出し、腕を縦に振る」

Jared Goffのスローイングは
「前に踏み出し、腕を横にふる」

これを経由して今回紹介した
最先端のスローイングは
「前に踏み出さず、腕を横に振る」

動作を細分化して解析すると
「動作の変化の流れ」
を感じますが、

このようなスローイングフォームの変化から
「最先端のスローイング」
はどう生まれたのかを想像すると........

もしかしたら
「RPOに適したスローイングスタイルかな」
という気はしています。

RPOも基本的にはRBへのハンドオフの動作を
伴いますので、RBに横向きにハンドオフした後すぐにステップを踏んで肘を伸ばしたままテイクバックしたほうがスムーズなはずで、
この意味ではJared Goffのスローイングと同じでいいと思いますが、

ひとつ大きな違いとして
ハンドオフせずに投げると決めてからの
「投げ出すまでの時間」
です。

ここを考えると
「RPOはかなりの短時間勝負」
と考えるべきで、

短い時間で投げ出すためには
Jared Goffのスローイングのようにステップを踏んでいては時間がかかりすぎます。

ハンドオフを抜いたあと可能な限り早く投げようと思った場合、

横のハンドオフのときのスタンスのまま、
体をターゲットに正対気味にして投げ出せる
フォームが理想的で、

この意味では今回紹介した
「最先端のスローイング」
はRPOに適しているように思います。

僕は現役時代プレーアクションパスが得意でしたが、ハンドオフフェイクのあとすぐ投げるときはステップを踏まずに足を揃えたまま投げていました。

それを思い返すと最先端のスローイングは
「あぁ、なるほどね」
というところもあります。


---

【実際に投げてみた!!】

いろいろと解析してみましたが、
「実際投げたらどんな感じ?」
というのは気になりますので、
やってみました。

解析してみた内容を元にいろいろ試しながら
体を動かして投げてみましたが、

ひとつはっきりわかったことは、
安定した効率の良い体軸回転を目指すためには
「軸の位置を動かさない意識を高める」
ということです。

実質的に全く動かさないということではなく、
あくまで
「感覚的には動かさない意識」
ですが。

軸の位置を動かさないというのは
「前後方向・横方向に動かさない」
ということで、

僕が感じた具体的な感覚でいうと、
「前への移動の意識をなくしたほうが
投げやすい」
ということと、
「左側の壁を意識する」
ということでした。

たしかに、体軸回転を強めたスローイングを
するうえで体軸が
「前後・左右に動く」
「左に傾く」
となると、安定感はなくなりますよね。

---

【前への移動の意識をなくしたほうが
投げやすい】

通常投げ出すときには後ろ足、特にかかとで
地面をしっかり蹴って
「体を前に進める=体軸を前に進める」
をやりますが、

少なくとも僕が試した感覚では、
地面を蹴って体を前に進めようとすると
うまくいきませんでした。

ひとつ、
「これはいい感じ!」
と思ったのは、

「地面にしっかりついた後ろ足をつま先立ちにして、かかとが上がる勢いで右腰を前に回す」
という動きです。

ちょっとわかりにくいと思いますが、
蹴って体を前に進めるのではなく、
「その場で右足をつま先立ちにする勢いで
右腰を回す」
という、

「腰の回転主導の動き」
に集中したほうがうまくいくような気がしますし、実際、うまくいきました。

並進運動を削ぎ落として体軸による
「回転運動だけで投げる」
という感じで理にかなってます。

もちろん、実質的に全く前に動いてない
わけではないと思いますが、
感覚としては
「全く前に動かない」
と思っていたほうがうまくいきました。

少しでも体を前に進めるように蹴る、
または体軸を動かしてしまうと腰の回転の
タイミングが遅れ、
上半身の回転がついてきません。

「その場で右腰だけ前に回す感覚」
です。

---

もしかしたら、この
「かかとを上げてつま先立ちにする」
という部分が、

上のテイクバック・フォワードモーションの
解析で書いた
「後ろ足の接地感のなさ」
につながっているようにも思います。

---

【左側の壁を意識する】

「体軸の横の動きを制限する」
という意味で、特に左側に傾くのを防ぐ意味で
「左側の壁を意識する」
とうまくいきました。


この図のように、
上半身を始め体全体が
「前足から伸びる左側の壁を超えない」
と思ってやるとうまくいきました。

これをやるときは「超えない意識」ではなく
「絶対超えない!」
と考えていたほうがうまくいきます。

「前に動かない」
「左に動かない」

これを徹底することですね!

---

【ベストな練習方法は?】

最先端のスローイングの感覚を得ようと思ったときにいいなぁと思うドリルがあります。

前回のブログでも紹介しましたが、
伝統的に昔から実施されている
「フラットフットドリル」
です。

両足を左右平行にして投げるドリルです。
けっこう苦手な人が多いですね。

最先端のスローイングと戦術の関係でRPO時の
「横のハンドオフのときのスタンスのまま、
体をターゲットに正対気味にして投げ出せる
フォームが理想的で、」
と書きましたが、

「足が横に揃った状態から投げる」
はフラットフットドリルそのものですね!

「肩の線は地面と並行」
「体軸は地面と垂直」

これを保ったまま、軸を
「前に動かさない」
「左に動かさない」
を意識してボールを投げてみて下さい。

実は
「後ろに動かさない」
「右に動かさない」
も意識したほうがいいです。

慣れてきたら、
今度は右足を1足分ほど後ろに下げて、
つま先立ちの状態から、
「足を動かさずに右腰を回す意識」
で下半身を回して投げてみて下さい。

このときも軸を
「後ろに動かさない」
「右に動かさない」
「前に動かさない」
「左に動かさない」

を意識してボールを投げてみて下さい。

---

これに慣れたら、
今度は上と同じように右足を1足分ほど後ろに下げた姿勢で
「ベタ足の状態」
からスタートします。

つま先の向きは真横でもいいですし、
60度や45度などちょっと前を向けるようにしてもいいです。

ここから
「かかとを上げてつま先立ちにするようにして右腰を回す意識」
で下半身を回し、リリース・フォロースルーでそのまま後ろ足を左足の横に着地させて
「つま先をターゲットに向けること」
をやってみて下さい。

このときも軸を
「後ろに動かさない」
「右に動かさない」
「前に動かさない」
「左に動かさない」

を意識してボールを投げてみて下さい。


-----


【プレーヤー受難!コーチ受難!】


従来型のスローイング

Jared Goffのスローイング

最先端のスローイング


今回はこの3種類のスローイングを取り上げ、

それぞれに見合った戦術があることも持論

展開しましたが、


必ずしも

「この戦術にはこのスローイング」

が絶対なわけでもなく、


また、

戦術が変わるたびにスローイングフォームを

変えることも出来ないわけで、


また、

プレーヤーは戦術はどうあれ

「このQBの投げ方、真似したい!!」

という気持ちもあり、


また、

コーチが自分自身の経験上知っている

スローイングが一番教えやすいわけで、


プレーヤーとして、コーチとしては

選択肢が多いがために

「どのスローイングが適しているのか」

を選ぶのが大変でなかなか学ぶ・教えるが

難しい時代だと思います。


僕はそれほど選手としての経験は短かったですし大した選手でもなかったので、

せめて知識武装はしたいと思っています😁


コーチとして、

訊かれたことには答えられる準備

知らないことは調べて答える姿勢

は常にもっておきたいです!

 

今回はこの辺で。

ありがとうございました。

 

-----


次回は

QBのお仕事

「ランプレーのとき、QBってなにする?」

について書いてみたいと思います。


パスのときはいろいろとやることが多いのは

なんとなく想像できますが、

ランのときってQBはなにしてます...........?


その辺について考えてみたいと思います。


-----

 

久々に俳優・タレント活動のご報告です。

 

あいかわらず細々と続けていますが、

今回はサントリー九州熊本工場20周年を

記念した企画の動画

「ひまわりの乾杯」

にお父さん役で出演させていただきました。

 

九州在住の方の

「プレモルの思い出」

を一般公募し、

最優秀賞を2点選出したうちのひとつが

「ひまわりの乾杯」

です。


 「ひまわりの乾杯」 


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2024年5月10日(金)より

渋谷シネクイントで公開、順次全国上映!!


ポカリスエットのCMでおなじみの

若手注目の俳優中島セナさん初の

単独主演映画に出演させていただきました。

今回は有田焼の師匠役です!


焼き物の街「有田町」を舞台に、

「芸術とはなにか?」

「個性とはなにか?」

「作家として打ち出すべきものはなにか?」

を感じながら、大人の事情に翻弄される少女の葛藤が見事に描かれています。


ぜひ劇場でどうぞ!