先日見た、インターネットの記事で、
関西学院大学の歴代のQBが一堂に会して
「QBクリニック」
を開催したそうです。
その中で小野コーチが
「肘をあげて投げるのは迷信です!」
と説明し、現役QBの奥野選手のスローイングを例に
解説したそうです。
「4years」というサイトの記事がこれです。
奥野選手の動画も見てみて下さい。
確かに奥野選手のスローイング、
あまり肘を上げず、
「サイドスロー」
のような感じです。
彼の場合、肘が肩より下にある感じですね。
極端に言うと、
「肘をわき腹につけて投げているような感じ」
がします
「よくあの投げ方で肩やひじを壊さないな!」
と心配になります。
身長170cmでサイドスローでは、
デメリットのほうが多いように思いますが、
それでも去年の関西一部リーグでの
レイティング156.86は驚異的ですね!
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以前やっていたスキーの仕事で
「滑り方」の議論をする時、
「今、ワールドカップで1番速いやつ」
のスタイルが研究され、
「秘密を探れ!」
となります。
そういう意味では、奥野選手の投げ方は
研究に値しますね!
「肘をあげて投げるのは迷信です!」
と説明した小野コーチ自身が
スローイング指導をしている
動画もありますので紹介しますね。
NFLでも、サイドスローで有名なQBと言えば、
1980年代に活躍したBernie Kosarが
いましたね。彼の動画も紹介しておきます。
ちなみに、僕は半年ほど前、
サイドスローをやって
肩を負傷しました(苦笑)。
ゲーム中、無理な体勢から投げてしまい、
いまだ完治せず、痛みを引きずっています。
とはいえ、日増しに痛みは和らぎ、
最近ようやく腕を振っても痛みが
なくなってきました。
実はこの怪我がきっかけで
「怪我しない投げ方ってなんだろう?」
といろいろ考え始め、
このブログを書くことにしました。
僕自身の怪我があったので、
僕のスローイング理論の基本は
「関節・筋肉にストレスの少ない、
怪我をしにくいスローイング」
にしています。
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僕が肩を負傷したのは、サイドスローが
よくないのではなく、
「サイドスローのメカニズム」
を理解しないまま投げてしまった
僕に原因があると思います。
試合中、無理やり投げたと言うのも
ありますが.........
実際に、Bernie Kosarや奥野選手はかなり
横から投げていますが、
問題なく投げていますよね。
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「肘を上げる・あげないのどちらが
正しい?」
と訊かれると、
「どちらも正しい」
と思います。
上記で、
『僕が肩を負傷したのは、
サイドスローがよくないのではなく、
サイドスローのメカニズム」
を理解しないまま投げてしまった
僕に原因がある』
と書きました。
多くの指導要領には
「肘を上げる」
「高い位置でリリースする」
と説いていますね。
かたや、小野コーチのように
「肘を上げるのは迷信」
という方もいます。
どちらのやり方でもボールは投げれる
わけですから
「どちらも正しく、
どちらも間違っていない」
わけです。
と言うよりも、そもそも
「正しい・間違い」
の話ではないように思います。
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以前、カナダで12年ほどスキーの
インストラクターの仕事をしていました。
多くの生徒さんが
「正しい動きを教えてほしい」
といってきます。
「俺のすべりは間違いだらけで
全然上達しない!」
と言う人が多くいましたね。
僕は生徒さんに必ず、
「右に左に曲がれるんだから
動きは間違ってないと思いますよ。
その動きが効率的かどうかを
考えましょう。」
と説明していました。
僕の中での
「間違った滑り方」
というのは、
「ターンできない滑り方」
のことです。
右にも左にもターンできる人が
「なかなか上達しない」
「こぶ斜面がうまく滑れない」
「すべりがスムーズじゃない」
のは、
「動きが間違っている」
のではなく、
「動きが効率的でない場合」
が多いです。
例えば、スキーのターンで体を
ターン方向に振り込む
「ローテーション」
がありますが、ローテーションしても
ターンは出来ますので
僕の中ではローテーションは間違った技術ではありません。
ただし、
「右に左にターンをリンクしていく上で
効率的か」
と考えた場合、ローテーションは
あまり効率的な動きではありません。
ローテーションは
「内向姿勢・内傾姿勢」
を生み出しますので、
ターンの切り替え時に
大きな動きを必要とする
「非効率な動き」
です。
効率面で考えると
「外向姿勢が効率的」
ですね。現在は
「正対姿勢」
が主流ですが。
これも、スキー板の変化により
「スキーヤーの効率的な体の向き」
が変わっていると言うだけで、
「外向姿勢・正対姿勢が正しい」
というわけではありません。
僕の中では、ターン弧に対して
「タンジェント」
の方向を向いているのが一番効率的だと
思います...............
と、これ以上書いていくと
「スキーブログ」
になってしまいますのでこの辺で止めます(笑)
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上記のスキーの理屈で言えば、
「間違った投げ方」
というのは
「ボールが投げれない投げ方」
(=前にボールが飛ばない投げ方)
のことになります。
「うまくスパイラルがかからない」
「遠くまで飛ばない」
「ボールに勢いがない」
は
「スローイング動作の効率」
の問題だと思います。
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以前のブログで
「体軸の回転を一番効率よく伝えるにはサイドスローがいい」
と書きました。
体軸の横回転で生じる遠心力を最大限利用するには
サイドスローが一番理にかなっていますね。
奥野選手の投げ方を見ていても、
セットアップからのボールを
「横に引いて、体軸回転でそのまま投げてるだけ」
の、実に無駄のない投げ方に見えます。
反面、
「肩やひじを痛めないかな?」
という心配も生まれますね。
僕が
「サイドスローのメカニズム」
をきちんと整理・理解できていないと言うことだと思います。
唯一見ていて気づくのは、通常のスローイング術の中で言われる
「腕がムチのようにしなるような」
感じが余りありません。
サイドスローなので
「でんでん太鼓みたいな感じかな?」
とも思いましたが、
奥野選手の投げ方、僕が見た感じ、少なくとも上腕は
「体と同化」
としている気がします。上記した、
「肘がわき腹についているような感じ」
がそれです。
肘から先の
「スナップ」
がかなり効いているように見えますね。
ある意味、
「肩関節の上下の動きを省略し、
肩の外旋・内旋動作に特化したスローイング」
に見えます。
リリースの瞬間
「ボールの下半分をこするような感じ」
は僕のスローイングの感覚に似ているよう思います。
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今の僕自身の投げ方はサイドスローではなく、
だいたいスリークォーターくらいです。
僕はセットアップの状態からボールを持った手を
割と軽く「スッ」と肩の斜め前くらいに持ってきて、
そこから体軸の回転を使って投げると、自然とスリークォーターの
投げ方になっているというだけで、
「スリークォーターで投げている!」
と言う強い意識はありません。
今まで、ゼロポジションだ、なんだかんだ、と書きましたが、
実際投げてるときに何も考えてませんね(笑)
隠れ90-90ポジションも、90-90ポジションも
「すっ飛ばしている」
わけではないですが、
「隠れ90-90やって90-90やって」
の意識はありません。
隠れ90-90ポジションも、90-90ポジションも
僕のスローイングにとってはスローイング動作の流れの中の
「経由地点」
です。
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話を「肘」に戻しますが、
僕には、
「肘を高く上げる」
という感覚はあまりありません。
で書きましたが、
「脇を見せるようにして、肩甲骨を高く上げる」
感覚は強くあって、
「肩甲骨を上げた結果、肘が上がっている」
のだと思います。
ただし、肘が上がっているのも
「肩よりちょっと上」
くらいの感じで、リリースに向けて腕が伸びるので
たぶん最高位として耳の高さくらいまでは上がって
いるとは思いますが、意識的に
「耳の高さまであげている感じ」
はありません。
唯一
「肘を上げたまま保つ意識」
があるのは、リリース後の手が肩の高さにおりてくる
ときくらいまでです。
この意識を持っていると、僕のスローイングでは、
リリースのとき腕がうまく伸びてくれます。
この意識と「腕の内旋」があいまった結果、リリース後は軽い
「あい~ん」
のポーズになります(笑)
また、投げ終わりに
「背中を見せる」
とも書きましたが、どちらかと言うと、背中と言うより
「上がった肩甲骨を見せる」
感覚のほうが近いかなと思います。
※「QBのスローイング 超感覚論!! J.I.的スローイング」
を参照してください(笑)
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半年前の肩の怪我をきっかけに投げ方を変えました。
学生時代の僕の投げ方は、
「ボールを耳の後ろに構える感じ」
で、肘はかなり上がっていたと思います。
ボールを持った手の位置が頭の後ろにあり、
体軸の回転で前のほうに出てくる感じでした。
この投げ方で50ヤード+投げてましたから、これはこれで
ありだと思います。
今はあまりボールを頭の後ろに回さず、
言ってみると
「肩のちょっと上くらい」
の感じでしょうか。
年老いた肩には
「やさしい投げ方」
のような気がします。
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この投げ方でもボールはちゃんと飛んでいきますので、
僕の投げ方はこれはこれでいいと思っています。
今の僕の体型、骨格、くせでは、
今の投げ方がベストだと思います。
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で書きましたが、
「コーチング理論は10人10色」
ですし、先輩や他の選手から聞くアドバイスも
「100人100通り」
です。それぞれが経験上うまくいった感覚、考え方を
伝えてくれていて、
「何一つ間違ったアドバイスはない」
のです。
要は、
「どのアドバイスが自分にあっているか」
を見つけ出すことです。
けっして、
「あの人のアドバイスはうそだった!」
と言うことではありませんよ!
自分のチームのコーチの理論とあわず、
泣きをみることもありますが.......
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だらだら書きましたが、
「何が正しい投げ方で、何が間違った投げ方だ」
なんていうのはないと思っています。
スキーの話で書きましたが、僕が大切にしているのは、
「その動きが効率的かどうか」
です。
「効率的で、怪我しにくい投げ方」
をいろいろ探ってみてもいいと思います。
今回はこの辺で。
ありがとうございました。
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最後に、私事で恐縮なのですが..........
私が出演させて頂きしました
映画「形のない骨」
(2018年7月公開 by エレファントハウス)
のDVD発売とレンタル開始が決まりました!
4月24日同時リリースです!
田中英二役で出ております。
(メインキャスト紹介欄参照)
よろしくお願い致します!
他にも、こんな作品に出ています。
フェリーの上で英語を喋っている変なおじさん役です!
これには
「自殺志願のサラリーマン」役ででてます!
これらもよろしくお願い致します。
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次回は、
「アメフト雑談!!
ファーストダウンってなんなの?」
を書いてみたいと思います。
「タッチダウン」
「ファーストダウン」
などなど、アメリカンフットボールには
「○○ダウン」
と名のつくものが多いですね。
「ダウンってなに?」
「ファーストダウンってなに?」
について考えます。