後ろ足で地面を力強く蹴り、

前足でしっかりと地面を踏みしめ、

体を回転させながら腕を振る。

 

その腕の先からボールが強烈なスパイラルを

得てリリースされる。

 

力強くボールを投げたあと

バランスよくフィニッシュするQBの姿は

たくましく誇らしく見えます。

 

---

 

スローイング動作において体軸回転は

その中核をなす動作ですが、

体軸回転の力を効率よくボールに

伝えていくのは意外と難しいです。

 

「まあ、それなりに投げれるからいいや!」

と結果重視でそのままほったらかし

にしていると、

 

もっと飛距離を伸ばしたいとき、

もっと速い球を投げたいとき、

..........etc

 

と、レベルアップしたいときに

伸び悩んでしまいます。

 

今回は

スローイングの核となる

「体軸回転について」

考えてみたいと思います。


右投げを例に書いていきます。

左投げの人は左右逆に考えて下さい。

 

このテーマでブログを書くの、

けっこう勇気がいりますが気合を入れて

書いてみたいと思います!!

 

---

 

(注)

文中、「足」と「脚」を使い分けています。

 

「足」は地面を踏みしめる、靴に収まる部分

「脚」は股関節から足首までの部分

 

です。

 

以前僕が関わっていたスキー業界では

「足(あし)と脚(きゃく)」

という言い方をしていました。

 

言い方はどうでもいいですが、

「足」と「脚」の意味の違いを理解した上で

読んでいただくとわかりやすくなる

と思います!

 

 

---

 

先日、ゴルフスイングを題材にして、

体軸回転についてのブログを書きました。

 

実はアメフトのスローイングに関わる

体軸回転について書こうと思っていた

のですが、

 

「ゴルフスイングのほうが

体軸回転を説明するのに簡単かも❤」

と思って書き始めました。

 

なぜ簡単と思ったか?

 

ゴルフの体軸回転は、

ボールの前に立って体を

「右に回して、左に回してボールを打つ」

という見た目単純な動作だからです。

 

それに対して、

アメフトのスローイングの体軸回転は

 

半身の姿勢から足を前に踏み出し

体を左に回してターゲットに正対し、

そこからさらに左に体を回して

ボールを投げ出す

 

という

「左に回し、さらに左に回る」

が2回続くちょっと複雑な体軸回転だから

説明が難しいと思ったんです。

 

---

 

しかしまあ、一見説明が簡単そうに見えた

ゴルフの体軸回転もブログを書き始めると

とんでもないことでした😩

 

いろいろ調べるとゴルフスイングも

奥が深いというか、なんというか、

 

結局書き上げるのに3ヶ月以上かかって

しまいました😁

 

アメフトのスローイングにおける体軸回転の

動きと共通項は多いです。


このブログの最後に添付しておきますので

よろしければご一読下さい😁


---

 

大変でしたが、このゴルフスイングにおける

体軸回転のブログを書いたおかげでいろんな

ことが勉強できて視野も広がった気になって

いますので、

 

ここで改めて本職の(?)

「アメフトのスローイングにおける体軸回転」

について書いてみたいと思います😁


(注)

スローイング技術について書くとき、

僕はいつも

「動きが効率的かどうか」

を考えています。

 

効率的に動くというのは

「骨格に忠実かどうか」

ということです。

 

 

‐‐‐

 

【スローイング動作の中の体軸回転】

 

スローイングを教える時、

 

「ボールを胸の前に構えて」

「半身の姿勢から」

「足を踏み出して」

「ボールを持ち上げて」

「肩の線を回して」

「腕を振って」

「投げる!」

 

と、だいたいこういう手順だと思います。

 

 パッと読んで、体軸回転に関わっていそうな

部分を考えると

「肩の線を回して」

のところですね。

 

半身の姿勢から足を一歩踏み出して体を回し、

右肩が後ろから前に出てくるようにして

腕を振って投げる

 

スローイングは肩の線を回して腕を振り回す

ことが大切です。

  

うまく投げれるかどうかは別として、

 

投げ方を教えたばかりの初心者でも

半身の姿勢からスタートして前に踏み出し、

 

「肩を回してターゲットに向く」

という回転動作はだいたいできるので、

 

回転運動そのものは

「比較的簡単にできる」

と考えていいのかもしれません...........

 

簡単................🤔

 

まあ、スローイング動作の間には

いろんなことが起こりますよ😁

 

この動作を

「効率よくできるかどうか」

が初心者と経験者の違いです。

 

---

 

【体軸ってなに? 体軸回転ってなに?】

 

「体軸回転」

という言葉を使う上で、

 

「体軸ってなに?」

「体軸回転ってなに?」

を定義づけしておきたいと思います。

 

まずは体軸から。

 

体軸は単純に

「体の中央を通る架空の線」

で、正中線とも呼ばれます。

 

スローイングに関わる体軸は下の図の青い線

のように体の中心を上下に通る線ですね。

 

 

この青い線が体(骨格)と重なっているのは

 

頭を通って

 「背骨から仙骨(骨盤中央の骨)まで」

です。

 

仙骨より下は骨格と重なっておらず、

脚と脚の間を通っています。

 

体に直接的に関係ある体軸は青い線と骨格が

重なった部分とみていいですので、

 

「体軸=背骨と仙骨」

 

と考えて良さそうです。

 

ということは、

 

体軸回転は下の図のように

「背骨と仙骨を回す」

と考えていいですね。

 

スローイングのとき頭は動かさないので、

頭蓋骨は体軸回転からは除外します。

 

---

 

この体軸を2本の足で支えながら回すことに

なります。

 

 
仙骨は左右の腸骨に挟まれた
「骨盤の一部」
なので、
 
基本的には
骨盤(=腰)を回して背骨をひねり、
背骨をひねり戻す動きが体軸回転となり、
 
その体軸回転の力を使って
胸郭・肩の線を回すことになります。
 
イメージ的には、
背骨の上に胸郭が乗っかっていて、
(というか、まさに骨格どおりですが、)
 
後ろ足で地面を蹴り、
腰(仙骨)を回し、
前足で踏ん張り、
背骨をひねる、
 
これらの動作で蓄えられた力を下の図の
星印⭐に集約し、
 
ひねった背骨をひねり戻すことで
胸郭・肩の線を回す
 
これがスローイングにおける体軸回転
と考えていいと思います。
星印の位置が
「体軸回転の支点」
と言ってよさそうですね。
 

---

 

実際のスローイングでどのように体軸回転

しているか、Patrick Mahomesのスローイング動画を参考に考えてみたいと思います。

 

「Front foot position」 

 

 

ウォームアップで軽く投げてる感じですね。

とりたてて特別な動きのない普通の

スローイングです。

 

この動画から、

半身の姿勢、正対した姿勢、フォロースルー

をスクショしてみました。

 

 

 

 

 

半身の姿勢から体を回しターゲットに正対、

ボールをリリースしそのままの自然な流れで

フォロースルー。

 

一貫してバランスがいいですね。

 

特に注目したいのが正対した姿勢から

フォロースルーにかけてです。

 

骨格標本と同じように体軸が両足の間にあり、「両足がしっかりと体軸を支えている」

という言葉がそのまま当てはまるような姿勢

です。

 

 

 

フィニッシュでも体が左に傾くことはなく、

「体軸が両足の間」

に保たれています。 

 

肩幅ほどに開かれた両足の間に

背骨と仙骨からなる体軸があり、

 

背骨は地面と垂直、肩の線は地面と平行。

今っぽい、体軸回転主体のスローイングです。

 

ブログの最初のほうでスローイングにおける

体軸回転は

「肩の線を回すこと」

と書きましたが、

 

肩の線を安定して回すためには

「足の横幅も肩の線と同じくらいの広さ」

が一番効率的な体軸回転が出来るように思い

ます。

 

---

 

僕が面白いなぁと思ったのは

フォロースルーのあと

「何事もなかったかのように」

また正対した姿勢に戻っているところです。

 

体軸は常に両足の間にあり、

フォロースルーで左にひねられた体が

自然なひねり戻しで正対した姿勢に戻っているような感じに見えます。

 

踏み出した左足に体重を移動して左脚を軸に

して回ると体重が足の小指側に移り、

フォロースルーでは体が左側に崩れて

いきます。そうなってしまってはこのように

体をもとに戻すのはなかなか難しいはずです。

 

軸は常に両足の間にありますね。

バランスの取り方と体重移動は

想像しているのとちょっと違うやり方の

ようですね。

 

---

 

【左足の踏み出しと体軸回転】

 

マホームズの投げ方を見ていて、

スローイングの中間地点で体がターゲットに

正対するときに両足が肩幅くらいに開いて

いるということは、

 

半身の姿勢からスタートして一歩踏み出す

左足がアウトステップすることになりますね。

 

下の図のように、

アウトステップすることで腰がターゲットに

向かって開き始め(赤い矢印)ますので、

アウトステップで腰が回る、つまり

「アウトステップで体軸回転が始まる」

ことになります!

 

また、アウトステップすることで左腰が開く

だけでなく、

右足で地面を蹴った力で右腰をターゲットに

向かって押し進めやすい姿勢にもなります。

(緑の矢印)


上で、

「後ろ足で地面を蹴って足を踏み出すだけで

なく体を回すことも出来る」

と書きましたが、それがこの緑の矢印です。


後ろ足の蹴りを回転に活かすこの動き、

意外とできていないQB多いです。

 

---

 

上半身を半身の姿勢に残してアウトステップ

すれば、腰が回り、背骨がひねられ、

そのひねり戻しの力を利用して

胸郭・肩の線を回せます。

 

アウトステップは

「体軸回転の始動のきっかけ」

になりますね!

 

体軸回転の強力な武器になりそうです!!


---


以前のブログで紹介したこと

があるChad Penningtonの動画でも

 

アウトステップについて説明しているシーン

があります。

 

すごくいい動画です。

 

「Chad Pennington Lower Body Fundamentals」 

 

 

この中で

「体軸回転の質を上げる秘密」

について触れているところがあります。

 

アウトステップするときに

「左肩を自分とターゲットの中間地点に

向ける」

と言っていますね。

 

アウトステップするときに左肩を自分と

ターゲットの中間地点に向けることで

上半身を反対側に回して、

「しっかりとした腰のひねりを作り出す」

というもので、

ここからのひねり戻しの力を大きくできます。


アウトステップすると同時に体重を前足に

移動してしまいがちですが、

まず上半身を反対側にひねることで

体重を後ろ足に移動しながらアウトステップ

するという動きです。


確かにすぐ下のこの写真を見ても、

体重は後ろ足にありますね。

 

 

「野球のバッターみたいな感じ」

と説明しているシーンもありますね。


相手ピッチャーが投げる時に前足を踏み出し

ながらも上半身を後ろにひねって後ろ足に体重を残して腰のひねりのタメを作り、

後ろ足のけりで腰を回転させてひねり戻しを

利用してバットを振る


QBのスローイングは野球のピッチャーの動き

を参考にすることが多いですが、

 

考えてみると、

QBのスローイングは前後の移動も少なく、

また腕の使い方もコンパクトですので

どちらかと言うと

「ピッチャーの動きより、バッターの動き」

の方がより参考になるように思います。



 

腰を回すためには後ろ足の蹴りが必要ですが、

そのためには

「体重を後ろ足に移す・残す」

という部分が重要になってきます。


体重の後ろ足への移動は上半身と下半身の

ひねりで作り出すことができますので、


「体軸回転が体重移動をコントロールする」

と言ってもいいですね。


一昔前のスローイングでは、体重配分は

「後ろ足7:前足3」

と言われ、


前への大きな踏み出しによる体重移動

でしたが、


現代は、体重配分は

「後ろ足5:前足5」

とほぼ均等で、


「体軸回転によって体重移動」

する感じが強まっています。


上半身を反対側に回すと腰のひねりを

より強くすることができるだけでなく、

体重を後ろ足に移して投げ出す準備ができる

ので一石二鳥ですね。


---


ショートパスの場合はそれほど大きなひねり

の力が必要ではないので、

上半身と下半身のひねりの意義については

「後ろ足に体重を移す」

の方がより大切になってくると思います。


ちなみにChad Penningtonは2000年のドラフトで一巡指名されたQBで当時からこの考え方のもとにスローイングをしています。


この動画は2012年のものですし、

何10年経っても

「下半身のファンダメンタルは今も昔も

変わらない」

ということですね!


---

 

【腰のひねり】

 

上のChad Penningtonの動画からも、

「アウトステップすることで腰が回り、

背骨がひねられる体勢ができる」

のがわかったと思います。

 

ここで

「腰が回る」

ということと、


体軸の定義

【体軸=仙骨+背骨】

 

を組み合わせて考えてみると、

 

アウトステップすることで腰が回るという

ことは体軸下部の

「仙骨が回る」

ということになりますね。

 

上半身を半身の姿勢のまま腰(=仙骨)を

回すと背骨がひねられることになり、

 

これが通常

「腰のひねり」

と呼ばれる状態になります。


Chad Penningtonの動画では

上半身の反対側への回転も加えて腰のひねり

を作り出していましたが、

 

腰のひねりが限界に達すると今度は

「腰のひねり戻し」

が起こります。


ひねりの限界に達しなくても、

体幹で上半身を引っ張るようにしながら

腰のひねり戻しを起こすことも出来ます。

 

体軸回転は単なる回転運動ではなく、

 

前足のアウトステップから始まって

体軸の下から上に向かって

 

腰の回転→背骨のひねり→背骨のひねり戻し

→胸郭・肩の線の回転

 

を順番に行うことで地面を蹴った後ろ足の

力が下から上に、

右腰から右肩、右腕、指先に伝わっていき

ます。

 

---

 

【右腰を前に出すこと】
 

右手でボールを投げるためには

単純かつ理論的に考えると、


背骨を中心に

「体の右側を前に出して左側を後ろに引く」

を同時に行ってあげれば体軸は回せますが、

 

僕は左側を後ろに下げる意識よりも

「右側を前に出す意識を強く持つべき」

と思っています。

 

理論的には

「左側を後ろに引いて、右側を前に出して」

は正しいと思うのですが、

 

スローイングは

「右足の蹴りで始まって右手で投げて終わる」

ので、右足で地面を蹴る力を

「右脚→右腰→右肩→右腕→右手」

と、

 

ダイレクトに

「体の右側伝いに」

伝えてあげたほうが力の伝達は効率的です。

 

体軸回転しながら

「右足の蹴りで体の右側をターゲット方向

に進める」

「左足はそれを支える」

 

と考えると姿勢と動きを整理しやすいと

思います。


(注)少なからず左腰が引ける感じはある

と思いますが、意識的に引いたのではなく

結果として引けてしまったのは問題ないです。

 

 

--- 


Dallas CowboysのQBのDak Prescottの有名な

ウォームアップがありますよね。

動画を添付します。

 

「Dak Prescott "Hip Whip"」 

 

 

この動き、なにも考えず面白がって真似を

すると左腰を後ろに引くような動きになる

ことが多いと思いますが、


この動きをよく見ると、

左腰を後ろに引くよりも

「右腰を前に出す動き」

のほうがより強調されているように思います。

 

 

もちろん、まったく左腰を引いていないわけ

ではないですが、

 

「左腰を引く意識よりも右腰を前に出す意識」

を強くしたほうが今っぽい

「体軸回転主流のスローイング」

に活かしやすいと思います。


---

 

【前足の踏み出し方の変化】

 

以前は踏み出した前足にドーンと体を預ける

ようにして投げていましたが、

最近は踏み出しは小幅になってきています。

 

これはプレースタイルの変化に伴う

「スローイングフォームの時代変化」

だと僕は思っています。

 

以前は

「パスといえばロングパス」

で、体を(ボールを)前から後ろに大きく

動かし体軸を傾けて、

できるだけ高い位置でボールをリリースする

という考え方が主流でした。

 

野球の投げ方を参考にしていたというのも

あると思います。

 

この場合は前足を大きく踏み出して、

その前足に乗り込むように体重移動し、

その前後の体重移動の力を活かしてボールを

投げていました。

 

そのため、下の図の赤い足跡のように

「ターゲットに向かって真っ直ぐ踏み出す」

感じが強かったと思います。


 

体軸を傾けて高い位置からリリースする

オーバースロー系の投げ方のQBは

この踏み出し方が多いように思います。

 

このブログのタイトル写真のQBも

前足をほぼ真っすぐ踏み出し、

体軸を傾けて腕を振るタイプだと思います。

 

踏み出した前足に体重を預ける形になり、

右足の蹴りの力が一度左腰に伝わり、

そこから上半身・右腕に伝わっていく感じ

です。

 

この投げ方でも十分投げれるのですが、

「力の伝達が効率的かどうか」

を考えると、

「右足→左腰→右腕」

に伝わっていくのはちょっと非効率な気が

します。

 

 

今の時代は

「ショートパス・クイックパス主体」

で、


短時間で鋭くコンパクトに行うことができる

「体軸回転」

を主体とした力の使い方が主流になってきて、


「後ろから前への移動」

といった、比較的時間がかかる動きを

極力排除するため踏み出しも非常に小幅です。


体軸回転の力を効率的に取り入れるために

腕の振りもサイドスロー系の投げ方になって

きています。


---


「体軸回転はその場で行える」

というメリットもあります。


近年のディフェンスの高速化に対応する上でも

前に踏み出すことなく投げ出せる

「体軸回転主体のスローイング」

は威力を発揮します。

 

「鋭くコンパクトに体を回す」

ことを考えると左足の踏み出しは小さく、

そして、

「前より横に」

踏み出す方が効率的です。

 

体軸回転を最優先するのであれば、

緑の足跡方向が理想的ですね。

 

ショートパス・ミドルパスくらいであれば、

左足をほほ真横ぎみにアウトステップして

腰の回転を誘発し右足の蹴りの力を

ダイレクトに右腰に伝えて体を回していく

動き方は効率的だと思います。

 

また、腕の振りがサイドスロー系になると、

右横から腕の振りを左から支えるという意味

でも

「前足のアウトステップ」

は活きてくると思います。


---

 

【力は常にターゲット方向に向ける】

 

アウトステップすると、

ついつい体ごとアウトステップした左側に

行ってしまいがちです。

 

そもそも人間は体を動かしたい方向に足を

踏み出すのが本能的な動きなので、

体はアウトステップした左前方に進もうと

します。(赤い矢印)

 

 

ただ、ボールを投げたいのはターゲット方向

(黄色い矢印)なので、

右足で蹴って体を進める方向は

「ターゲット方向」

であるべきで、足を踏み出した方向

(赤い矢印)とは違います。

 

アウトステップしてもいまいちボールに力が

乗らなかったり、すっぽ抜け感があったり

するのはおそらくアウトステップした方向に

体が移動しているからで、

強く投げようとすればするほど腕が体から

離れていき、ボールに勢いが乗りません。

 

アウトステップしながらも、

「右腰をターゲット方向に押し出す意識」

と、

左足を地面につくことで

「体の左側の動きを止める」

感じがあると、


力の方向に狂いが生じることが少なくなり、

かつ、体軸を回転させやすくなると思います。

 

 

---

 

【腰をどこまで回転させるか?】

 

上で書いたとおり、

アウトステップによって腰を回転させて、

「下半身始動」

で体軸回転を行いますが、

 

半身の姿勢から腰をグルっとフォロースルー

の方向まで一気に回転させるかと言うと

それは違いますよね。

 

半身の姿勢から腰を回すのは

「腰がターゲットに正対するくらいの

ところまで」

です。

感覚的には正対したところをちょっと過ぎた

くらいまでではないかと思います。


このブロクの冒頭で、

スローイングにおける体軸回転は

「左に回り、さらに左に回る」

と書きましたが、


腰が持つ回転の大きな役割は最初の

「左に回り、.....」

の部分で、


半身の姿勢から腰を左に回し、

ここで腰がターゲットに正対します。


腰を左に回すことで背骨がひねられ、


そこから背骨のひねり戻しに引っ張られて

上半身が左に回ります。


ひねり戻しの力を利用してボールをリリースし

フォロースルーで

「さらに左に回る」

が起こります。


「さらに左に回る」

の部分はすでにボールのリリースが終わって

いるので下半身の役割はもう終わっていて、


腰は上半身の回転につられて回るという

「体軸回転の収束動作」

という意味合いが強くなります。


---


【背骨をどれくらいひねり、ひねり戻すか?】

 

短いパスも長いパスもスローイングの

メカニクスに大きな違いはありませんが、

 

短いパスと長いパスを投げているときの

感覚は明らかに違います。


どこが違うんでしょう🤔


上で


腰の回転→背骨のひねり→背骨のひねり戻し

→胸郭・肩の線の回転


と書きましたがこの中で

「腰の回転をどのあたりから加速させて

背骨のひねりを作り出すか」

で考えるといいと思います。

特に

「右腰をどのあたりから加速するか」

ですね。


ちょっと前にこんなブログを書きました。


「半身の姿勢から投げることの問題点」 


このブログの中で、例えば、

「ショートパスの時は4時からの投げ出し」

と書きましたが、


ショートパスの時は右腰が4時の位置に来る

くらいまで上半身・下半身を同時に回し、

4時の位置から右腰を一気に加速して背骨の

ひねりを作ってあげる、

という感じになると思います。


ロングパスの時は6時くらいから加速、

つまり上半身を半身の姿勢のまま残して

背骨のひねりを作る、


ということです。


必然的に、


4時から加速すれば背骨のひねりと

ひねり戻しは比較的小さく、


6時から加速すれば背骨のひねりと

ひねり戻しは比較的大きくなります。


Chad Penningtonのアドバイスを考慮すると、

上半身をちょっとだけ後ろに回してあげると

同じ4時や6時からでも背骨のひねりを

強調出来ますね。


---


【正対する姿勢を意識すること】


上で紹介したブログ

「半身の姿勢から投げることの問題点」

に書きましたが、


僕はスローイング動作中の

「正対した姿勢」

が非常に大切だと考えています。


半身の姿勢からスタートして

「体を左に回し、さらに左に回す」

ことでボールを投げるのですが、


右を向いていた体を回転させて

いきなり左に向けるのではなく、


右から左に回転する間に

「ターゲットに正対する姿勢」

を意識して下さい。


ターゲットに正対する姿勢を意識すると

「背骨が垂直で肩の線が水平になる姿勢」

を整えやすくなります。


半身の姿勢では右を向き、

回転しながら正対し、

さらに回転しながら左を向く


「回転しながら正対する」

という意識をしっかり持っていると、

力の方向をターゲットに向けやすくなります。

 


---

 

【体軸回転の意識を上げるドリル】

 

上で例に上げたMahomesの投げ方のように

近年は

「鋭いコンパクトな体軸回転」

を主体としたスローイングが主流になって

います。

 

その

「鋭いコンパクトな体軸回転」

の意識を上げ、体に覚え込ませるために

凄くいいドリルがありますよ!!!

 

昔からあるドリルなのですが、

ちょっとフォーカスを変えると

今っぽいスローイングにとって非常にいい

練習方法になります!

 

---

 

Mahomesのスクショのように、

両足を左右に開いて

「ターゲットに正対した姿勢」

から投げ出すドリルです。


英語では

「Flat Footed Throwing Drill」

といいますね。


このドリルと一緒に

右足を前に出した「Reverse Footed Drill」

左足を前に出した「Regular Footed Drill」

も練習しますよね。


Flat Footed Throwing Drillは

基本中の基本の練習としてよくやりますが、

このドリルを意外と苦手としている人が

多いように思いますし、

 

このドリルが実際のスローイングにどう役に

立っているかわかりにくいと感じている人も

多いかもしれません。

僕は現役時代はわかりませんでした😁

 

このドリルがうまくなるとスローイングは

うまくなります!


ちょっとこのドリルのやり方を紹介して

みたいと思います。


理屈さえ分かればこのドリルの動きは

そっくりそのまま半身から投げ出す姿勢に

応用できますよ!


まずは

「Flat Footed Throwing Drill」

続けて

「Reverse Footed Drill」

そこから続けて

「Regular Footed Drill」

を説明致します。


この順番にも意味があります!



---


上に挙げた3つドリルを練習するとき、

次の3点に注意しながら実施して下さい。


1.体軸回転によって体重移動する

2.ターゲットに正対する姿勢

3.左肩の使い方


---


1.体軸回転によって体重移動する


背骨を垂直に保ち、背骨をひねって胸郭を

右に回すことで重心が右足側に移動します。


体を回してターゲットに正対する頃には

両足均等、


フォロースルーでは体を左に回すに連れて

体重が左に移動するようにします。


このとき、体軸を傾けず、

「背骨は垂直」

を保って下さい。


---


2.ターゲットに正対する姿勢


半身の姿勢からスタートして体軸回転する

とき、右を向いた姿勢からいきなり

体を左に向けようとしてしまいがちですが、


必ず

「ターゲットに正対する姿勢」

を経由して左を向いてください。


上で、

「右腰を前に出すイメージで回転する」

と書きましたが、

これが出来ているとターゲットに正対した

時に背骨を垂直に保ちやすいはずです。


---


3.左肩の使い方


昔は体軸回転のとき左肩を後ろに引くように

して右肩を前に出していましたが、


今っぽい体軸回転では

「胸を閉じるように右肩を前に出す」

という動きに変化しています。


右肩がターゲットを向くときも左肩は後ろに

回さず、極端に言うと

「左肩は、正対した時の位置で止める」

くらいでいいと思います。


体軸回転のとき左腰を引くのではなく、

右腰を出すように回転すると割と自然に

左肩は正対したくらいの位置に留めやすい

です。


この体の回転に腕の振りのタイミングを

合わせればボールを勢いよく投げることが

出来ます。


‐‐‐

 

【Flat Footed Drill】

足を平行にしたスローイングドリルです。


このドリル、やり方はとても簡単です。


ボールを胸の前に構えて、

両足を肩幅くらいに開いてターゲット

に正対して立ち、


体を右に回してテイクバック、

体を左に回してボールを投げる


これだけです.............


と言ってしまうと簡単すぎるのでもう少し

細かく説明していくと、


両足を揃えて

「ターゲットに正対して立った状態」

から体を右に回すとき、


出来れば腰(骨盤)を回さずに、

下の図の星印を意識しながら

「背骨をひねる意識」

で胸郭を右に回して下さい。


腰を回さないように意識していても背骨の

ひねりにつられて右腰が少し後ろに回るのは

問題ありません。

また、体が硬いとどうしても腰が回って

しまいますが、それでも大丈夫です。


このドリル、

出来れば最初は膝をついてやってみて下さい。


立ってこのドリルをやる時に体を回そうと

頑張りすぎて、脚がよれてバランスが

悪くなることがよくあります。


膝をつくことで脚がよれることはなくなり

腰を安定させやすくなります。


個人差はありますが、

45度くらい回れば十分です。

30度くらいでもいいです。


無理して限界以上に回そうとすると体軸が

傾いてしまい、このドリルの効果が薄れます。

30度・45度で止めたほうが体軸が傾かず

効果的に練習できますよ!


---


この体勢で

「背骨のひねりの限界」

を感じながら右脚(右膝)を踏ん張って、

少し後ろに引けた右腰を前に出すようにして

体軸回転を始動します。


もちろん、左腰を引くことでも体軸回転を

始めることは出来ますが、意識的に

「右腰を前に出すイメージ」

で動いて下さい。

これが出来ると体は自然といいバランスを

保ったままターゲットに正対します。




腰の動きに引っ張られて上半身が回り、

体がターゲットに正対する頃に

90−90ポジションになり、


そこから継続的に体を回してボールをリリース

さらに継続的に体を回してフォロースルー


といった感じです。


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【Reverse Footed Drill】

右足を前に出したスローイングドリルです。


「Regular Footed Drillが先じゃなくて、

Reverse Footed Drillが先なの?」


との声が聞こえてきそうです😁


もちろん、Regular Footed Drillを先にやっても問題ないですが、僕は

Reverse Footed Drillを先にやるほうをお勧め

します。


理由は

「右腰を前に出す意識を挙げるため」

です。


右足を前に出していますから、

体を回転させながら

「右足方向=ターゲット方向に力を向ける」

がやりやすくなります。

 
このドリルを一番苦手としている人も多く

いますし、

このドリルの有用性がイマイチつかめてない人が多いように思います。


このドリルでは右足を前に出しているので

腰を左に回りやすくなります。


背骨のひねり戻しを感じやすく、

「体軸を回しながら投げる感覚」

に一番近い感覚が得られますね。


ただ、このドリルにはデメリットがあり、

それは上で書いた赤い矢印の

「体が左前方に動いていくこと」

です。


この赤い矢印の方向は通常

「左足を踏み出している方向」

です。


このときも

「ターゲットに正対する姿勢」

を忘れることなく回転すると、

きれいに投げれるはずです。


このドリルも出来れば最初は膝をついて

やってみて下さい。


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【Regulat Footed Drill】

左足を前に出したスローイングドリルです。

通常のスローイングと同じスタンスですので

一番投げやすく感じると思います。




このドリルも出来れば最初は膝をついて

やってみて下さい。

右膝をつくことで腰が真横よりも少し右側に

開きます。

この体勢から右腰を緑の矢印の方向に

押し出すように腰を回転させます。

緑の矢印の方向=ターゲット方向です。


左足を踏み出していますので、

ついつい体が左足方向に進みがちですが、

「ターゲットに正対する姿勢」

を意識して力はターゲット方向に向けて

下さい。


フォロースルーでは左脚でしっかり踏ん張り

左肩や左腰が後ろに回っていかないように

注意して下さい。


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【体軸を安定させる=骨盤の引き締め】


上で挙げた膝つきのドリルも、

普通に立って投げるときも、


体軸を安定させることが出来て初めて

体軸を回転させることが出来ます。


スローイングでいまいち体軸が安定しない

とき、ちょっと試してほしいことがあります。それは

「骨盤の引き締め」

です。




黄色の矢印が仙骨と背骨からなる体軸です。


体軸の下部にある仙骨は

「骨盤の一部」

でもあり、両側から腸骨に挟まれていて、


骨盤が回る=仙骨が回ることで背骨が

ひねられます。


仙骨と腸骨のつなぎ目の赤い線のところを

「仙腸関節」

というのですが、

ここがゆるいと体軸が安定しません。


スローイングの前にほんのちょっとだけ

「骨盤を狭くするような意識」

で引き締めて仙骨を安定させてみて下さい。

骨盤を左右から1cmずつくらい内側に寄せる

感じです。


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膝つきドリルの時は、

骨盤を一度軽く引き締めてから脚を開いて

膝をついてみて下さい。


そうすることで上の図の赤い線の仙腸関節に

力を集めやすくなります。


骨盤の一番高いところから股間に向かって

伸びる線で骨盤がちょっと折れ曲がるような

感じがあればOKです。


太ももを内側にひねる感覚とほぼ同じですが

これも骨盤を引き締めるように行って下さい。


下の写真は左足前の姿勢ですが、

骨盤を引き締めて左仙腸関節に力を集める

ことで体軸回転を支えやすくなります。


 

じつは体軸を回す上でこの

「仙腸関節」

は非常に重要な関節です。


ここが上手く使えるようになると、

体軸を回しても脚がよれにくくなります。


ここが上手く使えていないと

腰を回す時に足の小指側に体重が移って

しまい力が抜けます。


上でも書きましたが

「仙腸関節で折る感じ」

です。


もう少し詳しく言うと、

「仙腸関節でひねりこむ感じ」

です。


上で紹介したマホームズのスローイングで

投げ終わったあと何事もなかったかのように

元の姿勢に戻っているのも、

仙腸関節で体軸を支えているからです。


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実はこの骨盤・仙腸関節についてはもっと詳しく書きかけていたのですが、

ここだけでブログが2つ3つかけるくらいの

分量になってしまいますので今回は割愛します。


近々書きます!




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【体軸回転をスローイングに活かす】

 

体軸回転について細かく書いてきましたが、

体軸回転はボールに勢いを与える一つの手段

であり効果的な方法ですが、

「体軸回転を良くすること」

がゴールではなく、

 

鋭さを増した体軸回転から生み出される力を

如何に効率よくボールの伝えるか


ここが大切です。


スローイングに限らず、

部分的な動作が良くなったら、

「スローイング全体の見直し」

をして、

「スローイング全体を良くする」

必要があります。


コーチングの経験上、

ドリルを通じて部分的には良くなっても

その良くなった動作を取り入れることで

スローイング全体が狂ってしまうことは

よくあります。


部分的に向上し、

全体的に向上する。


磨き上げた体軸回転が今のスローイングの

威力を増せるよう、

やはり練習が大切ですね!!


今回はこの辺で。

ありがとうございました。

 

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久々に俳優・タレント活動のご報告です。

 

あいかわらず細々と続けていますが、

今回はサントリー九州熊本工場20周年を

記念した企画の動画

「ひまわりの乾杯」

にお父さん役で出演させていただきました。

 

九州在住の方の

「プレモルの思い出」

を一般公募し、

最優秀賞を2点選出したうちのひとつが

「ひまわりの乾杯」

です。