前腕を垂直に立ち上げた

90-90ポジションからボールを投げる姿は

迫力と美しさがありますね。

 

体軸回転によって、肘が前に出て腕が

しなっているさまは

「矢を放つ直前の、引き絞られた弓」

のような緊張感があります。

 

前々回のブログ

 

「QBのスローイング 上腕の役割 『体軸と腕の関係』」

を書きましたが、

上腕の役割を書くことで見えてきた

 

「前腕の役割」

があります。

 

今回はそれについて書いてみたいと思います。

 


追記

このブログを書いて数年たち、

考え方を追加したブログを書きました。


こちらもご参考にしてください。


「スローイングは直線運動が大切?!」 




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結論から書くと、

 

前腕は

体軸の回転運動の中にあるボールを

ターゲットに向かって真っ直ぐ投げ出す

ための直線運動に変える役割をもっている

ように思います。

 

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前々回のブログ

 

「QBのスローイング 上腕の役割 『体軸と腕の関係』」

で、

「肩甲平面上で90-90ポジションにある

前腕が、体軸回転によってゆらゆらする」

と書きました。

 

肩甲平面上では、上腕・肩周りの筋肉が

リラックスしていて、内旋・外旋のストレスを

受けないために起こる現象です。

 

フォワードモーションで、

「肘から前に出す」

という動作も、

 

「肩甲平面上で90-90ポジション」

が取れていると、体軸回転で肩と肘が

ターゲット方向に回転していくにつれて

自然発生する動きです。

 

慣性の法則に

「静止しているものは静止し続けようとする」

と言うものがありますね。

 

体軸回転が始まって肩・肘が動き始めても

「90-90ポジションで静止状態のボール」

はしばらくその場に残り続けようと

しますので、自然と

 

「肘が前に出る」

ポーズになります。

 

意識して肘を前に出す必要はありませんが、

人間はどうしても

「動作をコントロールしようとする」

傾向が強いので、なかなか自然に動けません。

 

「自然と動ける=リラックスして動ける」

ようになるまでは、意識して練習する必要が

ありますね。

 

このときも、

「肘を前に出す」

というよりも

「ボールを90-90ポジションの位置に

残す意識」

を強めて上げた方がいいように思います。

 

そうすれば勝手に

「肘が前に出る」

感じになりますね。

 

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前前々回のブログ

 

「QBのスローイング リリースポイントは『点』なのか?」

で書いた、

「リリーススタートポイントは肩が2時」

「リリースフィニッシュポイントは肩が1時」

※ターゲットを12時方向として。

※右利きの場合。

 

と書きましたが、

「前腕の役割」

はこの区間で非常に重要になると思います。

 

「リリーススタートポイント」から

「リリースフィニッシュポイント」の動きは

ターゲットに向かって直線的であれば

あるほど

「ボールにダイレクトに力が伝わる」

「ボールの軸がぶれない」

ことにつながり、

楕円形のアメリカンフットボールを

投げる上では非常に重要ですね。

 

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ちょっと話は反れますが、

数学の授業で

「タンジェント」

と言う言葉を聞いたことがあると思います。

「サイン・コサイン・タンジェント」

のあれです(笑)

僕は苦手でした。

 

数学の授業では三角関数の

「対辺/底辺」

と習いますが、

 

実はタンジェントにはもうひとつ

「円と直線が出会う一点」

という意味もあります。言い換えると、

 

「円周上のある一点から伸びる直線」

と言えます。

 

これを説明した動画がありますので

紹介します。

 「Tangent to a Circle」

 

最初のほうだけ見ていただければ

「円周上のある一点から伸びる直線」

の意味がお分かりいただけると思います。

 

これはスローイングにおいては

「リリースポイント」

と考えることが出来ると思います。

 

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スローイング動作にあるQBを真上から見ると

90-90ポジション以降の体軸回転の動きは、

 

円の中心点 = 体軸

円周 = 手に持ったボールの軌道

直線(タンジェント) 

= 手から放たれたボールの軌道

円と直線の接点 = リリースポイント

 

と置き換えることが出来ると思います。

 

 

この図で言うと、

 

一番上の赤い丸がターゲット

白抜きの赤丸が体軸

青い線が肘とボールが描く線

黄色の星印が90-90ポジション

緑の線が肘が先行する区間

赤い星印がリリーススタートポイント

黄色がターゲットの向かう直線(タンジェント)

 

ちなみに水色の線はリリースした後の指先が

フォロースルーで描く線です。

 

スローイングのイメージとしては、

黄色の星印(90-90ポジション)まで

引いたボールを体軸回転によって

円の軌道(青・緑)に沿って移動・加速させ

ながら、

赤い星印のリリーススタートポイントまで

達したら黄色の直線軌道に乗せ換える

 

といった感じです。

 

‐‐‐

 

円と直線の接点

=リリーススタートポイント

 

円と直線の接点から延びる直線の

数10センチ後

=リリースフィニッシュポイント

 

それ以降の直線

=手から放たれたボールの軌道

 

「周回軌道を外れて飛んでいく

スペースシャトルの軌道」

のイメージです(笑)

 

回転運動から直線運動に切り替わる点を

「リリーススタートポイント」

としてボールが指を離れ始め、

 

「ターゲットに向かう直線軌道に

乗り変わった直後」

はまだボールが指から少しずつ離れている

「リリースの途中」

 

この後、数10センチで

「ボールが人差し指から離れる

リリースフィニッシュポイント」

を迎えると考えていいかなと思います。

 

こう考えると、今まで僕が書いてきた

ブログの理屈がすべてつながります。

※と言うか、つながるように

書いています(笑)

 

ちなみに、この考え方からすると、

 

90-90ポジションの周回軌道にある

ボールを持った手は、

「リリーススタートポイント」

「リリースフィニッシュポイント」

の直線軌道を経由して

リリース後のフォロースルーのための

「第2周回軌道」

に乗るような感じですね。

 

スローイングは単なる円運動ではなく、

 

「第1周回軌道」

「直線軌道」

「第2周回軌道」

 

をつなぐ複合的な運動と言っていいかもしれません。

 

-----

 

周回軌道中の『円と直線の接点』から

直線軌道に乗り変わってからの動きを

真横から見てみると、

 

垂直に立ち上がっている前腕が

「円と直線の接点」

でリリーススタートポイントを迎え、

肘を伸ばしながら直線軌道上でボールを

リリースしていきます。

 

腕を伸ばすとき前腕が前に倒れていきますが、

肘を支点として弧を描く指先は

前に倒れるにつれて

「高さを失う」

ことになりますね。

 

僕の肘から人差し指の先までの距離は

46cmですが、

仮に前腕が45度傾いた時点で

リリースフィニッシュポイントを迎えると

すると、

 

リリーススタートポイントから

リリースフィニッシュポイントに向けて

僕の人差し指の先端は14cmくらい低くなる

わけです。

 

これでは円と直線の接点の後の直線軌道を

下向きに外れることになりますので、

この14cmを補う意味で、

「腕をあげる」

ような感じになるのかなと思います。

 

前腕と上腕は長さがほぼ同じくらいですので、

前腕が45度傾いて失った14cmを

補うために

「上腕を45度持ち上げる」

ことで対処できると思います。

 

90-90ポジションから上腕を

45度持ち上げると

「90度+45度=135度」

となり、

 

「ゼロポジション=脇が約140度開く」

とほぼ同じ位置にあるように思います。

※これも今までのブログに都合よく書いてますね(笑)

 

もちろん、スパイラルをかけるために

ボールを下向きにこすりますので、

最終的な人差し指の位置はボールの

半径分くらい低くなるとは思いますが、

 

それを考えた上でもやはり腕を少し上げた

ほうが直線軌道は確保しやすいように

思います。

 

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以前書いたブログ

「QBのスローイング 腕の振りはイリュージョン??」

 

の中で紹介した僕の大好きな動画、

Chad Penningtonの

「Chad Pennington Upperbody Fundamentals」

 

「肘は高すぎず、低すぎず、

肩と同じ高さであればいい。」

と言っていましたね。

 

言い換えれば

「90-90ポジションのまま

投ければいい」

ということになります。

 

この動画ではChad Penningtonは

「体軸回転」

に強くフォーカスしていたので、

腕を上げたり下げたりする動作を省略し、

 

「90-90ポジションのまま体軸回転で

投げればいい」

という考え方・練習方法はいいと思います。

 

これに加えて、フォーカスを少し、

「リリースポイントの高さの安定」

に寄せて考えると、

 

リリーススタートポイントは

90-90ポジション

 

リリースフィニッシュポイントは

ゼロポジション

 

の考え方がいいように思います。

 

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あわてて投げると、

リリース時の直線軌道が短くなり

「ボールをコントロールする機会損失」

につながるため、球が乱れやすいのかなと

思います。

 

体軸回転から

「タンジェントの一点集中」

で投げるのではなく、押し出すように

「直線的に投げ出す」

ほうがコントロールしやすいように思います。

 

練習中パーフェクトにスパイラルの

かかった球を投げているNFLのQBが、

試合中ぶれぶれの球を投げたりするのは、

「あわてて投げる状況」

を強いられるからだろうと思います。

 

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体軸回転で生み出される力を最大限に利用

できれば、より速く、より遠くにボールを

投げることができるわけですが、

 

円運動の力を最大限に利用するには、

 

「遠心力を大きく」

してあげればいいですね。

 

と考えると、

90-90ポジションから投げるより

腕全体を横に突き出して投げる

「サイドスロー」

がベストのように思います。

 

腕を横に伸ばせばボールを体軸から

一番遠いところに配置できるので、

遠心力を最大化できます。

 

かなり以前に書いたブログ

「QBのスローイング 肘は上げる?上げない?」

は、

 

関西学院大学の小野コーチの

「肘を上げるのは迷信です!」

という言葉が気になって書いたブログですが、

 

確かに現役大学生QBの何人かは

サイドスロー気味で投げてますね。

 

パッと見、違和感はありますが、

動きをよく見てみると、体軸回転の力を

利用した投げ方で、

「無理して投げてる感じ」

は見受けられません。

 

「肘を上げる?上げない?」のブログを

書いた当時は僕もサイドスローがうまく

出来ませんでしたが、スローイング理論が

だいたいわかってきた今、だいぶ投げれる

ようになってきました。

※いまだに違和感はあります。

 

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本当にサイドスローが一番理想的であれば、

NFLのQBの多くがサイドスローで投げている

はずですが、現実そうではありません。

気になります。

 

キャッチボールレベルではなんとなく

投げれるくらいにはなりましたが、

実践レベルでサイドスローで投げると

考えた場合、気になるのが、

 

「オフェンシブライン(OL)の壁を

超えにくいかも」

と言う点です。

 

サイドスローはリリースポイントが低いため、

僕より背の高いOLの頭越しにパスを投げる

のはかなり難しいです。

よほどOLが強く

「ディフェンスを割ってくれる」

のであれば投げれる気もしますが、

それでも難しく感じます。

 

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もうひとつ気になるのが、

「目線とリリースポイントのずれ」

です。

 

以前、僕の子供時代の趣味だった

「モデルガン」

を引き合いに出し、

拳銃の照準についてのブログを書きましたが、

 

照準を定めるとき、目線上に銃を構え、

「ターゲット・照星・照門・目」

が一直線に並ぶようにしますね。

ちょっとでもずれるとターゲットに

当たりません。

 

スローイングにおいては、言ってみると

「銃をリリースポイントで構えて狙う」

わけで、この時点で

「目線とリリースポイントのずれ」

が生じています。

 

僕の感覚では、どのような投げ方をしても

リリースのときの腕は肩甲平面上に

ありますので、

90-90ポジションからでも

サイドスローでも

 

「目とボールの距離」

にはそれほど差があるようには思えません。

 

違うとすれば、

 

90-90ポジションでは

リリースポイントは目線の上にずれる

 

サイドスローでは

リリースポイントは目線の下にずれる

 

ことです。

 

J.I.的な感覚では、サイドスロー時の

ボールの軌道は目線より下からボールが

発射されて放物線を描きながら一旦目線の

高さを超え、

その後また目線より低くなるため、

「目測しにくい」

ように思います。

 

もちろんすべては慣れの問題ですので、

練習の繰り返しで克服できると思いますが、

サイドスローのほうがより難しいように

感じます。

 

-----

 

もうひとつ思いつくのは、

「人間の本能的な動き」

です。

 

乳幼児が物を投げるとき、

「手を高く上げて下ろす動作」

で投げますよね。

 

たぶん、いきなりサイドスローで投げる子は

いないともいます。

下手投げでもないと思います。

 

筋力で投げるのではなく、

「重力」

を利用するための上投げだと思います。

 

サイドスローは、体の使い方が成熟してきて

出来る

「高難度の投げ方」

と言えるかも知れませんね。

 

「動きは出来るだけ単純なほうがいい」

と僕は思いますので、そういう意味でも

普通に上から投げる投げ方がベストなのかな

と思います。

 

-----

 

先ほどのOLとの関わりもそうですし、

多くのコーチが推奨する

「ゼロポジションからのリリース」

は、物理的に位置が高く、当然

「投げ下ろしでのスローイング」

が可能です。

 

リリースの位置が高ければ、

OLの頭を越えるのもそれほど無理なく

できますし、

「投げ下ろしの力」

を利用してちょっと楽して投げることも

出来ます。

 

 こう考えると、サイドスローよりも

上から投げたほうが

本能的な動きから得られるメリットが

多いように思います。

 

僕にとっては、

ディフェンシブラインのラッシュから

逃げながら投げる難しいパスも、

サイドスローより上から投げおろした

ほうが楽なように思います。

力が入らなくてもとりあえず

「重力任せ」

で投げることも出来ます。

 

楽して結果が得やすいのであれば、

僕はそっちを選びます(笑)

 

-----

 

上腕・前腕は共に

「腕のパーツ」

ですが、こうして書いてみると役割が

かなり違い、ひとくくりに

「腕を振れ!」

というアドバイスも出来なくなりますね。

 

スキーインストラクター時代に教えられた

「生徒には、詳細を伝えなければならない」

を思い出しました(笑)

 

今回は、この辺で。

ありがとうございました。

 

 

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ジョーイシカワ(Joe Ishikawa)

プロフィール

 

野球は左右投げ左右打ち。

高校時代は陸上部棒高跳び選手。

大学でアメリカンフットボールを始める。

以降QB、オフェンシブコーディネーターを担当。

社会人時代、会社のバスケットボール部

ではスモールフォワード。

カナダでも草フットボールをプレー。

 

カナダ生活15年を

世界的スキーリゾートのウィスラーで

スキーインストラクターとして過ごす。

カナダスキー教師協会 Level 3 国際資格取得

カナダスキー競技コーチ協会 Level 2取得

カナダスキー教師協会検定員

 

同時にフレンチレストランの厨房にて

シェフを勤める。

 

その傍ら、

「ハリウッド・ノース」と呼ばれる

カナダの都市バンクーバーで俳優活動開始。

 

帰国後、英語力・料理経験を生かし、

英語発音指導、料理指導、糖尿病食開発。

上級ヨガインストラクター資格取得

(タイ国公認資格)

(ルーシーダットン=タイ式ヨガ)

 

日本で俳優・タレント活動開始。

母校のアメリカンフットボール部のQBコーチ

 

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私が出演させて頂きしました

 

映画「形のない骨」

(2018年7月公開 by エレファントハウス)

 

のDVD、好評発売中&レンタル中です!

 

田中英二役で出ております。

(メインキャスト紹介欄参照)

 

映画 「形のない骨」

 

監督は

「CM界の『女性美の魔術師』」

と呼ばれている小島淳二氏。

 

ドリカムのMVなんかもやっている方です。

 

小島監督のその他の作品、

こちらのサイトからご覧いただけます。

 

http://www.teeveeg.com/

 

よろしくお願い致します!

 

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他にも、こんな作品に出ています。

 

NHK福岡制作

「福岡美人がゆく!」

主演の奈緒さんの上司役で出ています。

 予告編オープニングに奈緒さんと一緒に

出てます!

NHK福岡制作「福岡美人がゆく!」予告編

 

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「A kind person」

Adfest2018 アジア太平洋広告祭

新人監督賞 銅メダル受賞作品

 

これには

 

「自殺志願のサラリーマン」役で出てます!

 

これらもよろしくお願い致します。

 

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次回は、

 

「QBのお仕事 

ゾーンディフェンスってなんですか?」

について書いてみたいと思います。

 

パスプレーでQBがドロップバックするのに

あわせて、ディフェンダーもするすると後ろに

下がっていきますね。

 

「何してるのか?どうしているのか?」

「QBは何を見ているのか?」

を紹介したいと思います。