「体軸の回転を使って投げろ!」
とよく言われます。
で書きましたが、
QBはスローイングの際にいろいろな
制約を受けますので
野球のピッチャーのように
「大きく前に踏み出す」
「大きく前後に体重を移動する」
「大きく上下に体重を移動する」
ことが難しいため、
「体軸の回転」
に頼る部分が非常に大きいと思います。
先日参加させていただいた
「QB道場」
でも、
「体軸を意識したスローイング」
の大切さを感じました。
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QBのスローイングは、
「半身の姿勢」
から始まります。
右利きのQBの場合、
「左肩がターゲット(レシーバー)の
方向を向いている」
姿勢から始まります。
テイクバックからリリース、
フォロースルーに向かって、
今度は
「右肩がターゲット(レシーバー)の方向を向いている」
姿勢になります。
胴体が回転することで
「左肩前から右肩前に」
姿勢が変化して、その胴体の回転に
つられて
「腕が振り回される」
ちょうど、でんでん太鼓みたいな感じ
でしょうか。
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ところで、
「軸」
ってなんなんでしょう?
いろいろ調べてみると、
「回転するものの中心となる棒」
「巻くものの中心にする丸い棒」
.....etc
とあります。どれをとっても、
「巻く・回るものの中心となる線」
と考えていいようですね。
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スローイングの過程で、
胴体が回転することで
「左肩前から右肩前に」
姿勢が変化しているわけですから、
「回転の中心=軸」
は胴体の中心にある
「背骨」
と言い換えていいと思います。
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「胴体の中心=背骨=体軸」
と考えるとして、
胴体を支える足(脚)は2本ありますので、
胴体から下の部分の
「体軸」
は
「両足の間の架空の線」
になりますね。
ただ、
「体軸が体の外にある」
と言うのは、なかなか実感しにくく
「力がはいらいない」
ような気がしますね。
スローイング動作を考えると、
「後足に重心を乗せて始動し、
そこから前足に重心を移す」
わけですから、下半身(足)については、
「軸が二つあると考えていいのかな?」
と、少しあやふやな言い方になって
しまいます。
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実際のQBのスローイングを考えてみると、
※右投げで考えています。
左投げは左右逆に考えてください。
テイクバックの時には、まず後足である
「右足」
体重を移動します。
ボールを持った手が
90-90ポジションから
フォワードモーションに移るころ、
ターゲット方向に踏み出された左足が
地面に着地し、
フォワードモーションと共に、
体重が前足である
「左足」
に移動します。
野球のピッチャーの投げ方に比べて
「前後の移動が少ない」
とはいえ、まったく前後移動しない
わけではありませんので、
フォロースルーに向けて
「左脚に乗り込んでいく体重移動」
があり、左股関節が折れていく感じで
投げ終わりの姿勢を支えます。
「QB道場」の道場長の新生さんは
「股関節のコマネチラインを意識して!」
と言っていましたが、フォロースルーに
向けての力・重心・体重の移動と
バランスのとり方は
「左股関節のコマネチラインに乗り込む」
感じが強くありますね。
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スローイング始動時は、右股関節にも
乗り込んでいくのですが、
左脚ほど
「乗り込む感覚」
は強くないように思います。
乗り込むと言うより、
「内側にひねる」
感覚が強いかなと思います。
これはたぶん、
「つま先の向きと体が動く向きの関係」
からこのような感覚になるんだろうと
思います。
ターゲットを12時の方向とすると、
テイクバックで後脚=右脚に乗り込む
(体重移動する)とき、
右脚つま先はだいたい3時の方向を
向いています。
つま先に3時の方向に向いている右脚に対し
「腕を後ろに引き、そこから体軸の回転を
使いながら体が前に動いていく」
ので、
「右股関節に力をためて体を前に押し出す」
感覚が強く、
「股関節が折れる」
感覚はあまりないように思います。
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ビートたけしさんの
「コマネチ!」
の腕の角度がまさにいい例なのですが、
45度より立ち上がった、けっこう
「切れ上がった」
傾きになってますね。個人差はあると
思いますが、50度から60度くらい
でしょうか。
試しに片足立ちして、持ち上げた足の股関節に
「チョップする」
ように手をおいてみると角度が
わかりやすいと思います。
フォロースルーに向けて
「左股関節のコマネチラインに乗り込む」
と言うことは、
「50度くらいに切れ上がっている
コマネチラインを軸にして、
体を回転させる」
と言い換えてもいいように思うのですが、
どうでしょうか?
「回転させる」
と言っても、
「体軸の回転」
と違っています。
「体軸の回転」は、
体軸(背骨)を中心に右半身が前に、左半身が後ろに回る
「回転運動」
ですが、
「コマネチライン軸の回転」は
左股関節より右側にある
「右腕を含む上体全部が反時計回りに」
左股関節より左側にある
「左脚が時計回りに」
捻られている感じで、
「回転」というよりも、
「斜め50度に傾いている左股関節
コマネチラインでたたまれる」
というほうが感覚的に近いかも知れません。
左太ももと下腹部が引っ付く感じです。
ここで、恒例のDrew Breesのスロー動画を
またまた紹介します。
スローイング前半は上体をおこし気味で
「体軸回転中心」
の横回転、
スローイング後半は
「コマネチライン軸回転中心」
の
「体が左股関節で折りたたまれる感じ」
がわかりやすいと思います。
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ここまでの話の中で、
「背骨が軸」
「コマネチラインが軸」
と、二つの回転軸を紹介しましたが、この
「二つの軸」
を考えることで、僕の中ですっきりした
ことがあります。
以前のブログで
「体軸の回転を効率的に伝えるには
サイドスローが最適」
と書きました。
体軸の回転は横回転ですから、
体軸(背骨)に対して角度90度で、
一番遠いところにボールを配置すると
遠心力を最大化することが出来ますね。
ですから、腕を方の真横に伸ばす
「サイドスロー」
が最適ということになります。
ただ、僕自身スリークォーターで
投げていますし、
多くの指導者が
「ゼロポジション(脇の角度約140度)」
を推奨していることからも
「ゼロポジションのスリークォーターから
投げ下ろす」
のが一番自然かなと思います。
「二つの軸」
で考えると、スリークォーターからの
投げ下ろしは理想的な動きであると
説明できます。
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上で
「体軸の回転は横回転ですから......云々」
と書きましたが、
その文章をそのまま利用して
「コマネチライン軸」を書いてみると
こうなります。
=============
コマネチライン軸の回転は
「斜め50度の線」を中心とする回転ですから、
コマネチライン軸に対して角度90度で、
一番遠いところにボールを配置すると
遠心力を最大化することが出来ますね。
=============
となります。
コマネチライン軸に対して角度90度で、
一番遠いところにボールを配置すると
「コマネチライン約50度+角度90度
=140度」
となります。
「角度140度」
と言うと、ゼロポジションの
「脇の角度も140度」
ですね!!
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今まで、
「体軸の横回転に対してゼロポジション
からの投げ下ろし」
については
「両肩の線や体軸を傾ける」
ことで対処することを考えていましたが、
ずっとずっと、釈然をしなかったのは、
「両肩の線や背骨を傾けた状態での
回転運動は骨・筋肉にとってストレス
ではないか?」
と感じていたことです。
「コマネチラインを軸とした回転運動」
は、僕のこの悩みを解決してくれる
ように思います。
コマネチライン軸に対して遠心力を
最大化できるのが、
「角度140度で挙上されたゼロポジション」
と一致するからです。
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「背骨が軸」
「コマネチラインが軸」
の二軸を考える場合、
スローイング前半の
90-90ポジションからリリース直前
までは
「背骨が軸」
スローイング後半の
リリース直前からフォロースルーは
「コマネチラインが軸」
と考えられると、非常に都合がいいです。
特に、後半部については
「背骨を軸に体を横回転させながら、
コマネチライン軸の回転を加えていく」
感じになると思います。
「二軸の複合的回転運動」
を考えると、
「体軸の回転運動を継続しながら、
フォロースルーに向けて体が左脚の上に
乗り込むような姿勢になる」
のが、理解できますね。
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「コマネチラインが回転軸」
と似たような、というよりも
同じ考え方があるようですね。
「LAS理論」
と言うのがそれに当たります。
野球を科学的視点から考察する情報サイト
「ブルペン」から引用させていただきます。
左股関節と投げ腕を結ぶ線を意識する
ようです。面白いです。
QBのスローイングは野球ほど大きく
ステップしないので、
このサイトにある写真ほど低く脚を
曲げた姿勢にはなりませんが、
理屈としては同じだと思います。
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今まで紹介してきた動画の中で、
Joe Montanaを始め、多くのQB、
コーチが言うのは
「腕を立てに振る意識を持て!」
ですね。
Montanaも動画の中で言ってますし、
その他僕が紹介した動画のコーチも
「サイドスローじゃなく、
オーバースローだ!!」
って繰り返し強調してましたね。
「体軸の横回転」
から生まれる力と
「コマネチライン軸の斜め回転」
から生まれる力をうまく組み合わせる
ことが出来れば
「理想的なゼロポジションからの投げ下ろし」
がより自然にできる気がします。
Joe Montanaが言っていた
「腕の振りの縦のプレーンを意識する」
という言葉も、
「体軸の横回転」と
「コマネチライン軸の斜め回転」をつなぐ
「左腕の下方向への引き」
動きがきっかけになっているように
思います。
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この二軸を考えながら実際に投げてみると、
フォロースルーに向けて股関節へ力が
たまる感じが強くなりました。
よく、
「左の壁を意識する」
と言いますが、投げ終わりに体が
左側に崩れる感じが少なくなり、
安定感が増しています。
ここに来て、やっと、
「上半身と下半身がつながった」
感じがしますね。
皆さんも、
「体軸の回転」
「コマネチライン軸の回転」
の
「二つの軸」
を意識して投げてみてくださいね。
どんな感じかご感想をいただければ
うれしいです。
今回はこの辺で。
ありがとうございました。
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最後に、私事で恐縮なのですが..........
私が出演させて頂きしました
映画「形のない骨」
(2018年7月公開 by エレファントハウス)
のDVD発売とレンタル開始です!
4月24日同時リリースです!
田中英二役で出ております。
(メインキャスト紹介欄参照)
昨年夏に公開されたのですが、
DVD付属の小冊子に、キャスティングの
裏話などが書かれています。
監督は
「CM界の『女性美の魔術師』」
と呼ばれている小島淳二氏。
長く、資生堂のCMを担当されていた
方です。
NHKの「わろてんか」の
タイトルバックのCGや、
最近で言えば、米倉涼子さんの
アサヒビールのCMだったり、
ドリカムのMVなんかもやっている方です。
小島監督のその他の作品、
こちらのサイトからご覧いただけます。
よろしくお願い致します!
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他にも、こんな作品に出ています。
フェリーの上で英語を喋っている変な
おじさん役です!
これには
「自殺志願のサラリーマン」役ででてます!
これらもよろしくお願い致します。
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次回は、
「QBのお仕事 ドローとプレーアクションパス」
について書いてみたいと思います。
でパスプレーを、
でランプレーを紹介しましたが、
アメリカンフットボールのプレーには
「パスプレーに見せかけたランプレー」
「ランプレーに見せかけたパスプレー」
があります。
「オフェンスとディフェンスのだましあい」
のアメリカンフットボールの真骨頂ともいえるようなプレー
について書いてみたいと思います。